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1から始めるインハウス メタバースプロジェクト

3/1のライブ配信にて、アメリカでメタバース開発に携わった経験を持つ2人が、自身のストーリーを語ってくれました。ここでは内容を抜粋し、日本語でお届けします! スピーカーは、エイクエント(元Accenture)でメタバースチームを率いるNate Essin (Metaverse Practice Leader)と、アメリカの大手クラウド音楽サービスiHeartRadioのChris William (Former Chief Product Officer) 。

こんなことを話しています⏬

  • グローバルブランドがどう企業内外でメタバースを活用しているか

  • インハウスエージェンシーがメタバースプロジェクトを進めるために重要な機能とパートナー構築

  • どうしたらブランドのイメージ、メッセージ、価値を強化し、メタバースプロジェクトを成功させることができるか

  • メタバースと他のSNSとは何が違うのか

  • 人々はメタバースのコミュニティに何を求めて来るのか など

グローバルでおこなったメタバース意識調査はこちら⏬

企業(ブランド)がワールドやNFTに本気を出している

Nate: メタバースは、私たちが今体験している世界を変えようとしています。例えば、昨年は240億ドルのNFTが売れましたし、バーチャル世界に足を運ぶ人も増えています。Robloxは多くの若者が集まる場所であり、毎日6100万人がログインしています。そして、これらのワールドの多くが、ユーザーによってユーザーのために作られたものです。つまり大規模なゲームスタジオが何年もかけて作ったものではなく、観客自身がその時々に彼らが興味を持っているものを作っています。

Mercedes-Benz x デジタルツイン

企業の例として、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、すべての製造業務をメタバースに移し、すべての工場がこの3D環境の中で可視化できるようにしました。デジタルツインを使ってオペレーションを計画し、現場で何が起きているのか、人の動きに至るまでリアルタイムで見ることができるようになるのです。それは、拡張や車種のプランニング、環境の再構成を行う際に、大きな価値を発揮します。

メタバースは、私たちが体験する世界を変える

NIKE(ナイキ) x NFT

デジタル体験が物理的な製品と組み合わされることで、その価値を高めることもできます。NIKE(ナイキ)がNFTプロジェクトを立ち上げ、物理的な商品と組み合わせているのは、その良い例です。このパーカーは本物のパーカーですが、NFTとしても購入できるデジタルツインがあります。本物のパーカーにはチップが埋め込まれており、ユーザーはそれをNFTとペアリングすることができます。つまり、私がそのパーカーを友人に売れば、その友人も自分のアバター用にNFTバージョンのパーカーを手に入れることができるのです。これは非常に初期段階ですが、より多くの企業が始めています。

NIKEのNFTペアリングパーカー

このパーカーで私がとても気に入っているのは、AR(拡張現実)と組み合わせて、スマホカメラを通して、自分のアバターがどのように見えるかを見ることができる点です。メタバースと呼ばれる所以は、リアルとバーチャル、2つの世界の間にある鏡のような存在だからです。

カメラでパーカーを写して自分のアバターを確認

メタバースの領域

Nate: エイクエントでは、メタバースをデジタルオーナーシップからバーチャル空間までのスペクトラムとして捉えています。ブロックチェーンによるクリプトやNFT、ブロックチェーンゲームといった、デジタルで何かを所有&証明できる “デジタルオーナーシップ” から、その所有物を置く場所である “バーチャル空間” まで幅広いのです。

メタバースは、デジタルの所有権〜バーチャル空間までの体験

最終的には、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などでバーチャルな世界に完全に入り込むのですが、その中間にはデジタル・ツインやマルチプレイヤーゲームのようなものがあります。メタバースとは、バーチャルな場所からデジタルな所有権に至るまで、さまざまな体験が可能であり、多くのデバイスからアクセスできるものだと考えています。VRやARのことだけを言っているのではありません。私たちが一日中つながっているモバイルデバイスや、職場で使っているデバイス、さらにはゲーム機も含まれます。

どうやってインハウスエージェンシーがメタバースプロジェクトを始めるのか?

Nate: では、インハウスエージェンシーの話に移っていきましょう。メタバースは、ブランドとして業界のリーダーとしての地位を確立するための絶好のチャンスです。競合他社がまだやっていないことがたくさんあり、さまざまなプロジェクトで社内外に価値を見出す方法がたくさんあるのです。では、どのようにして戦略的にインハウスエージェンシーがメタバース機能を作れる(インハウスでメタバースプロジェクトを進められる)のでしょうか? どのように始めればいいのでしょうか?

