Arata Tanaka

旅と美味しいものが好き。 HP : https://arata-tanaka.themedia.jp

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音楽の迷子

大学の単位を取り終えた僕は、南米への旅の計画を立てたり、お世話になった人に会いに行ったりとのらりくらりと生きていた。 「台湾で通訳しながら店のお手伝いしてくれないか?」というお誘いをいただいたのはそんな時だった。以前インターンでお世話になった地元の農家さんが台湾の高雄という街の一流デパートの北海道物産展で出店することになったのだが、同じ時期にマレーシアへの出張も控えていて人手が足りないとのことだった。二つ返事で行きますと伝え、本当に台湾まで来てしまった。 たくさんのご縁も

    • H&Mに行った

      僕はH&Mに行った。 日本を経って半年が過ぎた頃、デリーのゲストハウスで起き上がれない日々が続いた。インド特有の激しい腹痛のピークは過ぎたが、どうも起き上がれないでいる。腹が減れば近所の食堂でおきまりのカレーを食い、トイレでおきまりの喘ぎ声をあげたのち、ベッドで天井を見つめていた。 インドに来て何週間が経ったのだろうか。小学4年生の時、家族旅行でムンバイとゴアを訪れて以来のインドだ。急激に成長を遂げているらしいインドは、10年も経つと確かに空港も店のトイレも、格段に綺麗に

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        Beppu②

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          Beppu ①

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          Vladivostok

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          PALESTINE

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          難民と共に

          カタカタカタカタッ!ガッシャンガッシャン! ミシンや織り機の賑やかな音と共に、ヒジャブやアフリカ布のターバンを巻いた女性たちの笑い声を路地裏に響かせるギャラリー、その2階の小さな屋根裏部屋が僕に与えられた小さな工房だった。 ロミオのジュリエットの街ヴェローナ。 街全体が世界遺産に登録されているイタリアの小さな田舎街には、その美しい街並みを一目見ようと世界中から観光客が集まっている。 街の中心の広場には、イタリアを代表するハイブランドのブティックや小洒落たオープンレ

          難民と共に

          チェルノブイリと生きる

          アイルランドはとにかく雨の日が多い。 いや、正確には毎日がくもりなのだが、1日のうちに何度か小雨が降る。 「今日も雨かぁ、まったく参っちまうよなぁ」 そう声を掛け合いながら行きつけのパブに向かい、セッションを聴きながら一杯のスタウトで粘るのがアイルランドの習わしなのだが、この日は近所のスーパーで瓶ビールを確保してからカティアと堤防に向かった。ベラルーシ出身のカティアは、アイルランドのホストファミリーの元でホームステイをしながら子供たちのベビーシッターをしている。 ほと

          チェルノブイリと生きる

          路上で暮らすジプシー

          「あいつはジプシーだ!話してはいけない!」 普段穏やかなホアンがバスク訛りのスペイン語で叫んだ。足早に立ち去るホアンの目は充血していた。 アイルランドの首都ダブリンからローカル電車で30分ほどゆられた先にある港町ダンレアリー。 小さい街も見てみたいと思い乗った電車から流れる海の見える街の風景に一目惚れし、飛び降りた駅がダンレアリーだった。端から端まで30分もあれば歩けてしまう小さな街を一通り見て回り、そのままこの街に住むことに決めてしまった。日本からアイルランドに渡って

          路上で暮らすジプシー