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スリリングなかぼちゃのチーズケーキ作り

「プルンプルンのプルィン作ろ」

アタマに浮かんだ駄洒落(でもない)に、ひとりグフフと笑ってしまう私のお笑い沸点は2℃ぐらいです。

どうしよう、そんな自分が今日はむちゃくちゃ好き。数日前は嫌なところしか見当たりませんでしたが、そんなもんです。

これまでお菓子作りに縁が無かったにも関わらず、自粛生活で見つけた楽しみの1つとして、今では週末に一定の頻度で作るようになりました。

お菓子のマガジンフォルダを作ってまとめようかなと考えながら、私はプリンのレシピを探していました。

焼きプリンが作りたくなったのです。

そういえば1ヶ月程前に、noteでとても素敵なカボチャを使ったプリンの記事を読んだっけ。

あいにくどなたのだったか記憶がおぼろげでしたので、“スキした記事”をスクロールしながら辿っていました。

それは、もったいない料理人みっきーさんの『キャラメルかぼちゃのチーズケーキ備忘録(7/27改訂版)』という記事でした。

プリンちゃうし。
私こそ備忘録をつけた方がいいかもしれない。


うん、やっぱり素敵だ。
改めてそのレシピを拝見し、プリンからチーズケーキへと路線変更する事に決めました。

かぼちゃ、クリームチーズ、蜂蜜、生クリーム、砂糖、薄力粉、卵など、これまでに作ったお菓子とは違い、少しお高めの材料たち。その中でも目に止まったのが『ダークラム酒』でした。

ダーク?
邪悪な感じがする。

1滴もお酒が飲めない私にとって、ラム酒とやらにも縁がない上に、ダークとくればもうダークナイトに出てくるジョーカーぐらいしか頭に浮かびません。

飲んだらヤバイやつかもしれない。

少しワクワクしながらその邪悪なラム酒を買うために、お酒売り場へと向かいました。

ワインやビールなどはまとまったコーナーがあり、この私ですらよく知っているものばかりですが、ラム酒がどこにあるのか見当がつきません。

しばらく店内をうろついていると、店員さんが声をかけてくれました。

「何かお探しですか?」

「あの、ダークラム酒を…」

何でしょうこのちょっと気恥ずかしい感じ。
本当にこの言葉で通じるのかしらという不安と、人生で初めて口にする『ダークラム酒』という大人な響き。

「それならこちらです。現在のお取り扱いは、この1種類のみとなります。」

案内された商品は『マイヤーズ ラム オリジナルダーク』という名の、ずっしりとした重厚感のあるお酒でした。
瓶のラベルには酒樽、植物、醸造所と思われる建物が描かれています。

原産国、ジャマイカ。
邪悪どころか陽気。

品目、スピリッツ。
霊魂?あれか、やっぱり魂持ってかれるやつか。

冗談はさておき、レシピにはクラーケンというブランドがおすすめだと書いてありましたがまあいいでしょう。
私は大人なお酒をカバンに忍ばせながら、浮き足立って家に帰りました。


みっきーさんのレシピは、いい意味で放任主義のような感じがします。


『蜂蜜は別に砂糖でもいいし、薄力粉はコーンスターチでもいい』
『お好みで、多少の誤差なら美味しくなりますよ、きっと』

どうぞお好みでやっちゃって!といった、ある種作り手に委ねているような感じがします。

失敗しないよう、ガチガチに固められた手順や説明が世に溢れている中で、自分で試行錯誤しながらやってみようと思える余白がとても心地良く、また初心者の私にとって、スリリングな楽しさがあります。

分量もケーキ型何センチ用なのか記載がないので、写真を見ておそらくこれは18センチぐらいではないかと推測し、用意しました。ふぅ、スリリング。

まずは、キャラメルかぼちゃペーストを作るステップです。

冒頭には、こう記されていました。

『砂糖を好きな具合に焦がす。煙があがるくらいが好きだけどやり過ると苦いので注意』


煙が、あがる…?


苦さより、火災報知器に注意した方がいいんじゃないかと思わせるスリル。
家を焦がすギリギリまで攻めて、砂糖を焦がすスリル。いや絶対そうじゃないしそこじゃない。

初心者にはハードルが高すぎる記述ですが、きっとキャラメルを作るとはそういうものなのでしょう。

私は鍋に砂糖を入れて火にかけ、ゴムベラになされるがまま、サラサラと鍋の中で動く様子をしばらく見つめていました。

そしてそれは、ほんの一瞬の出来事でした。
ある1点の砂糖が融解し、小さな液体の粒になったかと思うと、あっという間にトロッとした1つの大きな液状の塊になったのです。
後に調べたところ、砂糖の融点は大体180℃前後だそうです。

おおおお、これがキャラメルというやつか。

人生初の手作りキャラメルからは甘い香りが立ち上ってきます。私は興奮しながらそれを混ぜつつ、変化の様を見守っていました。

すると、レシピに記されていた通り、鍋から白い煙が上がってきたのです。


狼煙が上がったぞー!!!

戦いの火蓋が切って落とされました。

家が焦げるのが先か、キャラメルが焦げるのが先か。
妄想激しめに、換気扇をガンガン回しながら、キャラメルの色が茶色に変わるのを今か今かと待っていました。

BGMはもちろん布袋寅泰の『スリル』です。
ちょっと待ってエガちゃん出てきたわ。

少し焦げたような色と香りになった事を確認し、ダークラム酒、かぼちゃ、水を少し加えて煮込んでいきました。

上手くいった気がする。

ダークラム酒の何ともいえない芳醇な香りで酔いそうになりながら、引き続き手順を見つつ、“ここはどうするの?”と疑問に思うところは工夫しながら、生地を完成させました。

180度で30分、160度で20分。


焼き上がったのは、何ともいい色のチーズケーキでした。

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冷ました後、型から外してみても、いい感じ。

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カットしてみてもいい感じ。
やだ、オシャレ。

画像3


素敵すぎて、お皿を変えての撮影会。
お店開けるんじゃない?

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記事的には、何か失敗しちゃった感のあるオチが欲しいところですが、写真の撮り方が、オシャレを意識しすぎて微妙だという事以外のオチはありません。

かぼちゃの自然な甘味、キャラメルのほんのりとした苦味、チーズの酸味、それらをダークラム酒の豊かな香りがまるっと包み込んで、1つの美味しさが完成するという、素晴らしい仕上がりとなりました。

ファビュラス。

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