今回は、エイクエントとエイクエント スタジオでおこなった方法について、少しお話したいと思います。

データの安全性やプライバシーのリスクが伴う

メタバースの開発には、多くのリスクが伴います。もし失敗すれば、ブランドの健全性に関わるリスクだけでなく、ユーザーの安全性にも関わることがあります。ユーザーデータだけでなく、組織のデータも含めて、データやプライバシーに関する懸念もあります。さらには、公平な体験を提供できるようにするべきです。さまざまな能力を持つ人たちが、スペース内で自分を表現できるようにするために必要なことはたくさんあります。慎重な計画が必要です。

メタバース開発で必要なこと

エイクエント社内でのアプローチは、ソリューションカタログを開発することでした。

ソリューションカタログを開発する

まず課題だったのは、メタバース構築に関する社内やクライアントからのリクエストに対して、何をしたら良いのか? インハウスエージェンシーの場合は、社内やチームから、デジタル製品の発売やNFTの発行、またはNIKEのようにこの両方をかけ合わせた体験を作りたい、とリクエストがあった場合、どうすればいいのだろうか? 

すべてをインハウスでおこなうのか、あるいはこの分野を得意とする、経験のある代理店やスタジオと提携し、彼らに任せるところは任せ、自分たちはブランドの価値や安全性などのすべてを監視する役割を担うのか?

つまり、外部に依頼するものは何か、そして、自社でおこなうものは何かを決めることです。(外部)パートナーとのネットワークを構築しておくことは、リクエストを受けたときに、誰に頼めばいいのかがわかるので、とても大切です。

パートナーネットワークの構築が大切

体験そのものは非常に複雑なものになる可能性があります。メタバース体験の開発には、アプリなどの開発と同じように、多くのレイヤーがあります。まずベースライン(Computing)では、バックエンドで多くの開発が必要になります。そして、バーチャル空間やデジタル所有権、他のユーザーとの繋がりといった実際の体験(Experience)と、このComputingとを繋げること(Connectivity)が必要になります。つまり、メタバース体験を提供するためにはこのような3つの機能、そしてそれを提供するためのチームが必要です。

メタバース体験に必要な3つの機能

このような要望を実現するために、どのような人材を招き入れようかを考えます。外部ベンダーを利用して何らかの形でチームを補うのか、それとも、社内で雇うのか。

新しい職種の需要が生まれている

需要が高まっている、あるいはこれから高まるであろう新しい職種は何かという質問を最近よく聞きますので紹介します。これらはほんの一部です。

  • Web3 Community Manager

  • Creative Technologist

  • Smart Contract Developer

  • Smart Contract Auditor

  • Technical Artist

ブリーフィングを作る

もうひとつよく受ける質問は、どうやってブリーフィング(要点をまとめた資料)を作っていますか? というもので、私たちはデザイン思考のプロセスを踏襲していますが、いくつか重要な違いがあります。
問題を定義し、プロトタイピングしてテストし、スケーリングし、テストしながらまた定義とプロトタイピングに戻る、というような話なのです。しかし、なぜそれ(メタバースワールド)を作るのか、ということは理解しておく必要があります。

メタバースブリーフィング

来る人の「共通点」を理解する

Chris: そこ(なぜメタバースワールドを作るのかということ)が本質で、コミュニティをまとめる接着剤のような役割です。LinkedInやdiscord、Instagramでコミュニティを作ろうとするにしても、共通点を持つ人たちのコミュニティをまとめるのは何なのか、明確に理解しておきたいものです。彼らは何かのファンであったり、何かに情熱を持っていたり、何か共通の価値観を持っているはずです。メタバースでも同じで、ただ全く異なるプラットフォームを提供するだけです。

だから、「何が」このコミュニティをつなげているのかを明確に、すべてのことを組織化せずに飛び込むと、人々はブランドの関連性だけで訪れても、すぐに離れてしまいます。そこにいる意味やそこにいる人と繋がる意味を感じないからです。メタバースでの体験では、その中心的な組織原理をより明確に、より頻繁に強化する必要があると思うのです。

