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ブランド魚、ブランドになってます?ブランド魚、利益になってます?

育てるを育てる。AQSimです。

『ブランド化』
一次産業に少しでも関わる人で、この言葉を聞いたことが無いという人は殆どいないのではと思われる言葉です。

水産業界、養殖業界でもブランド化された商品は途方もない数あります。
みなと新聞によると、なんとご当地サーモンだけで100ブランドを突破しているそう。
広がるご当地サーモン 全国産地マップ |みなと新聞 (note.com)

おおむね、特別な基準をクリアした質の良い商品や、地域の歴史や風土とともにストーリーが付与された商品などがブランド化商品と言えると思います。同じ魚種や競合の商品と比べて差別化させることで付加価値をつけられたものですね。

養殖にかかる大きなコストを越えて利益を得るために付加価値は避けて通れないものであり、事業を計画するにあたっては商品のブランド化を検討する場合も多いでしょう。

とは言え、「ブランド化」すれば上手くいくものでもないし、裏にリスクが潜んでいることも知っておいた方がいいでしょう。

よりよき意思決定の材料を拾っていただくために、
本記事では、先人がまとめた情報のリンクや、筆者が実際の漁業地域で聞いてきた「ブランド化で気をつけなければならないこと」を簡単にまとめてご紹介します。


それ、ブランドになってますか?

そもそも、ブランド化した商品が他の商品よりも優先して選んでもらえたり、他の商品よりも高値で買ってもらえたりする「ブランド」として本当に機能しているか?ということは常に意識しておきたいですね。

当たり前のことですが、ブランドは消費者の方(あるいはメディア)に良い意味で他との違いを認識してもらうことで生まれるものです。

あくまでもブランドを認識する主語は「消費者」であり、
売り出す側はブランドを認識させることを頑張って促す役割でしかないのです。

こちらの記事に、陥りやすいパターンがわかりやすくまとめてありましたのでぜひご覧ください。
「地域ブランド化」が失敗に終わる3つの理由 難易度が高い上、凡庸な商品では無理がある | 地方創生のリアル | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)


“じゃない方”の印象に注意

特定の商品を「他と違って良い」と示すことは、
同時に、他の商品を「劣っているもの」と示すことにもなる。
この視点をもっておきなさい。

と、筆者は漁業者の方から教わりました。

ある漁業地域では、特定の基準を満たし、特別に処理をした魚をブランド化していました。その魚は他よりも高く売れる。一方で、ブランド化の基準に満たなかった魚は同じ魚種なのに需要が落ち込む可能性がある。

少しの魚が高く売れた。
多くの魚は少し安く売れた。
トータルで見たら、利益はどうなるだろうか?

これで利益が落ち込むようであれば本末転倒である。と。
自社の商品がすべてブランド化の基準を満たすものであれば問題にならないように見えますが、市場には社外の同魚種の商品も混在するわけで、反発が生まれる可能性も考慮しておくと備えになるかもしれませんね。

ブランドの生産者が増えると?

みんながブランド化に手を出すと、ブランド価値が落ちるリスクが増える。
これも教わりました。

とりわけ魚の処理を工夫して鮮度や味の品質を高めているブランド魚で気を付けるべきことです。ブランド魚は高く売れるようになるので、周りの生産者も同じブランド魚を生産するようになっていきます。

その輪が広がっていくほど、輪の中心から離れた人が関わるようになるほど、少し雑な処理をしたものが紛れこむ可能性が高まるといいます。

ブランド魚を食べて、思ったよりも品質が低いなと認識されれば、ブランド価値は落ちていきます。ブランド魚の価値が落ちるということは…?ブランドじゃない方の魚はもっと価値が落ちる可能性もあります。

そんな風に、ブランド化は諸刃の剣にもなり得るそうです。

まとめ

拡大を続けるブランド化ですが、
・消費者がブランドとして認識したか?
・じゃない方と併せて利益が増えるか?
・品質を徹底して拡げられるか?

これらの視点をもって戦略を立てることも必要かもしれません。
視野を広げて考えること、視点を変えて捉えてみることによって成功を導きやすくなりそうですね。これはブランド化に限った話ではなさそうです。

他にも、『ブランド化』のこんなリスクも知っておくべきだ、逆にこんなことがブランド化を成功に近づけるだろう、といった情報、ご意見があれば。よければ本記事のコメント欄で教えてください!

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