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まっすぐに歩くのが、へたくそな件について《思いつき日記》

まっすぐに歩くのが、へたくそだった。
それから、今も、へたくそだ。

鈍い感じがして、気にしていた。

小さい頃からよく転ぶし、つまづく。
大人になって、誰かと並んで歩いていても、
一瞬、相手の視界から消えることも多々、
というくらいに。

ふらふらっとよそ見してしまったり、
そうかと思えば、猪突猛進。心の動く方へ、
なりふりかまわず、駆け出してしまったり。

頭の中も、生き方もおんなじで、

いつまでも何かを追いかけて、
つまずいたり、転んだり、
起き上がっても、また、道に迷ってしまったり、

私はいつまでたっても、
まっすぐに歩けない。

でも、
一度だけ、
まっすぐに歩けた時があった。

これでいい。
と、自分を納得させた時だった。

今思えば、
見えない何かを心配して、
心もどこか疲れていて、
弱気になった時だったと思う。

まっすぐに歩いて、
心を落ち着かせる。
たいらな道は、
体力と気力を回復させる。

だから、元気が出てくると、
物足りなくなる。

もっと、冒険をしたくなる。

まっすぐに歩くのが、へたくそな自分が恋しくなる。

本当は誇らしかったんだ。

だって、
まっすぐに歩けないときは、
これがいい。
と決めた時だから。
これ、が欲しくて、
もがいている時だから。

それに、まっすぐに歩けない分、
たくさんのものに出会えるかもしれないし、
つまづいたついでに、面白いものを拾えるかもしれない。
転ぶ回数が多い分、傷の癒し方も上手になれば、
挑戦だって、なにも怖くない。

必要な時は、
まっすぐに歩ける。

だから、

元気な時は、
へたくそでいい。

へたくそになれる、愉快な道を選びたい。

そして、
私は、いつだって、
「これがいい」と、
まっすぐに歩くのがへたくそな自分を、
好きでいたい。そう思うのです。

                               つづく、

***

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