Nate: ありがとうございます。これに加えて、オーディエンスがどこにいるのかを確認する必要があります。彼らがすでにメタバースにいるのであればそこで出会うことになりますが、まだメタバースにいない場合は、彼らがメタバースに入りやすいような方法を用意し、適切なオンボーディングに導き、その体験を楽しんでもらえるような環境を整える必要があります。

Accentureの開発ストーリー

Nate: 私のAccentureでの経験を少しお話しします。70万人以上の従業員がいる中で、社内に6万台のバーチャルリアリティ ヘッドセットを導入しました。配備されたヘッドセットは6万台ですが、ノートパソコンからもアクセスできるようになっているため、ヘッドセットを受け取っていない従業員や、受け取れない国にいる従業員の多くが、パソコンからこれらの体験にアクセスしています。

私はこのチームに所属し、さまざまな部署で要求されるバーチャル体験を、特に従業員向けに提供していました。従業員のために文化的なイベントなどを行いたいという要望が多く、例えばこのイベントでは、インクの入った壺に近づいて、それをクリックすると、ドカンと煙が出て、手のひらに10個くらいのインクがつく、とか。

しかし、このようなイベントを開催するには、大規模レベルの組織化が必要でした。そこでAccentureは、1つのプラットフォーム(altspace VR)に対してのみ開発を行うというアプローチをとりました。そして、参加するすべてのプロジェクトで、ステークホルダーにする質問は全く同じ、同じミーティングを行うというプロセスを設けています。そして、私たちのチームには専任の開発者やボランティアグループもいて、本当に情熱的な人たちが集まりました。

このような体験ができるのがバーチャルリアリティですが、実現するためには、多くの人が必要です。あとは、このようなイベントを行う場合、依頼者側にフォローアップができるスタッフがいると助かります。また、イベント前にリハーサルを行い、全員がこの技術に慣れているか、スピーカーはステージに上がり、ミュートを解除できるかを確認します。画面共有についての確認も非常に重要です。

ボランティアも彼らのスキルを発揮しています。一つはワールドビルダーというボランティアで、ワールド開発者が作ったアセットをワールドに設置する人たちです。そして、サポート側には、イベントをレポートするボランティアがいます。このように、組織の内部で環境を整えることができるのです。

iHeart Radioの開発ストーリー

Nate: そして、次はChrisにiHeartRadioでの経験を話してもらいましょう。

若い世代にとってメタバースは生活の場

Chris: まずは、なぜ私たちiHeartがメタバースに移行する必要があると思ったのかから説明します。メタバースはブランディングにとって重要だと考えたからです。メタバースは、ソーシャルメディアです。特にZ世代、a(アルファ)世代では、メタバースは彼らが共同生活を送る場所であり、仲間を集める場所なのです。ミュージック フェスで例えると、確かにラインナップは重要ですが、本当の目的は自分と似たような人たち、年齢も好みもファッションも似たような人たちに会うためなんです。つまり、共同体としての体験なのです。共通の価値観、音楽の好み、ユーモアのセンスなどに基づいて、ブランドが人々を結びつけるのです。それこそブランドでやっていることなのです。

私たちはコミュニティを構築していますが、コミュニティの場が変われば、その場への投資も必要です。だから、メタバースや、特にRobloxやFortniteにも進出し、iHeart Mediaの核であるコミュニティの構築、ソーシャル性、つまり人々を集め、ありのままの姿で遊べるスペースでお互いを見つけることを継続できるようにしたかったんです。

企業にとっての実用的なメリット

メタバース進出には他に実用的な理由もいくつかあります。まずは費用(と規模)です。私たちはいつも高いお金を払って物理的なスペースを借りてイベントを開催していますが、それをバーチャルな体験やコンサート、インタビュー、アーティストの出会いの場、ミーティングに変えることができます。スペースに費用をかけるよりもはるかに経済的に、はるかに大きな規模に到達することができるようになります。あとは間違いなくマネタイズです。マネタイズには、ライブイベントやゲームなどの体験を通じて、ブランドとの関わりを持つことができるコミュニティーの構築が必要です。

これらが、私たちがメタバースに光を見た理由です。これこそ私たちがいるべき場所だと思いました。私たちはメタバース空間で、現実の生活と同じような役割を果たす必要があるのです。

