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すべての始まりは、かのCLUBHOUSEだった―『タイぐるり怪談紀行』制作前夜の話

アプレミディは去る10月8日、タイの怪談を集めた新刊『タイぐるり怪談紀行』を発売しました。
バンコクに点在するホラースポット、
アユタヤの世界遺産で語り継がれる怪異、
イサーンやメコン川に潜む妖怪、
パタヤの歓楽街で暗躍するクメール呪術師……
”見えざるもの”への敬意と畏怖が交錯する、タイ文化としての怪談を全39話収録しています。

▼『タイぐるり怪談紀行』特設サイト

著者のバンナー星人は在タイ約20年。タイの高校で日本語を教えています。 そんなバンナー星人との出会いは、会員制音声SNSとして一世を風靡しそうでしなかったアプリ(失礼)、CLUBHOUSEでした。

友達から招待を受け、例にもれずわたしも浮かれ気分で始めた初日、「タイBLと怪談」といったテーマのトークルームを見つけました。
なんとなく面白そうだなと聞いてみるとこれがじつに面白い。ただ怖い話を悪趣味に紹介している感じではなく、タイの風景とともに風習や文化が見えてくるような内容でした。うまくいえないのですが、タイの文化としてホラーが根付いていることが感じられたのです。それを話していた彼こそ、バンナー星人でした。

これは雑談として口の端から消えてしまうのはもったいないな。 そう思い、翌日私はバンナー星人にDMでいきなり連絡をしました。 私はとてもシャイなので知らない人にDMを送るの自体初のことでした。この行動力がどこから湧いたのか今思うとさっぱりわからないのですが、突然「タイの怖い話を書いてみませんか?」と声をかけたのがすべてのはじまりです。バンナー星人はライターさんでも作家さんでもないけれど、たぶん大丈夫だろうという謎の自信がありました。

それから何度か打ち合わせをして、まずはWEBの記事にしようというということに。オカルト情報サイトのTOCANAの当時編集長だった角由紀子さんにお願いをして、連載を持たせてもらうことになりました。当初から書籍にすることを考えていましたが、WEB連載の反響もよく、私の目に狂いはなかった的なエラソーなことを思ってしまいました。申し訳ございません。

昔から、怪談が好きというと低俗だと思われることがけっこうたくさんあります。たしかにジャンクな楽しみ方があるのも事実ですが、果たして本当に低俗なものなのでしょうか?
どの国にも神話なるものが存在するように、怪談もまた各国に必ず存在しています。見えないものが見える、あるはずのないものがある、という恐怖は人間の普遍的な感情で、怪談は人間や社会を映す貴重な文化的資産だと私は思っています。それらを遺すことは重要なことではないか、と。

弊社アプレミディは、「世界中の面白い文化や才能を発掘し、本にして人の心と後世に遺す」をモットーにしています。
今回はまさにそれを体現した企画となったと自負しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
タイぐるり怪談紀行』、本当に面白いのでぜひお読みいただけるとうれしいです。

今後ともアプレミディをよろしくお願いいたします。


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