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一日一首

キエフをさキーウと言って、悦に入る 平和な国の平和な人々

【ややくどい蛇足】
ウクライナとロシアの紛争がなお続いています。日本でも報道機関が常にこの紛争について連日続いていますね。最近は報道が少し下火になってきたように思いますが、ウクライナの地ではなお、今も銃弾が飛び交って誰かが命を落とし、誰かが悼んでいるのだと思います。

戦争の是非というよりかは、ウクライナとロシアの戦争をめぐる報道の在り方に対する不満をぶつけた一首です。

今日の一首は、これだけ出まわったら炎上してもおかしくないかな、と思いながら詠みました。だからというわけではないのですが、自分の中の違和感をはっきりとしたものにするために、以下に解説っぽいものを書いていきたいと思います。

一連の報道をめぐって、違和感が二つあります。

〇「紛争」「侵攻」「侵略」「戦争」
私がニュースの報道を見ている限り、一連の問題は「ロシアによるウクライナ侵攻」と表現されていることが多いですね。でも、テレビのコメンテーターの人によっては「戦争」と呼んでいたりもします。CNNネットニュースでもこういうのがありました。

法学部生的には、戦争と言えば「戦時国際法の適用を受ける事態としての戦争、宣戦布告などの意思表示によって開始され、兵器を使用した敵施設の破壊や敵兵員の殺りくなどが一定範囲で正当化され、講和条約などによって終結する、武力による争い」(と、憲法の教科書に、日本国憲法9条の解釈をめぐる記述のところで書いてあります)です。

ちなみに、ロシアとしてはあくまでも今回の一連の動きは、「ウクライナ東部2州のロシア系住民の保護を目的とした軍事侵攻」にすぎないので、「戦争」ではないという主張です(例えばこの記事)。

これは、よくない意味での言葉の反乱だなぁと思います。実質は「戦争」であるのに、「あえて」そこを外して表現することに意味があるということです。実のない言葉はむなしいものだと思います。

〇「キエフ」「キーウ」
いつごろからか、日本の報道機関はウクライナの首都キエフを「キーウ」と呼ぶようになりました。理由は、「”キエフ”は、軍事侵攻している側のロシア側の表記であって、ふさわしくない。ウクライナ語で”キーウ”と表記すべき」だからでそうです。

誰が言い出したんだろうって思ってたんですが、NHKの報道を確認するに、ウクライナ政府からではなく日本の自民党内からこのような意見があがったのがキッカケのようですね。

紛争を始めた側の国であるロシアは「悪い国」であり、悪い国は非難すべきであり、悪い国の言葉は使わないべきである。悪い国の言葉を使わないことで悪い国に対する非難を表す、といったところなのでしょうか。

私はこれに大変違和感があります。紛争が始まった以上当事者である両国の善悪は簡単に決せられないし、「悪い国」の言語を否定する理由には直ちにならないと思うし、こんな方法でロシアに対する非難をアピールしても問題は何も解決しないと思うからです。

ややきつい言い方をするなら、今の日本は、観客席から、ウクライナとロシアの紛争ショウを見ながら、ヴィランのロシアをやじっているように見えます。

当事者両国の人たちから見れば、業腹なんじゃないかなとおもうのです。そんな不満を込めた歌を詠みました。


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