一緒に開発するパートナーを見つける

社内には専門的な知識がなく、専門の開発者もいなかったので、適切なパートナーを見つけることから始めました。ゲーム要素は重要です。Fortniteは約14歳、Robloxはそれ以下と、若年層が多いのです。

ゲーム開発者や、若い顧客層に対応できる専門家を確保する必要がありました。また、FortniteのEpic GamesもRobloxも、決まったツールセットの中で仕事をすることになります。その環境に存在するアセットを再利用し、できるだけ自分たちらしい方法で組み立て、独自のゲーム体験を作り上げるのです。

RobloxやEpic Gamesは、すでに開発のプロセスやブランドの安全性などすべてを理解している承認ベンダーがいるので、彼らと開発をすれば、自分たちでは気づかなかったような落とし穴にはまることもなく、マーケットへの参入が圧倒的に早くなります。私たちは、Fortniteでは、アトラス・クリエイティブ、Robloxはギャングというゲーム開発会社と一緒に仕事をしました。

両社とも私たちの意図を最もよく理解し、私たちの意見を受け止めて、さらに驚かせるようなものに仕上げてくれました。元々私たちにはアイデアがあり、何を求めているかというベースラインはありましたが、それを理解した上で、私たちの想像の範囲外であってもワクワクさせてくれるようなパートナーを探しました。

他にも、ゲームの開発にどれくらいの費用がかかるのか、どのような取引方法があるのか、といった交渉も必要になってきます。初期費用は抑えられるけど、収益の何%かを永続的に支払うプロフィットシェアを提案するエージェントもありました。

ブランドとして何を達成しようとしているのか、どのように実行するかを理解し、私たちのブランドを理解していくれ、イマジネーションを掻き立ててくれる適切なパートナーを見つけたら、iHeartLandをどのように差別化していくかを考えていきました。

ワールドで唯一無二のブランドをつくる

私たちにとって重要だったのは、これはただのブランディングのチャンスではないということです。ここはとても心のこもった場所で、ブランドイメージ、メッセージ、私たちがもたらす価値であり、それを強化するものです。他のブランドのワールドをただ複製して、ブランドを置き換えられるようなものではないのです。私たちは音楽にとてもフォーカスしており、すべてのゲームは音楽体験にフォーカスしています。ライブイベントにも力を入れています。RobloxとFotniteにあるiHeartLandの中心には巨大なステージがあり、パラシュートでそこに降り立つと、島全体がiHeartのロゴになっているのがわかると思います。そこに他のブランドのロゴを入れて、「よし、今週はSpotifyLandだ」と言うようなことはできない、うまくいかないはずです。これはどう見てもiHeartを象徴したスペースであり、私たちのブランドへの期待に応えるものだからです。そして、あの真ん中にあるステージでのライブイベントは、Fall Out BoyやSaweetie、Lauvなどのアーティストがステージで演奏しながら、全体を通してゲームプレイができるという、大きなイベントや大きな瞬間に人々を巻き込む機会です。その場にいるだけで交流が生まれ、出会い、遊ぶことができるのです。そして、それこそがメタバース空間が存在する理由です。数週間に一度のイベントのために存在していたわけではありません。

これが私たちの思考プロセスです。なぜ私たちはそこにいる必要があるのか?どうすれば納得できる費用でおこなえるか?私たちと一緒にこの作品を作り、一緒にブレインストーミングをしてくれる、適切な代理店やゲーム開発者は誰か?Roblox、Epic Gamesと提携すれば、私たちがやっていることを広められる可能性を高まるのではないか? そしてライブ後も維持・管理するために、また戻って再検討していく必要があります。

他のSNSとの違い

Nate: 陥りがちな間違いと、それをどう回避したかについて話してもらえますか?

Chris: 先ほど話した、Twitterでコミュニティを作ろうとするのと、メタバースプラットフォームでコミュニティを作ろうとするのとでは、本当に重要な違いがあります。

ツイートした場合はフィードに残るので、遡って私たちが何について何を言ったのかがわかります。私たちのビジョン、目的、信じていること、がそこに残るのです。(一方のメタバースプラットフォームは)本当にノイジーで、ライブであり、リアルタイムで起こっていることなのです。だから、なぜこの場所にいるのか、なぜここにいるのか、、、ちょっとやりすぎなほどに発信する必要があります。このスペースの目的は何ですか?

