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ネパールの絵画教室

これは二十歳の僕のネパール日記。


ネパールのアートスクールに行く。

「パタン」という町にあるらしい。
とてつもなく楽しみだ。


そもそもネパールの学校に「美術の授業」はない。

これは日本の会社の慈善活動で始まったもので、
日本人のアーティストが教えにくることもあるんだとか。

ボロボロのタクシーに乗り、三十分ほど走らせると着いた。

「どれがアートスクール?」
最初の印象だった。

着いた場所には、小さなお寺のような建物と、一面壁の剥がれた倉庫しかない。

しばらく待っていると、その倉庫に子供たちが集まってきた。
どうやらここが会場らしい。

土の地べたに直接敷かれたマットの上に座っていく。
みんなが緊張しながらもワクワクしているのが伝わってくる。

1時間ほで30人の子供が集まった。

子供の年齢も家庭も様々、貧困層が多いらしいがみんな仲睦まじく楽しみにしている。

まず、
子供たちはスケッチブックに自由に絵を描いていく。


ある子は「月」のある空を書いている。

夜だろうか。
黒い空と山の上に月が浮かぶ

“しかし子供は月に色を塗っていない”
真っ白なのだ。

私は黄色のクレヨンを取って、
「月に色を塗らないの?」と聞いた。

すると子供は半笑いで

『月は白いよ』

と返してきたのだ。

あ…
夜の月を思い返して欲しい。

たしかに、夜の月は「黄色」ではなく「白」だ。

うわぁん、、、

そしてネパールの子が描く太陽は黄色い!

うわぁん、、、、
完全に負けた…

どれだけ自分、強いては日本人の脳は記号化された固定概念に侵されているのだろう…

うわぁん、、、、

その固定概念に自分で気づくのは難しい。
ネパールの子供たちは、普段絵に触れる機会が少ない分、
フラットに、見たままを描く能力に優れているのだ…

家だって、日本のように記号化された平面的な家を描く子はいない。
皆立体的な家を描くのだ。


うわぁん…

他にも、

花やイルカ、フラミンゴ、ネパールの文化財など、
何も見ずともスラスラと描きたいものを描いている。

皆んなめっちゃ丁寧に描く

ここで僕が驚いたのは、
誰一人として横の子の絵を真似しようとしないのだ。

日本の学校なら
隣の子を真似して描く子がいて
完成した頃には、同じ様な絵が何組も出来上がっている。

周りに合わせて自分の描きたい絵を描けない子がたくさんいるのだ。

でもネパールにそれはない。

日本の空気を読む環境、ましてや同調圧力社会は子供の絵にまで影響しているのかと少し悲しくなった。

なんか
もっと色々思ったことを書こうと思ったが、
ウダウダ言ってても仕方が無いので
今から絵を描こうと思う。

それでは!


次回!
『村のジジイについて行く』

知らない山奥の、小さな小さな家に招待されます。

(アート教室:株式会社サンタン、写真:宮田澪)

歓迎の儀式をされ嬉しそうな俺
群がる子供たち
子供がくれた花
ええやんええやんかわいいやん
黄色い服似合うな!
出してくれたご飯。ジャムパンとカレー豆と卵


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