荒川甘受
荒川甘受が不定期で書くエッセイです。なるだけ写真も自分で用意します。
荒川甘受が詠んだ短歌をまとめています。
渋谷スクランブルスクエアをかっこよく撮りたい蕎麦彦による、渋谷スクランブルスクエアの写真たちです。
30でいとこは死んだが「心配させるから」とか言って死ぬまで隠してた親族死ぬまで恨みます カラオケで王道ソングばかり歌う研修医 真面目に生きてきたんだろうな そしてそれこそがコンプレックスなんだろうな 自分のダメ具合をあらわす行動のひとつに「同じ曲ばっか聞く」があるが普通に3ヶ月くらいそれが続いている 「生きてて偉い」って褒めてるつもりなのかもしれないがお前はどの立場から他人を「偉い」なんて評価してんの? 別府から博多へ向かうバスのなか、通り過ぎるだけの街には住宅のなか
ほぼ意味のない量のお湯カップ麺に足して満足するとかよくある 弱者ってJAXAと音が似ているし暗闇のなか歩いてみせるよ わからないことをわからないままにすることが強さとわたしは信じる 真夜中の空は赤くて不自然でこういう夜なら明けなくてもいい 収支とか仕事が全然ダメなのを知らないふりしてパック寿司食う ジョイの詰め替え買ってないまま夏がきた いつ切れたっておかしくないよ
こないだ「関心領域」見てきた。 来月ポーランド行ってアウシュヴィッツ博物館行ってくるんだけど、たぶん行ったところで毒ガスや銃で殺された人たちの苦しみはわからない。 作品で描かれていたヘス家の裕福な暮らしも異動の話でキレる夫人の気持ちもルドルフの胃痛もわかりっこない。 でも、わかりっこないんだけど、この作品を見たことで「絶対にわからない領域」がわかったような気がしたと同時に、時間や距離を超えて知れることもたくさんあるなともおもえた。 これ見る前は「アウシュヴィッツにいけば
誰かおれの心臓持っててくれないか 「捨てる」と言ったら潰してほしい 繋ぎとめるものが歌しかないとして やがて離れてしまったとして どれも大事どれも大事どれも大事 気付けば何も捨てられないよ 海外に住んじゃうほうが簡単な気がする 友達ブロックするより この街が好きというより捨てるのが恐くて仕方ないだけかもね もうダメだって最近毎日思ってる ほんとにダメになる日を教えて 続けるのは辞める理由を探すため ずっと見つからなくていいけど
東京は春になったらどこにでも桜が咲いている街なんだ 満開の桜はあまりに美しく もうこれ死んでも良いと思った どれだけの桜が今夜流されてしまうのだろう 咲いたばかりの 桜流し 雨で散るなら優しさも全部逃してしまえばいいよ あれは日曜日で本屋は日月が休み どこにも行けませんでした たぶんもう会えないきみが夢に出てきたっていつも後ろ姿だ
こっち側なんもないじゃん道玄坂なんて遠くを見る場所じゃない 一番になれないことは幸せじゃないにしたって不幸ではない この本屋、マンガも辞書も色褪せているけど週刊誌だけはきれいだ 豊かさは何で測るかコンビニの明太パスタの海苔の大きさ 傷ついて終わった恋だけやたら思い出してしまうのむちゃくちゃ解せぬ つうか朝も昼も悩む暇なんてないんだからこじらせるなら夜しかないじゃん?
