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『ゴジラ×コング 新たなる帝国』〜怪獣バトルアクションを&ドラマ……はい、怪獣のドラマです!

 以前の予告解禁時に
「ゴジラとコングでパンチ・パンチ・パンチ!」
と書いたのは間違ってなかった。

 前作『ゴジラvsコング』は、『髑髏島の巨神』でその存在がほのめかされた「地底世界」をもう一つの舞台として描き、さらに両者のガチバトルをしっかり見せた。とはいえ話の筋としては
「そうだね、そうなるよね!」
という、バトルの結末や登場人物の行く末も収まるところにおさまった、という感があった。そして何度も書くけど小栗旬だけがよく分からなかった。

 その続編となる本作。メガホンを取るのは引き続きウィンガード監督だ。また「あの感じ」なのか? と思いきや、予告解禁の時点で「全力疾走するゴジラとコング」が話題(ネタ?)になり、敵怪獣も一体ではない&味方としてモスラ再登場と、これホントに同じ人? 少しドハティ監督のノリを受け継いだのか、それともこれが素なのか? といろいろ考えつつ劇場へ。

 ……いやビックリ、9割型怪獣の話だった!! 

 ゴジラが地上生物の頂点に立ち、コングが地下世界を安住の地としたことでこの世の秩序は保たれることになった、かと思われたが……という不穏な空気から話が始まる。我々人類はまだ世界のごく一部しか知らなかったのだ。
 そして「実はこうでした」とばかりに新展開・新要素が次から次へとふんだんにかつスピード感満載で描かれる。一方で物語のかなり重要なトコまでも駆け足で、ややあっさりしてたようにも思えた。まあこれは全体に早い方へ足並みを揃えた、というべきかしれない。怪獣アクションドラマに重きを置いて、それに徹した潔さは好きだな。

 もちろん人間側の物語も描かれてたが、ほぼ解説役のサブストーリーと化していた。怪獣の描写に重きを置けば、そりゃまあそうなってしまうだろうと。とはいえ「こんなこともあろうかと……」てなきっかけを作るのはやはり人間だったりする。ほんの一割かもしれないがオマケでは無いよ、と言わんばかりだ。

 なにせ、本作の主役は怪獣であり、本当に怪獣の物語なのである。
 台詞こそ無いが、その表情や仕草で何を言わんとしてるかが分かるし、性格までしっかり見えてくる。怪獣アクションをやりつつ怪獣ドラマまでてんこ盛りなのは予想外。
 そんなドラマ描写に関していうと、やはり人間と意思疎通も可能なコングの方がメインになっていて、出番もコングが多めか。とはいえさすがに表情豊かなゴジラというのも変である。常に無表情なゴジラの分だけコングのリアクションが必要なのだろう。

 そのドラマが多い分だけ、ゴジラとコングでパンチ・パンチ・パンチ!な部分(共闘)はもっと観たかったトコでもある。敵役も「力」ではなく「暴力」をもってして支配する暴君キャラであり、怪獣まで従える狡猾なヤツだ。人間臭くて強さも十分。しかしあの結末からすると、あくまでも「従わせる」のが上手かったということか……と、これ以上はネタバレになるから止めておこう。

 およそ2時間、トコトンまでに繰り広げられる怪獣バトル&ドラマ。ホントに「怪獣」な映画でした。

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