Twitterでやるよりも大げさで、やりすぎなくらいにしないといけないんです。なぜなら、ノイズが多く、24時間365日、常にオンになっているため、あなたが寝ている間に、誰かがあなたのブランドと交流し、印象が形成されていくのです。何を提供してくれるのか?私の人生を豊かにしてくれるものなのか?ここにいる意味は?このNFTドロップの価値は?あるいは、自分と同じような情熱・興味・価値観を持つ人たちとつながる機会を与えてくれるものなのか? コミュニティーの形成にはメタバースが語るストーリーが明確であり、共鳴するものであることが重要です。

陥りがちな落とし穴

もうひとつは、「空間が大きすぎる」というものです。思考を物理的な現実の世界から切り離すには、私には5、6回のブレインストーミングセッションが必要でした。ワールドを作り始めると、自分の周りの世界について改めて考えるようになります。そのうちに、「ちょっと待てよ、なぜメタバースでも重力の法則に従おうとしているのか?なぜ地上でしか作らないのか?雲であってはいけないのか?すべてが浮遊してても良いのではないだろうか?飛行船でコンサートをやったらどうか?みんな逆さまになったら?なぜだろう?」と気づき、次のブレインストーミングを始め、路線変更するのです。5回、6回と繰り返して、やっと「待てよ、飛べるぞ」というところまでたどり着けたのです。

現実世界のような物理的な制約や物理法則に縛られることがないので、多くのチャンスが広がりますが、熱中するあまり、広大なメタバース空間を構築してしまうリスクも考えないといけません。たとえ1000人来たとしても、広すぎてお互いに顔を合わせられなければ、「ここは孤独で人気がない、誰もいないんだ。」と思われたら興味を持ってもらえません。

「人々を交流させ、つながること」が重要なんだと気づくことで、実生活のルールから抜け出すことばかりに捉われて「自分たちは何でもできる」という認識を変えていきました。そうすることで、コミュニティーの形成、交流、つながりを促すことができるのです。NPC(ノンプレイヤーキャラクター)と呼ばれる、人のように見えるキャラクターを登場させれば、オンボーディングを始めたばかりのころの空っぽの部屋問題を解決するのに役立ちますが、あまりに多すぎると疑われて気味悪がられるので、バランスを取る必要があります。

Nate: 私もAccentureにいたとき、最初に開発したのは倫理委員会が発表するイベントのためのものでした。イベントスペースは島になっており、周囲は海になっていました。そして、橋がかかっていて、そこから別のエリアに行くことができ、倫理的な問題を発見し探求することができる迷路やインタラクティブなもの、博物館のようなエリアもありました。

島なんだからビッグアイランドでいいじゃないかという感じで、やりすぎましたね。私はテレポート機能を使っていたので、移動も簡単でした。でも、誰もがテレポートの方法を知っているわけではないので、世界をゆっくり移動していたユーザーは、片側からもう片側へ移動するのに5分ほどかかっていました。良い体験をしてもらうためには、横断してほしいので、「こんなに大きくする必要があるのか」ということを考える必要があるのです。広さを感じさせながら、インタラクティビティの幅を小さくする。

人との出会い・繋がりを優先する

Chris: 人がメタバースに行くのは、友達に会いに行くため、友達とつながるため。そして一緒に走り回ったり、ゲームプレイをしたりするんです。その逆はありません。ゲームをするために行って偶然に知り合いに出会うのではありません。

メタバースを社会的な体験として、没入型のソーシャルメディアであると考えるなら、どうすれば人々の交流がもっとうまれるのか、どうすれば人々がもっと繋がるようになるのか、ということを優先して意思決定するようになると感じます。面白い人に出会えば出会うほど、そして他の人とつながればつながるほど、仲間を作ることができる。そうしてまた来てもらう。

最もクールな銃を持っているとか、アバターのスキンが最高だとかいうことよりも、はるかに強固な価値となるのです。それはそれでカッコイイし、それは二次的な動機付けとして必要でとても価値があることです。でも、そこにコミュニティがなければ、自分の仲間だと思える人たちがいなければ価値になりません。あなたが作っている素晴らしいパワーアップアイテムや素晴らしいスキン、素晴らしいバーチャルファッションバードを共有したい、友達と交換し合いたい、とね。だから、ゲームとして考えるのではなく、没入型の社会体験として考え、人々がそこで互いに交流しているときに楽しませる必要があるのだと思います。

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