見出し画像

(詩)暑さ寒さも彼岸まで

その日
わたしのそばに誰がいて
それが何月の何日で
それは寒かったとか暑かったとか
言い合ったり
または黙り合ったりしながら
何分何時間と
時を分かち合ったり
その空間と呼ばれる
何処何処の何処何処町の何番地の
その角を曲がった何軒目の
ささやかな家の窓の
ささやかな空気を分かち合い

何かの印のように
分かち合った時と空気の
何か遠い後の日のための
目印であるかのような
わずかな時と空気の分かち合い

分かち合いながら
人生は人生として
何十年かの歳月をかけて綴られた
どの人もどの人にも
いくつかのいくつもの
どの人の心にも記憶にも
ささやかな目印だけを残して
そして
人生は流れていった

来る日も来る日も
平凡な単調な表情をしながら
それでいて何も語らず
ただ分かち合った
冬ならば寒さが
夏ならば暑さが
なぜに
こうもいとしく
なるでしょう?

あたかも
あの寒さがあの暑さが
それこそ
彼岸に至る道だったと
いうように

この記事が参加している募集

私の作品紹介

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?