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ネパールの犬に噛まれる

ネパールの西部ドゥリケルという村にいる。
午前は、村の小さな家に行った。
疲れ果てている。


17:15

宿に着いた。


もう少しでご飯ができるというので、宿の食堂で待つことにした。

この宿は76歳のお爺ちゃんが営む。

一面絵に囲まれた空間。
お爺ちゃんは、憂いの中に幸せそうな表情をみせる。

そして、何も言わずに一点を見つめる。

ただ過ぎる日々を暮らしているその目の奥は、何かを待っているようにも思えた。

毎日毎日、同じ習慣で暮らしている。
その瞳からお爺さんの生活が痛いほど感じられる。

ただ死を待つのではなく、ただ生を待っている。美しかった。

「1日の中で、一番幸せなのはいつですか?」

と僕が聞く。

60年この宿をやってきて
旅人の客と話すのが唯一の楽しみだと話してくれた。

でも、コロナの影響で2年間誰も来ていなかったらしい。

僕はたまらなくなって、明日も泊まるよと約束した。

そしてこのお爺ちゃんが大好きになった。

しばらくするとご飯が来た。
美味しい…


どこか愛がこもっている気がして、安心できた。

心も温かい…


食事が終わってからも、
お爺さんと一時間ほど会話を楽しんだ。

そして部屋に戻ることにした。


僕の部屋は「3階」にあるため階段を登っている





ヴァンヴァンギャンギャン!!!



ウォンーーーヴォンギャン!!


ドタドタドタドタドタドタ

ドタドタドタドタドタドタ


下の方から図太い犬の声が



上がってきている、、?

やばい
殺される。


僕は全力で階段を駆け上がった

犬がすぐ後ろにいる!


その瞬間

ドンッッガッッッ




僕よりも大きなシベリアンハスキーが、飛び掛かってきた。

服は噛みちぎられ、肌に牙が届いている。


いたい


怖い


終わった…


この国の犬は噛まれたらやばい。

狂犬病になる可能性がある。

狂犬病になれば致死率は100%

このまま僕は死ぬのか…?

色々なことが頭を駆け巡る。

とにかく、犬を足で蹴飛ばし階段の下に落とした。

そして部屋に戻って深呼吸をする。

心なしか息が浅い。

傷跡を確認する。

血は出ていないが、歯の跡がついている。

狂犬病のあれこれを調べた。

発症までは2ヶ月程あるのか、
それなら死ぬまでに、ある程度やりたい事はやれるな。

とも思った。


まぁ、とにかく宿の人に相談しよう…


でも廊下に出ると犬がいるかもしれない…


僕は傘を構え、宿のお爺さんの元に向かった。


噛まれたことを説明すると、
お爺さんはこう言った。

『そう言えば犬を紹介してなかったね、一回君の匂いを嗅がせて友達になろう。』

何言ってんだクソジジイ…
怪我の心配はまるでしていない。

僕が本当に犬が苦手な事、
そもそも触れすらしないことを必死に、
何度も説明した。

でもクソジジイ、無理やり犬を連れてきた。


マジで殴ろうかと思った。


ジジイが犬を抑えたまま、僕の匂いを嗅がせる。


僕がビビっているのを感じてるのか、犬は強気だ。

ヴォンヴォン

犬が吠えながら飛び掛かってきた!

間一髪、ジジイが首を引っ張ってくれた。

それでもジジイは犬に匂いを嗅がせようとする。

バンッッッ

犬は興奮状態で、
何度も僕の顔めがけ飛び掛かってきた。

結局、仲良くなれないまま犬は部屋に入れられた。

その後ジジイは
「その犬は狂犬病のワクチンを打っている上、傷も浅いから大丈夫だ」と言った。

安心した…

でも
本当だろうか。

『ごめん、明日泊まるのやっぱ無しで』


そう告げ、部屋に戻り、

一応、二ヶ月の間でできる

【死ぬまでにしたいことリスト】

を書き、明日の予定を立てた。


けど、またこの宿に泊まりに来たいと少しだけ思った。

老後は家族や友達とゲストハウスやったりなんかもいいなぁ。


次回
『遂に財布盗られる』

嫌なことは続くなぁ

噛まれて破れた服
泊まった部屋かわいいね

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