すぐそこのカレー屋 閉店したあとに店主がギターを弾いて歌ってた 熱湯をかけて3分待つところ、6分待ったら褒めてくれますか 幕張のゴーゴーカレーで大学生カップルがする危うい会話 きみはきみをお前呼ばわりする人と一緒にいるのか そうか、そうなのか そこにいるのはわたしではなかったそこにいるのはわたしではなかった やたらフットワークが軽いあの人は家にいるのが嫌なんじゃないかな
見たような気がした渋谷宇田川町 日付が変わる少し前、きみを きっとすぐ近くにいるんだ憧れる人も応援するべき人も 食ったって何にもならんお湯入れて3分待って食べる焼きそば 文学、あるいは生きることのない世界 無限に振りかかってこい わたしは見た目で判断されたくないし 人を見た目で判断しているのもわたしだ ただ続けるために続ける それ以外自分を愛す方法がない
マイペースでは間に合わねえ 飲酒して歩いて帰りながら聞くMOROHA 言葉ならいくらでもある、どこだって行ける わたしがわたしを見つけ出す 「雷が鳴ったら夏は終わりだよ」その顔寂しいの、嬉しいの 軽率に嫌なことから逃げてきた 目を背けてきた感情はもっと 酒 じゃがりこ まるごとバナナ チキンカツ 1,346キロカロリー
風鈴の音はどこから聞こえてくる いつまでもいつまでもゆらぎ この程度で負けてたまるかあと3分待ってカップラーメン食うんだよ これはパン、これは牛乳、これは夢 これが現実 燃えるゴミの日 顔も声も知らない人を悼む 肉屋の店主は暑さで死んだ それでも生きる それでも生きる 何度でも出会って出会い直したい
日々、それは体重計が指す数値 数値は生きた証か否か 朝にならないと安心して眠れない点においては定評がある 「泣いていい」「無理しなくていい」「逃げていい」 おれはすべてを無視してもいい 2、3回壊れているし手が汚れるくらいどうってことはないだろ あの店の炒飯ピンク色なんだよって話したことを思い出してる 校庭にカラス そこには桜という花が咲くから必ずまた来い
這うように坂をのぼったすぐあとの横断歩道を渡って吐いた どうしたって時の流れに気づいてしまう 朝は世界をあたためていく 歩くこと歩き続けることそれが今日もわたしが歩く理由だ 食器用洗剤服についたから全部どうでも良くなったかも 一人飲むスミノフこんないらねえよ浮かんで消えて、浮かぶ顔ぶれ 守りたいものはまだあるのだろうか いまさら悔しがってるおれに
本当かどうかは一旦置いといて運命なんて邪魔でしかない 知らないことはこれから知っていけばいい わからないことはわからないままでもいい もう遅い何もかもが遅すぎたのだ お急ぎ便で目薬を買う 何ひとつ叶わなかったね 生きる意味なんて知らずに生きていけるね 夜明けへと向かう世界の音を聞く わたしはわたしを犠牲にしない
きみは静かに離れていくような気がする わたしが嘘をつくまでもなく 一度でもきみの世界で息継ぎをしていたならばここにいたかな 言えなかったこととかできないこととかが黙ってわたしのあとをついて来る 親指と人差し指でこじらせたこれはどこにも行けない愛だ 皮膚科にも通っているし間食も控えているし夜明けも来ない もしですよ、もしこの夢が叶ったらおれ何もかもやめちゃわないかな
ああいうのきちんと言える人がうまくいくんだろうな「きれいだよ」とか もう二度と会わないだろう人々のうちの一人としてここにいる わたくしの影に笑顔に何者も見出さないでほしいだけです あれはたぶん2時から4時で時間帯指定の荷物が届いた音だ 忙しい現代人は10分の花火で何を弔うだろう C列の22番は最後まで空席 僕だけが知っている ◆ ◆ ◆ ここ1年くらいは、作ることよりも誰かを応援することで満たされることが多い。 短歌を作るかわりにピアノを弾くようになった。 家で
あ、桜 通り過ぎてく一瞬が生きる理由になると思った 誰一人ひとところには留まれないならば近くにいようあなたの 明け方の始発が到着する音はわたしを妙に安心させる 世の中のニュースはだいたい把握した 今日の天気がわからずにいる 書き留める必要なんてない 喉を通って届く言葉だけなら 感動や憧ればかり追いかける孤独に耐えることを忘れた それだけで良いわけがない 連絡をもらった夜に買うコンビニ飯