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人間は平等に「変わる権利」を持っている。※表現が辛口です。

とある方が、「結婚したい」「子どもが欲しい」と最近言っています。

その方は、43歳・男性・無職(この施設で就労訓練中)です。おまけに恋愛は20年ほどブランクがあり、精神疾患を抱えており、マイナス思考がちな方です。

大方、自分が年をとり、独身である事実が寂しさを増し、「結婚したいなぁ」とかぼんやり思いつつも、過去の恋愛トラウマが災いしてどうにも行動できない、というか何をしたらいいのか分からない、といったところなんでしょうけど、就職していない、異性とどうやって出会い、関係をつくっていけばいいのか分からない、はっきり言って詰んでると思います。

障がいがあるからではなく、驚くほどのマイナス思考、そして、自分を犠牲にする行動指針が、彼を結婚から遠ざけていると思うのです。

まず、働いていない状態を脱しないことには、結婚を考えている女性は、まず近寄ってきません。とてもじゃないですけど、そんな人と家計を共にするなんて不安でしかありません。当然、今就職している人も今後どうなるかは分かりません。ただ、結婚相手を決める要素として「今働いているか」は大きいです。まともな女性ならば当然気にします。

そんな彼は、もう働いても大丈夫と主治医から太鼓判を押されているにも関わらず、新しい職場で人間関係を構築するのが億劫がゆえに、この施設の職員として雇ってもらいたいと言っているのです。精神疾患を抱えている方なので、今よりも変化の少ない環境で働けるなら、心理的不安も少なく済むなら、それも良いかもしれません。

ただし、これから相手を探し、結婚したい気持ちがあるならば、この考えは自分の印象を悪くする可能性があります。客観的に見ると、楽をしたいようにしか見えないからです。

正直、楽なほうに行こうとする考えの男性に、人生を共にする覚悟ができる女性がどれほどいるでしょうか。結婚生活は大変なこと、環境が大きく変わる場面があるかと思います。すると、「あらゆる変化にこの人は耐えられないんじゃないか」と思われやすいため、やはりまともな女性は寄り付きません。

次に、恋愛ブランクについてです。初めて付き合った恋人に浮気されたなど、パンチのある経験をした人なら、次もこうなったら怖いと思い、前に進めなくなる気持ちは分かります。ただこれも要は、人が信用できなくなっている状態なので、周りの人に恋愛対象に見てもらえません。人間不信な人に魅力を感じるかっていう話です。

だからこれも自分で克服するしかありません。「たまたま初めて付き合った人がひどかっただけで、みんながこうなわけじゃない!」と思考を切り替えていかないと、いつまでも事態は変わりません。起こった過去は変えられません。

そもそも思考が偏りがちな人って、自分や周りの人に起こっていることが全てだと思っている節があります。世の中には自分の知らない価値観、世界があるのに、それに触れようともせず、狭い世界で何とかしようとする思考も、はっきり言ってヤバいです。そんな人が変化に富んだ結婚生活(子どもがいれば変化の連続です)を送れるのか。

そして、行動指針が自己犠牲的です。「自分が頑張ることで周りの人が助かる・楽しくいられるならそれでいい」という思考です。もしこれが「人助けによって自分が貢献できていると実感でき、心が満たされる」ならば問題ありません。

ところが彼は違います。家に帰ると、やるせなさや虚無感に襲われ、ネガティブな感情になってしまうのだそう。結局彼は、自分の欲求を抑え込んで、周りの空気を読んで行動しているため、ストレスが溜まる一方なのです。

私は彼に何度か「他人を気遣う前に、まずは自分を気遣いましょう」といった趣旨のことを伝えましたが、納得されません。頭では分かっているけど、受け止められていないといった感じでした。そりゃこの思考で何十年も生きてきたらおいそれと変わるわけないか…とは思いますが。

しかし、人は変わろうと思えば変われる生き物です。動物のように、習性や本能で生きているわけではありません。人間は自分に足りないものは勉強して補うことができます。たとえ親や学校からも教わらなかったことでも、自分で後からいくらでも調べることはできます。

その前提があるがゆえ、彼にも変わってもらいたい。というか、彼の言う目標を達成するには変わることが必須なわけで…。


おわり。




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