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日々、葛藤のなかで書いています|11/3〜11/9

緊急事態宣言のなかで始めた日々の記録。火曜日から始まる1週間。仕事と生活のあわい。言えることもあれば言えないこともある。リモートワーク中心。出掛けることが増えてきた。ほぼ1か月前の出来事を振り返ります。

2020年11月3日(火・祝) 自宅

ついにnoteの火曜日更新を落としてしまった。祝日なので致し方ない…という(勝手な)納得のもとで明日更新を目指す。午後にArt Support Tohoku-Tokyo2011→2021「10年目の手記」の4回目締切分の選考を行う。今回は7本。手記は途切れずに、同じくらいの本数が毎回届いている。亡くなった人のことを書く手記が届くようになった。みんなが読むのだけど、個人に向けた手紙のような文章がある。相変わらず、震災が「3月11日」だけじゃないと自覚的な文章が多い。いい意味で、ばらばらの経験が書かれている。
「もし、あの東日本大震災がなかったら、今の自分はどんな生活を送っていたのだろう。もしかしたらあのまま引きこもっていたのかもしれない」という印象的な書き出しから、震災で激変した周囲の人たちとの関わりや自分自身の変化をしたためた西條成美さんの「スタート」が朗読の候補になる。

2020年11月4日(水) 自宅

朝から午前中は原稿の直しに集中する。午後イチにGAYAのミーティング。来年度も含めた動き方を再設定していく。終わりがけにAHA!の新たな企画の話をきく。面白そう、楽しみだ。次はTokyo Art Research Lab(TARL) 東京プロジェクトスタディのミーティング。11月14日に予定している3つのスタディの参加者が一堂に介する「合同共有会」の進行を確認する。スタディ1が趣向を凝らした発表になりそう。スタディなんだから、そういうことは、どんどんやったほうがいい。そして、最後はラジオ下神白のミーティング。1時間で近況の共有と「報奏会」の今後の展開を、ざっと話し合う。隣県の仙台のメンバーでも、いわき市の団地に伺うのは難しいという判断になる。団地の自治会の方から控えてほしいと言われたのだという。それほどの緊張感がある。言うほうも辛い。
ヨーロッパ各国のロックダウンの関連のニュースが飛び交う。アメリカの大統領選は接戦の模様。夜になっても結果が出ない。国内の新規感染者数のグラフは、ここ数日でじわりと登り坂。第3波という言葉がちらほら現れはじめた。北海道は新規感染者数が75人で警戒感が高まる。東京都は122人。
この頃、会う人がみんな忙しそうにしている。(もともと多いほうだと思うけど)忙しいですか? と聞かれることも増えた。止まったように思えた仕事は年度の区切りで追いこみをかけなければならない。状況への慣れがもたらす効果でもあるのだろうか。

2020年11月5日(木) 府中本町→自宅

朝からACF(Artist Collective Fuchu)のミーティングへ。先月末に行った外部のファシリテーターを交えたロジックモデルづくりが功を奏していた。何を目指して、誰を巻きこみ、何をやっていくのか。ACFのメンバーがあれこれ議論してきたことが、ツリー型に整理されていた。それによって、これから取り組むべき領域を話しやすくなった。ACFが取り組もうとしているのは「アートを通した学びをつくるプログラム」(対象はこどもに限らない)。そのプログラムのネーミング案を出し合う。その場では決まらず、続きはオンラインで議論することになる。
急いで自宅に帰って、都立大学の非常勤の授業をオンラインで。今回は1995年をテーマに阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件に結びついた話をする。授業を受け持つようになった初年度に整理した情報を、毎年度、少しずつ変化させながら使っている。個人的には、けっこうお気に入りの話題。
東京都の新規感染者数は269人。21日ぶりの250人超え。北海道は119人。初めての100人超え。全国合計1000人超えは8月21日以来。どうなるのだろうか。また先が読めなくなってきた。アメリカの大統領選も決着がつかない。

