青縞夢芽 / AOSHIMA Yume

はじめまして。物語を書いています。時々、読書日記やエッセイ、アートも。ブログのテーマは…

青縞夢芽 / AOSHIMA Yume

はじめまして。物語を書いています。時々、読書日記やエッセイ、アートも。ブログのテーマは「一瞬一瞬から言葉を紡いで自由な夢芽を織る」。感動も絶望ある人生だけど、私は、言葉の糸に紡いで、やさしくあたたかい文章に織り上げたい。そうしたらきっと、自分を愛して、明日を向けると思うから。

マガジン

  • 物語たち

    かこのnoteの物語たちを集めました。 心をこめて書きました。 読んでいただけたら嬉しいです。

  • 思いつき日記

    今を切りとって綴った、ちいさな記事たちです。なにげない日々が、あったかいものになりますように。

  • 本箱だより

    出会った素敵な本たちをテーマごとにご紹介。 「本屋さんにあるちょっとおしゃれなフリーペーパー」っぽく作っています。 本箱の中を、ぜひ覗いてみてください。

最近の記事

【物語】味わうべき恋かを確かめることは、美味しい果物を選ぶことと似ている《夢芽の自由ノート》

私は、果物を買うのが、怖い。今日のりんごも、つやつやと鮮やかな赤をしていたのに、包丁を入れたら、中心が傷んでいた。冴えない、くすんだ、薄茶色。放っておいたら、どんどん広がって、りんごの身を蝕んでいく。柔らかな黄色を、染めていく。私は、この色が大嫌いだった。柔らかな黄色と薄茶色、どちらが本当なのかわからないこの感じが、気持ち悪かった。なのに、果物を買うたびに、はずれを引く。私は、包丁を入れて、その果物が傷んでいることを確かめるたびに、自分の運の無さを確認しているようで、虚しい気

    • 【物語】「私になんて」から自由になるために〜綺麗になることは着飾ることじゃなく、自分のために脱ぐことなのかもしれない

      *この物語はフィクションです。 「私になんて……」 これがいつも口癖だった。褒められた時も、誘われた時も、好みの服をお店で見つけた時でさえ、私の思いの枕詞は、いつもこれだった。私になんてもったいない。私になんて本当は来て欲しくないのかもしれない。私になんて似合わない。心の中でさえ、本気でそう言っていた。傷つかないために。 そう。「私になんて」は、私の鎧だ。周りに対しても、自分に対しても、鎧を着て、身を守っていた。期待されない。期待しない。いいことばを本気にしない。自己卑下

      • あいさつは、餃子を包むように!?《思いつき日記》

        あいさつの言葉は、大抵、いつも、決まっている。 おはよう。こんにちは。こんばんは。 おかえり。ただいま。いってらっしゃい。 お疲れさま。またね。おやすみなさい。 定型的で用意されたものだからこそ、受け取りやすいその言葉には、一つ一つ気持ちやあったかさが包まれている。 いい香りを霞ませながら、はいっ、と目の前に差し出される。 今日も元気かな。 頑張ってきたね。 気をつけてね。 いつもありがとう。 大好きだよ。 照れてしまうような気持ちも、いつもの言葉に包まれたなら、

        • 自分の居場所を探すのは、生き物を飼うことと似ている。《思いつき日記》

          自分の居場所を探すのは、生き物を飼うことと似ている。 人は、自由に生きる場所を選ぶことができる。 だけど、選ぶことができるからこそ、 どんな環境でも生きられるわけじゃない。 なのに、私たちは、どこでも生きなきゃと思ってしまう。 我慢して、耐えて、ここに居なくちゃと、思ってしまう。 その先の希望のために越えなくちゃいけない大変さだったらそれは必要なことだけれど、 特に自分ではどうしようもできない苦しさの時ほど、 苦しさの先に苦しさしかない時ほど、 私たちは、そのことを忘れて

        【物語】味わうべき恋かを確かめることは、美味しい果物を選ぶことと似ている《夢芽の自由ノート》

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        • 物語たち
          23本
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          2本

