ファシリテーションの5つのテクニック

戦略コンサルタントのアップルです。

今回はファシリテーションでアップルが心がけていることや実行している具体的な手法をご紹介します。これらを意識すればきっとファシリテーション力が増すはずなので、ぜひ参考にしてみてください!

はじめに

先般、戦略コンサルタント流の会議術の記事を二本にわたって書きました。そこでも言及したとおり戦略コンサルタントの仕事は会議漬けです。そしてその多くの会議ではファシリテーターの役割を担います。つまり、他の職種と比べて圧倒的に多くのファシリテーションの経験を積んでいます。

アップル自身も日常的にファシリテーションをする機会は多いです。若手からファシリテーションのコツなんかを聞かれることもあります。ファシリテーションのやり方に唯一の答えはありませんが、一つのやり方のサンプルとしてご紹介したいと思います。

ファシリテーションの定義

ファシリテーション(facilitation)には「促進」という意味があります。会議などの場で議論などを促進する、活発化させるのがファシリテーターの役割です。

ファシリテーター=司会ではありません。司会はあらかじめ決められた議事次第やプログラムに沿って進行するのが役割です。平たく言えば「進行役」です。一方でファシリテーターは上記のとおり「促進役」です。進行だけしても、議論などの促進に貢献しなければ、ファシリテーターとは言えません。促進するためにどういう問いかけやアクションをすればよいのか?ここがファシリテーターには求められてくるわけです。

アップル流・ファシリテーションの手法

それでは、アップルがファシリテーションで意識的に使っている5つの手法を順にご紹介していきましょう。

【アップル流・5つのファシリテーション手法】
1.問いかける
2.インプットする
3.論点を放り込む
4.要約・翻訳する
5.乗っかる

 1.問いかける

これはファシリテーションの基本中の基本ですが、アップルの場合、こちらから質問をしまくります。一定人数以上で会議をしていると、発言する人としない人が分かれるケースが多いです。発言する人は放っておいても発言するので良いですが、発言したそうなのに発言しない人には問いかけてあげる必要があります。

「〇〇さんは、ここまでの議論を聞いてどう思われますか?」
「〇〇さんは、この意見に対して賛成か反対かどっちですかね?」

こんなような感じで。

誰を指名するかはセンスが問われるところです。参加者の表情をじっくり観察して、誰が話したそうか、考えていそうかを見極めてその人を指名するのが基本ですが、やや戦略的に指名をすることもあります。例えば、我々コンサルタントが持っていきたい方向性に賛同してくれるであろう人に話を振って、賛同する旨の発言をしてもらってエンパワーメントする、というようなやり方です。

 2.インプットする

議論の促進に資する情報を積極的にインプットするというものです。

「いま、こういう議論がありましたが、それに関連してこういう取り組みが〇〇業界で進んでいます」
「今の話に関連して、ベンチャー企業のX社がこういうビジネスモデルで取り組んでいまして、参考になる部分があると思います」

このように、ファシリテーターが持っている情報や知見を開陳して、議論に一石を投じることで、さらに議論が進化したり、盛り上がったりすることは往々にしてあります。誰もがイメージできるような具体的な事例を紹介するのがポイントになります。

 3.論点を放り込む

議論がやや停滞・膠着したときにアップルが積極的に使うのがこれです。議論が膠着しているときというのは、議論の論点がズレている可能性があります。もっと重要な論点があるのに、それより些末な論点に固執してしまっているようなときです。

ファシリテーターは会議を鳥瞰する立ち位置にいるので、上記のようなことに最も気づきやすいはずです。議論の様子を観察しつつ、どういう論点をこの場に放り込んだら膠着状態から抜けさせるかを虎視眈々と考え、しかるべきタイミングでその論点をぼーんと放り込むことが大事です。具体的な投げかけ方は次のようなイメージです。

「ちょっと話は変わってしまうんですけど、そもそも〇〇についてはみなさんどのようにお考えですか?」
「私としては〇〇がとても大事な議論ポイントだと思います。理由は〇〇〇。この論点についての意見をお聞かせいただけますか?」

この手法は結構破壊力があります。議論の方向性をガラッと変えられることがあります。但し、比較的高度な論点思考が求められるので、ある程度の熟練度も求められます。

 4.要約・翻訳する

誰かの発言を要約・翻訳するというものです。会議の参加者には、必ずといってよいほど「いいことを言っているのだが、わかりづらい」という方がいるものです。こういう人は非常にもったいないので、ファシリテーターが積極的にすくい上げてあげる必要があります。

「今〇〇さんがおっしゃったことは、つまり〇〇〇ということですかね?」
「今〇〇さんがおっしゃったことは、とても面白いと思います。というのも、要すれば、〇〇というところに着眼すべきということをおっしゃっているということですよね?」

こんなような発言で、その人の話を誰もが理解できるようにうまく要約・翻訳してあげるわけです。

 5.乗っかる

誰かの発言に乗っかるというものです。ファシリテーターとして面白い、あるいは価値があると思った発言には、「まさにおっしゃる通りだと思います」とか「そのご意見、面白いですね。それに関連して私もお話させていただくと・・・」という感じで積極的に乗っかります。

つまり、ファシリテーターの意見の押し付けではなく、ファシリテーターの意見を誰かの意見に乗っかって主張するということです。実質的には、ファシリテーター個人の意見の主張をしているのですが、誰かの意見に乗っかることで中立性を維持したまま自己主張することができるのです。


以上、アップルがファシリテーションで意識している5つの手法をご紹介しました。ファシリテーションに関する解説書はとてもたくさんあるので、興味ある方はそういう本を一冊でも手にとっていただければと思いますが(もっと体系的に解説されています)、実践的な手法として一部でもヒントになれば幸いです。

今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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