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戦略コンサル流・プロマネのコツ

戦略コンサルタントのアップルです。

最近はプロジェクトで仕事をするケースが増えてきているように思います。事業会社でも、「XXXプロジェクト」といったプロジェクトが立ち上がり、そこに人が集められて何かを検討・実行することが多くなっているのではないでしょうか?

そこで、今回は、アップルの数々のプロジェクトマネジメントの経験に基づいたプロマネのコツについて書いてみます。

プロジェクト形式の仕事の増加の背景

アップルの体感ですが、ビジネスシーンにおいてプロジェクト形式で仕事を進めることが以前に比べて増えていると感じます。

背景には、ビジネスの複雑化と環境変化のスピードアップがあると思います。デジタル化、グローバル化、社会的価値の事業への織り込みなど、事業展開する上で考慮すべき変数は昔より圧倒的に増えています。また競争環境も、昔に比べると複雑かつ激しくなっています。

例えばビジネスモデルの複雑化。今の時代、単純にモノを作って売ったり、単純にサービスを作って売るというシンプルなビジネスモデルではなかなか勝てません。プラットフォーム、エコシステム、パートナリングなどの要素を足しこみながら、巧妙なビジネスモデルを設計する必要があります。

また、競争環境も激しさを増しています。トヨタを例にとって考えてみましょう。一昔前までは、日産、ホンダ、さらにはGMやダイムラーなど、国内外の自動車メーカーだけを競合として見ていれば十分でした。ところが今では、自動運転ではグーグルが競合になり、カーシェアリングサービサーのウーバーやパーク24も競合になっています。

つまり、デジタル化などによって業界の垣根が消失し、競合がどこからどう出現するのかわからなくなったということです。

こうした、
・ビジネスの複雑化
・競争環境の激化
・環境変化のスピードアップ
によって事業の舵取りは格段に難しくなってきています。

そういう中でまともに事業経営をしようとすると、次から次へ湧いてくる経営課題を次から次へとつぶしていかないといけません。

だからこそ、「この期限までにこの課題を解決する」というプロジェクト形式の仕事が増えてきているのです。

戦コンのマネージャーはプロマネのプロ

このようにプロジェクト形式の仕事が増えてきているわけですが、どんなプロジェクトもその成否はプロジェクトマネージャーの力量に大きく左右されます。

プロマネは、難しいプロジェクトになればなるほど職人技の側面があり、経験値がものをいいます。その点、戦コンのマネージャーやプロジェクトリーダーは、すべての仕事がプロマネで、かつ難易度が高くて多様なプロジェクトを数多く回すので、プロマネスキルが磨かれます。

アップルもこれまでに数えきれないほど多くのプロジェクトをマネージしてきました。そうした経験の中で見出した「コツ」のようなものがいくつかあります。

プロマネ初心者の方にとってヒントになるんじゃないかと思い、3つのプロマネのコツをご紹介させていただきます。

アップル流・プロマネのコツ

 ①離陸と着陸にリソースを投下する

プロジェクトには必ずはじまりとおわりがあります。その期間は様々です。3ヶ月程度の短いものもあれば、長いものだと1年~数年になるでしょう。

プロジェクトマネージャーは、その名のとおり「マネジメント」するのがミッションです。プロジェクトには必ずメンバーがいます。そのメンバーをマネジメントしつつ、アウトプットをマネジメントしつつ、プロジェクトをゴールに導くのがプロマネの役割になります。

これは、プロマネがプレーヤーと同一化してはいけないということも意味します。自分でやるのではなく、誰かにやらせる。これがベースの鉄則です。

とはいえ、ぐりっとハンズオンでやるべき局面もあります。そこで出てくるのが「離陸と着陸」という考え方です。

大半の飛行機事故は離陸時か着陸時に起きているという有名な事実があります。プロジェクトも全く同様で、プロジェクトが壁にぶちあたったりトラブルに見舞われるのは離陸時=スタート初期か、着陸時=終了間近です。ここでプロマネが手を抜くとプロジェクトの成功に暗雲が立ち込めるので、ここは思いっきり自身のリソースを投下してハンズオンでやるのがポイントになります。

戦略コンサルのプロジェクトだと、
・離陸:プロジェクト初期の論点設計と初期仮説づくり
・着陸:最終報告会に向けたアウトプットの仕上げととりまとめ

ここに手を抜かないのがポイントで、逆に軌道に乗って上空飛行している間は基本的にメンバーに任せておけばよいです(自動運転モードに入るイメージ)。

離陸と着陸はハンズオンで、上空飛行中はハンズオフ。

要は、メリハリをつけるということですね。
プロマネ自身が疲弊しないためにも、これが超大事だと思います。

 ②80点の相場を読み、80点は死守する

プロジェクトというものは必ずオーナーがいます。プロジェクトが成功か失敗かを最終的に判断するのはプロジェクトのオーナーです。プロマネはプロジェクトオーナーの期待値を把握し、その期待値を満たすレベルまでもっていくことが重要になります。

大体なんでもそうですが、80点というのが合格水準の目安です。60点以下だと赤点、70点だとちょっと微妙、80点だと「まあいいじゃないか」となります。

プロマネとしては、オーナーの80点の相場がどこにあるかを読み、そこまではなんとしてでももっていくということが大事になります。

逆に、80点を90点、95点、100点までもっていくべきかは、ケースバイケースと言えるでしょう。無論80点より90点がいいに決まっていますが、毎回90点以上を目指すのはしんどいですし、メンバーの力量や時間の制約上論理的にそこまで持っていけないケースもあります。

80点にはこだわる。一方で80点以上はnice to haveと割り切る。

これが心構えとして大事だと思います。

 ③常に、二歩先読みする

プロジェクトのメンバーより1歩も2歩も先読みするのが大事です。3ヶ月のプロジェクトだったら、常に最低でも2週間くらい先までは具体的なアウトプットや試合運びをイメージしておく必要があります。

2~3週間先まで具体的なイメージをもった上で、そこから逆算したときに今何に手を付けるべきか。メンバーに何をさせておくべきか。こういう思考を常に敏感に働かせておかなければなりません。

よくある悪いケースは、「メンバーと同一化してしまう」というものです。メンバーと同じ目線で(未来ではなく)今をみている。メンバーと同じ作業をプロマネがしてしまう。こうしたプロマネとメンバーの同一化が起きると、船頭がいない状態となるため、プロジェクトは迷走し、失敗確率が高まります。

メンバーと同一化せず、常に二歩、三歩先を先読みし続ける。
これめちゃくちゃ大事です。

まとめ

以上、アップル流のプロマネのコツを3つご紹介しました。

①離陸と着陸にリソースを投下する
②80点の相場を読み、80点は死守する
③常に、二歩先読みする

アップル流とは書きつつも、プロジェクトをうまく回している人はおそらくこの3つは少なからずやっているように思います。

プロジェクトで仕事をする機会がある人にとって、多少なりとも参考になれば幸いです。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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