2020年11月6日(金) 市ヶ谷

終日オフィスで働いていた。ひとつだけ短いZoomミーティングがあった。日記を書き忘れたから、この記事を投稿をするタイミングでカレンダーを確認している。他に何があったかを思い出せない。いつも日記はWordファイルに書いている。その日に思ったことや拾ったニュースをメモのように残しておくことも多い。大体は1ヶ月が過ぎて、記事の投稿タイミングが訪れる頃に、文章に構成してきた。もともと、投稿のタイミングをずらしていたのは、1ヶ月も経てば、仕事上、言えないこともある程度言えることになることや、そのときは明確に言葉に出来ないことも、もう少し伝えられる言い回しが出来ていると思ってのことだった。粗くても、断片でもいいから書き残しておくことで日記を継続することを優先するためだった。noteで「公開」を前提とした日記の書き方だった。でも、この頃から何も書かない日が増えてきてしまった。

2020年11月7日(土) 自宅

この日も何も書いていなかった。いつしか日々の感染者数も拾わなくなった。ニュースに新しさを感じなくなってしまった(そもそも「新しさ」を求める発想自体が誤っている気もする)。緊急事態宣言が出た頃から比べれば、よっぽど大きい数字を毎日目にしている。でも、それが常態化すると気にならなくなってくる。日々の会話で新規感染者数を出すことも、ほぼなくなった。ちょっと前までは、今日は何人だったと夕方になると言い合ったりしていた。日々の日記に数字が現れなくなることも、後から振り返れば、状況に慣れていったんだなという情報になるのだろうか? そのためには通読と深読みが必要か? そもそも、1ヶ月後に1ヶ月前の日付にこんなことを書いているものを日記と呼んでいいのだろうか? 100年後から振り返れば、1ヶ月後なんて誤差の範囲内だろう。いや、むしろ、その誤差を拾う(読める)のが日記の特性であり、意義でもある。日記に形式なんてない。日々、葛藤のなかで書いてます。

2020年11月8日(日) 自宅

この日は「アメリカ大統領選でバイデンが当確のニュースが流れる。ハリスのほうが話題になっている」とだけ書いていた。次期副大統領候補のカマラ・ハリスは、ジャマイカ出身のアフリカ系の父とインド出身の母をもつ。副大統領になれば、初めての女性副大統領となり、アフリカ系、アジア系としても初めての副大統領になる。ウィキペディア調べ。

2020年11月9日(月) 市ヶ谷

総武線が、ほぼ満員電車。五十嵐太郎『忘却しない建築』に読みふける。都立大の授業で震災遺構の話をしてから気になって注文していた。
出社後は東京アートポイント計画のアニュアルレポートやTARLつどつど会のミーティングを対面で行い、夜はZoomでラジオ下神白のミーティングをする。オンラインでもオフラインでも話すことは沢山ある。
東京都の新規感染者数は157人。北海道の新規感染者数が200人。札幌市だけで158人と東京都を超える。政府は北海道をGo Toトラベルの対象から除外を検討。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は「全国的に見ても感染が増加していることは間違いない」と会見。また明日から雰囲気は変わってくるのだろうか。
女川原発再稼働に宮城県内の市町村会議は同意。11日に女川町、石巻市、宮城県の3者会談を開き、県知事が同意表明の予定。なんという日を選ぶのだろうか。
アメリカのファイザーが、新型コロナウイルスのワクチンが感染を防ぐ有効性が90%以上とする暫定的な臨床試験の結果を公表。治験中止のニュースは、何度か目にしていたけれど、有効性の確認は初めて(だと思う)。どこまで有効なのか。

(つづく)

noteの日記は、Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021「2020年リレー日記」のテスト版として始めたのがきっかけでした。10月の書き手は、木村敦子さん(クリエイティブディレクター/アートディレクター/編集者)→矢部佳宏さん(西会津国際芸術村 ディレクター)→木田修作さん(テレビユー福島 報道部 記者)→北澤 潤さん(美術家)です。
東日本大震災から10年目、いま何を考えていますか? 問いかけからはじまる寄稿シリーズ。美術批評家の椹木野衣さんの「心の底に降りてあるもの」とは? ぜひ、お読みください。
東京アートポイント計画の10年を凝縮した『これからの文化を「10年単位」で語るためにー東京アートポイント計画2009-2018ー』がBASEで販売中! PDF版は、こちらでお読みいただけます。