        記事

          「空気」は、読むものじゃなく、つくって一緒に食べるもの《思いつき日記》

          空気って、なんだろう。 時々、考える。 そして、その時々考える時、は大抵、あまり良くない時だ。 「空気を読め」とか、「なんで空気を読めないんだ」とか、 そんな場面に出くわした時。出くわして、落ち込んだ時。 私は、本当に、空気を読めて、いないんだろうか。 そもそも、空気は、私たちにとって、吸って吐くもの。 空気は、いつも私たちの周りに漂って、自由で、満ちていて、でも目には見えないもの。それは時々、そこに無いと思われてしまうくらい、いつもそこにあるのだけれど、時々、肌で心

          「空気」は、読むものじゃなく、つくって一緒に食べるもの《思いつき日記》

          夢があっても、なくっても。《思いつき日記》

          君の夢が、叶って欲しい。 心の底から応援しているけれど、 本当は、君が、 夢を変えたって、 夢を忘れてしまったって、 最初から夢なんてなくったって、 どっちでもいいんだ。 それよりも、 夢を見ている君がきらきらして、 夢が君の支えになって、 夢が君が落ち込む背中をさすってくれるから、 夢が君が生きるお守りになっているから、 笑顔の源になっているから、 君の夢が、君のそばにいて欲しいと思うんだ。 夢じゃなくてもいい。 きらきらのソーダ。 やわらかい猫。 木の匂いがする色鉛

          夢があっても、なくっても。《思いつき日記》

          「ふかいやされる〜」深く癒される本特集《本箱だより》Vol.2(2021年7月5日号)

          「ふかいやされる〜」深く癒される本特集《本箱だより》Vol.2(2021年7月5日号)

          夜にコーヒーを好きでもいいですか 《思いつき日記》

          夜にコーヒー。 わたしはこの組み合わせが好きだ。 眠気覚ましなんかじゃない。 もっと、とくべつな感じ。 やわらかくて、幸せな感じ。 だって、 夜がくると、自分の時間がくる。 自分がつくった空間で、 心も体も解いて過ごせる、 自分だけの時間がくる。 優しい暗闇が、 昼の騒がしさを沈めてくれて、 お気に入りのカーテンが、 私を外から守ってくれる。 そんな空間で、 好きなことをする。 大好きな作家さんの本を読んだり、 新作の音楽を歌詞カードを見ながら味わったり、 キーボード

          夜にコーヒーを好きでもいいですか 《思いつき日記》

          まっすぐに歩くのが、へたくそな件について《思いつき日記》

          まっすぐに歩くのが、へたくそだった。 それから、今も、へたくそだ。 鈍い感じがして、気にしていた。 小さい頃からよく転ぶし、つまづく。 大人になって、誰かと並んで歩いていても、 一瞬、相手の視界から消えることも多々、 というくらいに。 ふらふらっとよそ見してしまったり、 そうかと思えば、猪突猛進。心の動く方へ、 なりふりかまわず、駆け出してしまったり。 頭の中も、生き方もおんなじで、 いつまでも何かを追いかけて、 つまずいたり、転んだり、 起き上がっても、また、道に

          まっすぐに歩くのが、へたくそな件について《思いつき日記》

          オムライスが好きって、なんか可愛い。《思いつき日記》

          オムライスが好き。 と言ったら、 オムライスが好きって、なんか可愛い。 と、返ってきた。 まったく根拠はないけれど、 なんだかほっこりしたのは、 きっと、好きなものを好きな自分、まで 肯定してくれた感じがしたから。 オムライスみたいに、くるっと、包んでくれる感じ。 何を好き。 と言っても、 いいね。 って言ってくれる予感のある関係が、 心地よい関係、だと思うのです。 そしてオムライスはいつも、 食べる前から、おいしい予感がします。 おいしくて、心地いい予感のする約束

          オムライスが好きって、なんか可愛い。《思いつき日記》

          自分のダメなところしか見えなくなった時、答えを教えてくれるのはあったかいスープなのかもしれない。

          *このお話はフィクションです。 「私って、どうしてダメなところばかりなんだろう」 なんだか、急に、涙が出る。いいところがなぜかひとつも見えなくて、過去の頑張ってきた時間まで、なかったことのように思えてしまう。なのに、気力は湧いてくれない。ただ、涙が溢れるばかりで、体も心も鈍くなっていく。 ああ、もう、何もしたくない。頑張るのも怖い。お願いだから、助けて。 苦しくてしゃがみこんだ玄関で、目を瞑って、深呼吸する。なんとか立って、ドアを開ける。会社、行かなくちゃ。 でも、いつか

