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夜の底を救いあげる

1  火の玉、人魂、鬼火などと呼ばれる現象は実は現象ではなくモノ、つまりあの世から死者が飛ばしたドローンなのである——という説があるのをご存知だろうか。  わたしがこの珍説の存在を知ったのは、いまから約10年前、ある眠れない夜のことだ。  当時のわたしは、生まれ故郷の大阪から母方の祖母が暮らす奄美大島に引っ越してきたばかりだった。  夢と希望と仕事を失くした故郷から裸足で逃げだし、ほとんど身ひとつでたどり着いた新しい住処にはコップさえなかった。  あの夜、何日も敷きっぱなし

    • 九月になったのに(忌野清志郎)

      9月 暦ではコミュニケーションの盛んな月 トータルカードは出なかったものの 一貫してるのは物質的な束縛と誘惑。 コミュニケーション? 研修に行ったのは覚えている。風邪を引いていたはずで、マスクをして講義を受けた記憶があり、最終日に熱を出してしまい、鹿児島観光もできなかった。空港→ホテル→空港、そんな感じの。つまんない研修だった。内容は覚えていない。 前半 浮き沈み/遠い繁栄/強欲 正論の束縛/チャンスの広がり/成長の計画 集合的英知/瞑想/繋がり/全体性/祈りの島の聖地

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        正史とは、国家事業によって編集され、我々の先祖によって正統と認められた歴史書のことだーーたぶん。 昨日の続きになる。横溝正史は本名を「ヨコミゾマサシ」という。が、皆さまご存じの通り、筆名は「ヨコミゾセイシ」である。作家仲間に字を読み間違えられ、「ヨコセイ」と渾名されたことが由来という。 こういうことはよくある、と思う。 「正史」という漢字の並びを目で見て、ふつう我々が読むのは「セイシ」だろう。なぜなら、正史という語を我々はよく見ているからだ。 横溝正史の小説にはこのモ

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          ここ数日、横溝正史というか金田一耕助にハマっている。小説はいくつか読んだので、映画にも手を出しはじめている。 ふと思い立ち、金田一耕助を演じた(映像作品に限る)俳優の数を調べたところ、わかったものだけでなんと24人。調べ得た順に名を挙げると、片岡千恵蔵、中尾彬、古谷一行、石坂浩二、片岡鶴太郎、上川隆也、長谷川博己、池松壮亮、小野寺昭、金内吉男、渥美清、豊川悦司、稲垣吾郎、中井貴一、加藤シゲアキ、岡譲二(譲司)、役所広司、西田敏行、吉岡秀隆、河津清三郎、池部良、高倉健、舩山裕

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          日記でGO 5月31日

          5月31日 6時過ぎに起床。歩いて我が家に帰り、車に乗って近所の商店に行くがまだ開店していない。車内でKindleを開く。磯崎憲一郎『世紀の発見』から「絵画」を読み、感銘を受けた。 7時。商店で、煙草と野菜ジュースを購入す(健診でビタミンが足りていないと指摘を受けたから)。帰りの車内でKeven Abstract の新譜を聴く。超ポップ。 寝転んで読書。翻訳家の柴田元幸が編集の雑誌『MONKEY』から、ブライアン・エヴンソン「レイモンド・カーヴァーの『愛について語るとき

          日記でGO 5月31日

          日記でGO 5月30日

          5月30日 6時過ぎに起床。歩いて我が家に帰り、布団に寝転んで読書。 8時。アマゾンを徘徊し、Kindle版を二冊購入。 千葉雅也『アメリカ紀行』を読んでいたら、私が大好きなメルヴィルの「バートルビー」(に対するドゥルーズの批評)の話が出てきた。Kindleを閉じ、桂枝雀の「代書屋」をYouTubeで見たり(「バートルビー」の原題は「Bartleby, the Scrivener: A Story of Wall Street」。「Scrivener 」は「代書人」と訳

          日記でGO 5月30日

          日記でGO 5月29日

          5月29日 16時。健康を診断していただいた。前回よりも血液検査の結果がよくなっていたので、ほっとしてGOOD。 相変わらずの乱読をしてしまい、もう疲れた。

          日記でGO 5月29日

          日記でGO 5月28日

          5月28日 8時起床。起きてすぐ、普段はまったく見ないテレビをなぜかつける。NHKの朝の連続テレビ小説を見るでもなく見ていたら、ニュース速報が表示された。川崎市の襲撃事件。児童を含む十数人が負傷とあった。 8時30分。キッチンで朝食を作る令和の女をよそに、レイモンド・カーヴァーの短編集『愛について語るときに我々の語ること』から「足もとに流れる深い川」を読んだ。 小説は、ある夫婦の朝食の場面からはじまる。不機嫌に食事をしている夫と、その様子を見ている妻。夫の不機嫌の理由は

