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外資コンサルで出会った「超絶に仕事ができる人」の時間の使い方 - 3例

「考えるな、感じろ!」
ブルース・リーの映画“燃えよドラゴン”に出てくるこの名言とは真逆の言葉「考えろ!」をコンサルティングファームに入った当時、良く聞きました。最近は、上司が答えやヒントを与えてしまうからか、あまり聞かれないですが、いつも答えをもらっていると、いざ自分が上司になった時に考えられなくなってしまわないかと心配になります。
この「考えろ!」をかみ砕くと、「Whyを3回繰り返せ」と同じで、「なぜこれが必要なのか?」などと自分で問いを作り出し答えを考え、これを3回繰り返すことによって深掘りしていくことが「考えろ!」だと思っています。
さて、仕事の出来る人は、何を考え、どのような時間の使い方をしているか、12年間在籍した外資系コンサルティングファームで出会った超絶に仕事の出来る人を紹介したいと思います。

1.仕事ができるできないの前に向き合い方

頑張りすぎない働き方、コンサル流ロジカルシンキング、効率を高める仕事術、人を動かすマインドセット、適当に書きましたが、仕事に関する本は山ほどあります。
会社員は安定していると言う人もいれば、リスクが高いと言う人もいる、仕事で無理はするな、嫌なら辞めれば良いなど著名人が様々な仕事の向き合い方を語っています。ブラック企業という言葉が世を賑わせたと思えば、いくつもの会社が、残業なしを売りにしたホワイト企業を主張しています。
時代時代で、いろいろな人が様々な意見を言いますが、個人的には、仕事の向き合い方にルールも常識もなく、流行りに乗る必要もなく、またどれが正しいということでもなく、選択肢を提供してくれていると理解しています。
仕事の向き合い方を主張する人は皆、仕事を通じてどうなりたい、こうありたい、という自分なりの考えを持っている方だと思っています。
極論的な考え方だとしても、仕事の向き合い方を導きだしたのは、よく考えた結果であり、この考え方が根底にあるから仕事に向き合う軸ができ、そのぶれない軸があるから仕事ができることに繋がると考えています。
これまでに出会った仕事の出来る人たちも、仕事への向き合い方が定まっている人が多いです。

2.これまで出会った仕事が出来る人の時間の使い方

以前在籍していたコンサルティングファームのMDやクライアント企業の部長や役員クラスの人は、結局なんだかんだで、仕事をしている時間が長いです。立場的に仕事量が多いからというのもありますが、その地位になる以前から長い時間働く人が多い印象です。
そして、ダラダラ長時間働いているわけではなく、うまい時間の使い方をして長時間働いているのです。これまでに出会った仕事が出来る人から感銘を受けた時間の使い方を3つ紹介します。

① 濃度を上げる
自分の仕事の限界を知りたいのか、とにかく詰め込む人です。
やる気があるから仕事が増えていくのか、パフォーマンスが高いから次々に仕事が降ってくるのか分かりませんが、何しろ自分で抱える仕事量を増やします。
この仕事の出来る人は、増えた仕事を時間をかけて消化するのではなく、時間を制約として考え、出来るだけ業務時間内にやりきる発想を持っています。
単位時間当たりで消化する仕事量を上げている、つまり、濃度が高いです。
1時間限定で飲みに行って酔っ払いたいなら、アルコール度数の高いお酒を飲むのと同じことです。

会社員の場合は、仕事を増やすことには限界があるかもしれませんが、雑用や事務作業を積極的に受けていくことで、この濃度を上げることは出来ると思います。仮に8時間かかる本質的な作業を抱えている中で、2時間かかる雑用を振られたら、8+2の10時間と考えるのではなくて、8-2の6時間で本質的な作業を行なうことを考えるのです。
この仕事の出来る人は、引き算的発想で、どうしたら少ない時間で同じ成果を出せるかを常に考えているのです。ちなみに、この人は、プライベートも趣味の予定も、常人には考えられないくらい詰め込みます。

② ギアを備える
普段はふんわりした感じですが、時に驚異的な一言を発する人です。
エレベータートークやパワーランチは、それなりの地位の人だけに求められることかもしれませんが、30分しかない中で重要な決定をしなければいけないなど、短時間で確実に成果を求められる場面は会社員にもあります。
この仕事の出来る人は、特に判断することのない会議では穏やかに構えていますが、このタイミングを逃すと次はないというシーンやクライアントの顔色が変わった瞬間に豹変します。
隣にいても、温度が上がった感じを受け取れるほど、この瞬間はエネルギーを集中させて、脳みそをフル回転させてトップギアに入れた感じです。
この人は、ギアを備えていて、エネルギーの使い方をコントロールしているのです。
どうでもいい時はローギアで省エネ走行をして、勝負所ではハイギアで挑む。普段からハイギアでは疲れますし、いつもローギアではいざという時に成果を得られません。ギアを使い分けることで、トップギアの場面では特に高いパフォーマンスを出せるようにしているのだと思います。

誰でもギアを備える訓練はできます。会議で質問に対して10秒以内に答えを出すとか、常に一言で説明するなど、自分で勝手にルールを作ってしまえば良いのです。
デスクワークでも、提案書を2時間以内に作る、報告書を1時間で作るなど集中する時間を決めることで、ギアを上げる訓練はできます。