          自分のダメなところしか見えなくなった時、答えを教えてくれるのはあったかいスープなのかもしれない。

          夜が怖くて、明かりの中を彷徨っていた私を救ってくれるのは、暗闇なのかもしれない

          *このお話はフィクションです。 「ねえ、お願いだから、電気、消さないで」 ずっと、夜が嫌いだった。暗闇は、私と空気の境界線を狭くするから、心が、きゅっ、と苦しくなる。いっそ、無音になればいいのに、静けさは小さな雑音を目立たせて、小さくなった私を追い込んでくる。やめて、と叫ぼうとするのに、何も見えない。見たいものも、逃げるべきものも、何も。だから、夜が嫌いだった。だから、いつも、電気をつけて眠る。蛍光灯の無機質な光が、私を朝まで、繋ぎ止めてくれるから。 そして、この不安は、二

          夜が怖くて、明かりの中を彷徨っていた私を救ってくれるのは、暗闇なのかもしれない

          前向きの前が、わからなくなってしまった時は

          「もう、逃げたい。なにもかも、もう嫌だ」 目の前の少女の声に、昔の私が重なっていた。 「でもね、逃げるなんて、ずるいよね。このままでも、嫌な場所から離れても、私は弱いまんまなんだ」 私のアトリエで、絵の具のチューブをいじりながら泣いている女の子。莉奈ちゃんは中学2年生。1ヶ月前に、初めてここを訪ねてきた。 「結局今日も、学校さぼって、奈々さんのところに来ちゃってる」 1ヶ月前にここに来て、その一週間後またここに来て、ここ二週間、平日は毎日ここに来ている。 「奈々さんにも迷惑か

          前向きの前が、わからなくなってしまった時は

          真剣な場所で、「好き」に気づいてしまったら

          どうしよう。好き、かもしれない。 こんなところで、どうしてこんな気持ちに気がついてしまったんだろう。広告の合同コンペの会場。自分のチームのプレゼンの時間。3分しかないこの間に、私の集中力は、一体どこにいってしまったんだろう。 デザイナーの彼と、コピーライターの私。会社の同期でチームを組む機会も多く、何個も一緒に作ってきた。小さなポスターから、イベントまで含めた大きな企画まで。彼との仕事は本当に面白くて、二人で、いつだって、本気で、戦ってきた。恋愛感情なんて生まれる油断なんて思

          真剣な場所で、「好き」に気づいてしまったら

          いつもの電車に疑問が湧いたら、それは、「駆け出し下車」の合図なのかもしれない

          「ドアが閉まりまーす。ご注意ください」 このドアは、いったい何回閉まったんだろう。6時45分の総武線。同じ駅から、同じ電車に乗って、また同じ駅で降りる。服は4日間のローテーション。向かうのは同じビル。フロアは時々移動するけど、でも、私がやっていることは、毎日会社に行くということだ。 5時30分に目覚ましが鳴る。同じメーカーのコーヒーといつものパン屋さんの食パンの朝食。ランチはいつも、3つ隣のお弁当屋さん。金曜日は、一人で、自宅の一個前の駅のバーに寄って帰る。 とても、居心地が

          いつもの電車に疑問が湧いたら、それは、「駆け出し下車」の合図なのかもしれない

          まつげの綺麗な君を好きな、理由について。

          君のまつげが、好きだった。 長く揃って、艶々している。 写真を撮っても、 一緒に喋っても、 君のまつげはいつだって綺麗だけれど、 でも、 見惚れる瞬間は、きまって、君が真剣に見つめる時だ。 幸せについて考える時。 見えない答えを探す時。 目の前の時間を全部、心に焼き付けようと見開いている時。 そんな時の彼女のまつげの先は、 いつだって、未来を指している。 僕は、君のまつげをコンパスみたいに、想っていたのかもしれない。 君を見ていると、いつだって、未来があるって、信じられた。

          まつげの綺麗な君を好きな、理由について。