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Poem)タイアド

タイアドは、今日も倉庫番の仕事に出てる。24時間ひっきりなしに入ってくる車、出ていく車。タイアドはまったく休むわけにいかない。5分の休憩は、立ったまま缶コーヒーを飲む。ジャズに限る。タイアドは胸のポケットに忍ばせたヘッドホンでマルサリスを聴く。同僚のアイムもくったくたなのが見える…

アイムは出荷係。次から次へ出来上がってくる製品をダンボールに詰めていく。手を止めたらあっという間に製品が山のように溜まってしまう。彼は5分の休憩に、ポケット版の曼荼羅のページを拡げるんだ。毎日真言の海を泳ぎ、今日はどの辺にたどり着くのだろう…

ベリーは、検査係だ。納期を遅らせるわけにはいかない、ただでさえ猫の手がほしいのに、検査の合間に、鳴り止まぬ電話を取らなければならない。会社中の社員の手は塞がっている、仕方ない、ベリーはクレーム処理の対応に追われっぱなしだ。

ベリーは5分の休みに、スマホの動画を開く。画面いっぱいに埋め尽くされた光の点を数えている。星空だ、新星を見つける夢。いつか、ベリー星と名付けるために。

#詩 #現代詩

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