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#ネタバレ 映画「バッドサンタ」

「バッドサンタ」
2003年作品
真面目な反則技のおはなし
2004/12/18 10:46 by 未登録ユーザ さくらんぼ(修正あり)


( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

私が二十歳ぐらいの頃、職場にサエナイ中年の先輩がいて、宇宙人の様に理解しがたい存在だと思った事がありました。でも年月が流れ、ふと気がつくと、自分がその中年のひとりになっていて、若者から宇宙人を見るような目で見られているのを感じたとき、昔の想い出の中にある先輩の哀歓が分かったのでした。

主人公である中年の悲哀を漂わせたビリーは、いい味を出しています。映画「バーバー」を思い出します。

ところで、この映画では反則技の「急所蹴り」が出てきます。真面目な話ですが、どうやら映画のモチーフは「急所」のようです。身障者差別を逆手にとって経営者を脅したり、聖職者であるサンタや精霊のコスプレで人々を騙したり、サンタ・フェチお姉さんがでてきたり、ゲイだとかゲイでないとか騒ぎが起きたり、クリスマスの夜にプレゼントを配達したサンタを、子供の面前で、それも背後から撃って世論の大反発を勝ったり・・・。

そして、極めつけは血染めの細工物と、血染めの人形でした。特に細工物を作ったとき、子供は手に怪我をしました。あれはイエス様が十字架にかけられた時の「手の傷」の暗喩だと思いました。

聖なる子供の、聖なる願いが流した血により、ニセ・サンタは清められたのでした。

昔観たイエス様の出てくる映画で、イエスを殴ろうとした兵士が、イエスの静かで慈悲深いまなざしの直撃を受けて戦意を失い、バツが悪そうにその場から立ち去るシーンがありましたが、「バッドサンタ」でニセ・サンタを見つめる子供の眼差しにも、似たものを感じたのでした。

今年も良いクリスマス・ムービーを観る事ができました。

私が最高に好きな逸品です。

追記 ( 子供は小さなイエスである ) 
2015/2/27 10:26 by さくらんぼ

> 聖なる子供の、聖なる願いが流した血により、ニセ・サンタは清められたのでした。
> 昔観たイエス様の出てくる映画で、イエスを殴ろうとした兵士が、イエスの静かで慈悲深いまなざしの直撃を受けて戦意を失い、バツが悪そうにその場から立ち去るシーンがありましたが、「バッドサンタ」でニセ・サンタを見つめる子供の眼差しにも、似たものを感じたのでした。(本文より)

私は映画「魔法遣いに大切なこと」のレビューで、「サンタクロースはいると思いますよ。サンタクロースは普段は一般人にまぎれて生活しています。クリスマスの時だけ本業をするのです」書きました。

それで、思いだしましたが、この映画も少々似ています。

普段は一般人にまぎれて生活していた男が、クリスマスには偽サンタ(正体は泥棒)をしようとしたけれど、不覚にも、純真無垢な子どもに感化され、清められ、ついには、ある意味、本物のサンタさんになってしまうまでを描いた傑作(ただし大人向け)です。

純真無垢な子供がいる限り、本物のサンタも誕生し続けるのです。

追記Ⅱ ( 聖夜に思い出した作品 ) 
2020/12/24 17:46 by さくらんぼ

>純真無垢な子供がいる限り、本物のサンタも誕生し続けるのです。(追記より)

ふと、子どもに感化されて偽物の大人が本物になってしまうのは、映画「ギャラクシー・クエスト」(1999年)に似ているかもと思いました。映画「ビッグ・ウェンズデー」では、子供からの「尊敬という眼差し」の前で、大人になろうと必死にもがいている青年を描いていました。この三本の作品は完成度も高いですし、甲乙つけがたいほど好きです。

追記Ⅲ 2022.4.22 ( お借りした画像は )

キーワード「サンタクロース」でご縁がありました。無加工です。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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