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(詩)ぼくたちの夢は死なない

たとえば歌が好きなら
歌うことが好きなら
歌が夢なら
歌うことがきみの夢ならば

たとえそこが
何万人の観衆のいるステージでも
そこがたとえ
誰もいない寂れた路地の裏側でも

歌は
何処でも歌うことができる
歌なら
同じ歌なのだから

その路地裏に
風が吹いていて
雑草が伸びていて
きみがそして
ひとりぼっちで歌っていて

やがてきみを含めた
すべての生命いのち
生き変わり、死に変わり
めぐりめぐって


ある日
ふと何処からか
誰かの歌う声がして
耳を傾けると

なぜだか無性に
きみは
その歌がいとおしく思え
近づいてみると

そこには
美しい花が咲き
ひとりの少年が立っていた

その花は遠いあの日
きみの歌を聴いていた、あの雑草
その少年はあの日
きみの歌を聴いていた、あの風

だから
ぼくたちの夢は死なない
きみの夢だった
あの歌は、死なない

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