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メタバースにおけるインクルージョンは、デザインの必須条件

今回は、Aquentのアメリカ本社のコンテンツ&エディトリアルストラテジストであるElizabeth Toenyesが、シニアメタバースデザイナーとして働くGiovanni Castilloと、Vice PresidentのNitin Thukralと共に、メタバースにおけるアクセシビリティについて話し合いました。

以下のインタビューは、わかりやすくするために凝縮、編集されています。

あなた自身とメタバースの経験について、教えてください。

Nitin Thukral: 私はAquent Studios在籍しており、Fortune 500のグローバルブランドに対して、オーダーメイドのユーザー体験を共同/創造するサポートを行っています。私はデジタルネイティブではありませんが、インターネットやテクノロジーの影響を受けながら育ってきました。

Giovanni Castillo: 私はAquentのシニア・メタバース・デザイナーです。Aquentでは、将来のバーチャルコミュニティ、特にビジネスに特化した分野のプロトタイピングに携わっています。私のバックグラウンドは、メディアとシミュレーションです。約8年前、北アリゾナ大学(NAU)でバーチャルリアリティの研究室を立ち上げましたが、現在そのスキルと学んだ教訓をすべてエイクエントに応用し、没入型テクノロジーとバーチャルコミュニティの未来像として構想しているところです。

メタバースをアクセシブル(身近)にすることの本当の意味とは?

Giovanni Castillo: パラダイムやテクノロジーがあるからこそ、ある意味、身近なメディアなのです。コミュニケーションツールは、私たちの体験をバーチャル化することで、さまざまなものへのアクセスに革命を起こしています。
私にとっては、才能ある多様な人々が、リアルでもバーチャルの世界でも、体験や学習、教育にアクセスできるようにするにはどうしたらよいか? と考えることを意味していると思っています。

メタバースは、VRやAR、スクリーンベースのインターフェースなどの技術によって、これまで体験することができなかった多くの人たちに世界を開放してくれる、身近なメディアなのです。

Nitin Thukral: 私は一歩踏み込んで、まずアクセシビリティとは何かを理解することが大切だと思います。Web2.0の世界における良い定義は、情報・活動・環境を、できるだけ多くの人々にとって意味深く、感覚的で、使いやすいものにするための実践でした。

その定義をメタバースに当てはめると、人それぞれの考え方によって意味が違ってくるため、本当に万人に受け入れられるかどうかにかかっています。そのことを意識すれば、あらゆる立場の人、あらゆる能力の人に対応できるユニバーサル・アクセスのデザインが可能になるはずです。

メタバースの開発初期段階において、なぜアクセシビリティを考えることが重要なのでしょうか?

Giovanni Castillo: 技術や開発の初期段階でも、さまざまなニーズを持つ人たちが使いやすいように、さまざまな工夫がされています。例えば、コンピューターやバーチャルリアリティ(VR)などの進歩により、より多くの体験や技術にアクセスできるようになった人もいます。しかし、特定の人しかアクセスできない技術には限界もありますね。例えば、神経系の病気の生徒がいたのですが、その人は立体視ができないので、ヘッドセットをつけることができません。また、神経系の障害がなくても、他の条件によってVRの利用を禁じられている場合があります。

私たちは、さまざまなタイプのユーザーに対して、どのようなデザインができるかを考えるべきです。だからこそ、メタバースはプラットフォームに依存しないことが重要なのです。つまり、色々なプラットフォームでアクセスし、色々な方法で体験することができることです。これは、より多くの人がアクセスし、体験できることを意味し、アクセシビリティにとって重要なことです。

Nitin Thukral: 私はメタバースの始まりである今のうちに、アクセシビリティを正しく理解しておくことが重要だと思います。

テクノロジストとして、私たちにはメタバースに誰でもアクセスできるようにする責任があります。リアルの世界では限られたグループや人口層の一部しかアクセスできなかった体験が、このようなバーチャルの世界や空間を通じて、より多くの人々が利用できるようになりました。

それが、私たちAquent Studiosの仕事の真髄です。私たちは、一緒に仕事をするブランドやクライアントには、メタバースのアクセシビリティも、今まで彼らが築いてきたブランドと同じように大切にするように伝えています。例えば、ターゲット層がモバイル中心であれば、モバイルに適応した体験にするべきかもしれません。特に、私たちがまだノウハウを学んでいる間は、です。

このようなデジタル・アクセシビリティのニーズに対応するために、すでに存在する技術でメタバースに転用できるものはありますか?

Nitin Thukral: メタバースに再利用できる技術はあります。簡単な例では、クローズドキャプション(TVや動画サイトなどでON/OFFで切り替えられる字幕)の技術があり、現在ではAIによるライブキャプションもあります。

World Wide Web Consortiumは、そのウェブ・アクセシビリティ・イニシアティブの一環としてガイドラインを発行しており、メタバースをアクセシブルにするための多くの作業の方向付けに役立てることができます。

Giovanni Castillo: ハンドトラッキングや生産性向上のためのアプリケーションでは、アバターがより明確に表現されるため、手話もかなり使えるようになりました。以前はできると考えられなかったことも、多くの人にとってアクセス可能なりました。

没入型体験を作る際、デザイナーはどのようにアクセシビリティを考慮すればよいのでしょうか。

Giovanni Castillo: クリエイティブの世界において、この新しいパラダイムをどのようにデザインするか? ガイドラインをどのようにデザインするか? プラットフォームの開発者はこのことを考え、アクセシビリティを考慮したデザインをするためのツールを提供してくれるべきだと思うのです。私たちデザイナーは、今すぐにでもデザインを作り始め、フィードバックとしてプラットフォームの開発者に助けやツールを求めていく必要があると思います。

Nitin Thukral: アクセシビリティは、より広い意味で、さまざまな分野を包含していると考えています。物理的・地理的な制約、金銭的な不公平、システム的な問題などがあります。

ですから、こうした没入型体験のデザインを考える際には、年齢、民族性、性別、アイデンティティ、キャリアなど、多様性のあるチームを編成することが理想的です。そのような異なる視点、異なる観点があることで、アクセシビリティのギャップを最初から容易に特定することができるようになるのです。

デザインチームや開発チーム、UXリサーチにおいて、障がいを持つ方の存在を確保するために、管理者はどのようなステップを踏む必要があるのでしょうか?

Nitin Thukral: 多様なニーズを持つ人々を意図的に探し出し、彼らを念頭に置いて意図的に意思決定することが重要です。そうすることで、多角的な視点が得られ、"人間中心"デザインの重要な前提のひとつにつながるのです。相手のことを理解し、相手の立場に立ってデザインすることで、思いがけない答えやアイデアが生まれ、その人たちが受け入れてくれることがイマーシブ(没入型)デザインの大前提なのです。

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