③ ワークとライフがグレー
好きこそものの上手なりとは、その通りです。この仕事が出来る人は、仕事が好きというか、好きと思い込むことができる人です。
仕事の延長線上で、人と会い、沢山の本を読み知識を得て、自分の考えを常に持ち、どんな話題でも会話を成立させて意見も主張します。
心の底から仕事を好きになることは難しいですし、出来れば仕事はせずに遊んで暮らしたいと思ってしまいますが、この人は、仕事を好きと思い込んで、あるいは仕事に楽しみを見つけているように感じます。悪く言えば、公私混同ですが、良く言えば、仕事とプライベートの境目がグレーなのです。

普通の会社員がイメージするワークライフバランスは、残業をしない、土日は休むと考えているかもしれませんが、この人は、平日の業務時間内に床屋に行ったり、平気で昼寝をしたりします。平日にゴルフに行くのも役員クラスが圧倒的に多いと思います。一方で、業務時間や土日の枠にはとらわれることなく、やることがあれば深夜だろうと早朝だろうと、土日だろうと働きます。
休暇についても同様で、普通の会社員だと毎年決まった時期(GW、夏休み、年末年始)に長期休暇を取れることを期待していますが、この人は、いつか休める時がきたら思いっきり休むという考えで、格好よく言えば、暦にも縛られていません。
これは、地位や役職が高いから出来ることかもしれませんが、時間や暦に縛られない考え方を持つことで、ある程度、自分で時間をコントロールしているのです。
これこそが、本質的なワークライフバランスだと思います。

働き方改革が騒がれていますが、これは会社側の都合であって、労務の問題を避けるための仕組みです。
受験の時には、スタディーライフバランスとは言われずに、小学生も中学生も受験生は皆、長時間勉強しまくっています。
趣味を仕事にした人はもはやライフがワークですし、プロスポーツ選手にいたっては、ワークとライフの区別すらない気もします。

3.期待は危うい

新卒や中途の採用面接で、「研修制度にはどういうものがありますか?」という質問。
人事部の人であれば丁寧に教えてくれるだろうし、研修の手厚さは、就職したい人にとっては魅力のひとつなのかもしれません。
でも、この質問を本気でする人は、危ういと思います。会社に何かを期待して、もし期待通りでなかったら裏切られた気持ちになってしまうのではないでしょうか。研修がないから、先輩が教えてくれないから、これらは仕事に向き合わない言い訳を探しているようなものです。
転職におけるミスマッチという言葉を聞きますが、それは会社に期待したことが外れたとも言えます。人間関係でも普段の生活においても、期待通りになることなど滅多にありません。なのに、一生で数回程度の転職において、期待通りになることは奇跡です。期待通りの会社に巡り会うまで転職を繰り返すつもりでしょうか。

趣味のことであれば、自分から情報を調べて、良い道具を揃えたり、スクールに通ったり、仲間と集まって情報交換もするでしょう。それは自分から行動していることで、それこそがうまくなりたいという意思です。
趣味は、単に好きだから自分から行動しているとは思いますが、仕事でも、会社や上司に期待をしないで、成長するためには何が必要かを自分で考えて行動すれば良いのになぁと思います。

4.最後は自分自身

「人は石垣、人は城、・・・」人を大切にとは経営者がよく使う言葉です。
確かにそうだと思いますし、駄目な人をすぐに切り捨てていては、ビジネスの成長も頭打ちです。とはいえ、やっぱり駄目な人は、いくら教育しても駄目ではないかと思い悩むこともあります。
多くの役員や経営者と話していても、人は財産とは言うものの、後継者選びには苦慮していることが多いし、本当に駄目な人には、そのような扱いをしています。
社員は家族のように扱い終身雇用を約束している日本の大企業でも、業績が極めて悪化した際には、リストラとして切る人を決めます。なるべく社員を守りたい気持ちはあるものの、結局は、方針に過ぎず絶対の約束ではないのです。
会社に守られてる、上司に守ってもらっている、その関係性は素晴らしいものですが、本人がそう思ってはいけないと思います。最終的には、自分のことは自分で守らないといけないのです。

5.まとめ

以前、仕事の出来る人と一緒にクライアント先の大きなビルで午前中の会議に参加しました。ランチ時は下りのエレベーターになかなか乗れないので、会議を少し早めに終わらせてエレベーターホールに向かう途中、一人の後輩がトイレに行ってしまいました。
その間1-2分だと思いますが、それでもエレベーターに乗れない状況になってしまったため、この仕事の出来る人は、ものすごく怒っていました。
1階に降りてからトイレに行けばよいし、何のために会議を少し早めに終わらせたのかと。
この人の性格かもしれませんが、仕事の出来る人は、1分でも無駄な時間を使いたくない、時間を大切にする人が多いと感じます。

また、仕事が出来る人は、会社に期待も依存もしていません。会社の看板で仕事をしているわけですが、看板に守られている意識ではなく、大きな仕事、優秀なクライアントと仕事をしたいために看板を利用しています。
その上で、有限な時間を最大限有効に使うために、時間の使い方を自分なりに考えて仕事に取り組んでいるのです。

イラスト:「超絶に仕事ができる人」の時間の使い方

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