          日記でGO 5月28日

          日記でGO 5月27日

          5月27日 夜勤が終わったのが7時で、我が家に帰り着いたのが7時15分。いつもの飲酒で徹夜明けの興奮を静める、沈める、鎮める。で、『カラマーゾフの兄弟』を読む。 煙草が切れた。8時くらいだろうか、歩いて令和の女の家に行き、昨日テラスに置き忘れた煙草を受け取り、我が家にとって返す。 目覚めると18時30分だった。 令和の女に頼まれていた牛乳を買いに、近所の商店に車で出かけ、煙草と牛乳と卵と整髪料を購入した。 祝パルムドール! ということで、昨日からポン・ジュノの作品を

          日記でGO 5月27日

          日記でGO 5月26日

          5月26日 何時だか覚えていないが、我が家で起床す。 歩いて令和の女の家まで行き、DVDで『ゲーム・オブ・スローンズ』を見ようと思っていたが、何気なく開いたyoutubeで面白そうな動画を発見してしまって悩んだ。津田大介と東浩紀が愛知トリエンナーレについて語る、というもので、ニコニコ動画からの転載らしい。六時間以上かけて全部見てしまう。で、寝てしまう。 13時過ぎに再起床す。令和の女と車で名瀬まで出かけ、ファミレスで食事をした。私はチキンステーキとビーフステーキで、彼女

          日記でGO 5月26日

          日記でGO 5月25日

          5月25日 6時。令和の女の家で目覚める。SpotifyのRelease Radar がメールボックスにとどいていたので、それを垂れ流しながら布団の中でうだうだ。 イギー・ポップの裏名盤『Zombie Birdhouse』から「Watching The News」が新曲として挙がっていた。確か‘82年発表のアルバムで、、一番好きですね、これが。ジャケットも最高だし。 どうやら今年、リマスターされて再リリースされるようで、youtubeの公式からはゾンビ・バードハウスの

          日記でGO 5月25日

          日記でGO 5月24日

          5月24日 8時半。目覚めると、令和の女の家だった。アイアンマンになった夢を見ていた。ヒーローだったときから心のどこかで吸いたかった煙草を手に、洗濯物が干されている、テラスというほど広くない板間に出た。今日も晴れそう。雲がひとつもない。 令和の女が育てているミニトマトに紫煙を吐き、iPadでTwitterを開くと、Young Thugが新曲をドロップしていた。 部屋に戻り、ヘッドホンをして、繰り返し爆音で聴く。いい感じ。令和の女が朝食を作ってくれている間に『細雪』を読み

          日記でGO 5月24日

          日記でGO 5月23日

          5月23日 6時。目覚めたら、令和の女の家だった。朝食は令和の女のお弁当の残り。牛乳と玉子焼きがおいしかった。 歩いて我が家に帰りつく。昨日散布した除草剤の臭いが強烈で、すごい背徳感がすごい。鼻の奥を刺す感じがガソリンに近い。6時45分にタイマーをセットして読書に耽る。 7時。職場駐車場でヴァンパイア・ウィークエンドの新作を浴びつつ読書。グルーヴがないのがこのバンドのチャームポイントだった気もするが、今作はすごいグルーヴがすごい。低音も豊か。世界中のロックファンが待ってた

          日記でGO 5月23日

          日記でGO 5月22日

          5月22日 6時。目覚めたら、令和の女の家だった。歩いて我が家に帰ってシャワーを浴び、全裸でEGO-WRAPPIN’の新作『Dream Baby Dream』を浴びる。最高。 スーサイドの大名曲と同タイトルなんで期待してたんです。オープニングナンバー「Arab no Yuki」がスーサイドな、、あるいはスライな? チャカポコしたドラムマシンで、ふむ。歌詞は聴き取りだけど、「そこどけ悪魔め/悲しみはもう/飽きたな」と歌っている。 ベイビー、夢を見よう ベイビー、夢を見よう

          日記でGO 5月22日

          日記でGO 5月21日

          5月21日 5時半。目覚めると、令和の女の家だった。 歩いて我が家に帰り、シャワーを浴びて出勤。 職場に着いたのが6時過ぎで、まだ時間がある。私(オサメ)は、勤務までのこの三十分を「オサメ・タイム」と名付けている。日勤だろうが夜勤だろうが、数十分前には職場の駐車場に車を停め、ひとり車内でうだうだ過ごすのである。Spotifyで音楽を鳴らし(最近は、ロイル・カーナー『Not Waving, But Drowning』。訳すと「手を振ってるんじゃないのよ、溺れているんですが」に

          日記でGO 5月21日

          日記でGO 5月20日

          5月20日 大河ドラマ『いだてん』を見たあと、令和の女が晩飯を作ってくれた。食パンにとろけるチーズを一枚のせて、グリルで軽く焼いたものだ。ものの一分でそいつを平らげて夜勤へ出たのが昨夜の21時過ぎで、今は職場。食堂の柱に取り付けられた時計の針が二本、てっぺんで重なっている。今日と呼ばれていたものが昨日になり、明日と呼ばれていたものが今日になっていた。利用者は皆眠っている。「ドライ」で駆動させたエアコンの音だけが低く響いている。 雨はやんだ。あれほど蒸し暑かった昼間に、さては

          日記でGO 5月20日