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カタカナ語の使い過ぎに注意!それ、自己満ですから!!【随筆】池上彰『伝える力』を読んで。

池上彰さんの『おとなの教養』シリーズが3まで発刊されている。本書と同じように図書館で借りて、楽しく読んで学んだ。その時にも思ったのだが、これは買った方がいい。特に1は、そう思った。そして本書『伝える力』もそういう本だった。まあ、そうは言っても図書館に行けばあるんだ。時を置いて忘れた頃、もしくはもう一度勉強したくなったら借りよう。
でもな、嵩張ることもない。やっぱり買おうかな。BOOKOFFで見つけたら、きっと買う。そのくらい、とってもよかった。

参考までに『おとなの教養』は2014年の本で、リベラルアーツの本。「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」の7つの項目で説明。すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる。一般教養は大事! で、僕はこれを読みながら読書と筋トレもそうだよなあ、という感想を付け加えた。

それでは本書を読んで、徒然と感想などを。

2007年の本。

NHKの「週刊こどもニュース」をご存じだろうか? 僕は名前だけ知っていて、観たことはない。日々のニュースを、子どもたちに分かりやすくを解説することを目的にしたテレビだ。ここで池上さんはご活躍していたそうだ。そして池上さんは、この番組をとおして「本当に勉強させてもらいました。誰にかといえば、子どもたちにです」と語る。
子どもたちは当時の私にとっての、デスクであり、先生でもありました。と続ける。
大人には通じる「常識」が子どもたちには通じない。知識も社会経験も、大人に比べると少ないのですから当たり前です。
その子どもたちに、どうやって世の中で起きている事件や事故、出来事をわかりやすく伝えるか。これが大変だったのです。
~~という書き出しで始まる。この冒頭つかみで、突然ですが「日銀」とは何か、説明できますか?
このQに、ドヤ顔で
日本銀行とは日本の中央銀行で、銀行券の発行ができ、市中銀行及び政府に対する貸し出しや国庫金の収支業務を行なう銀行です。また、金利の操作や公債の受け渡し・回収を通して通貨の増減を図っています。いわば発行銀行であり、銀行の銀行であり、政府の銀行でもあります。 ドヤ!
みたいな立派な回答、さぞ素晴らしい。
でも正直なところ、
こんな人、友達にはなりたくないけどね笑

で、いざ、小学生に説明して。
となってフリーズしませんか? 上の呪文みたいなのって、暗記構文みたいにして覚えていない? 正直に話してごらんよww 本当のところ、よく分かっていないでしょ?ww
この頭でっかちめ。深く理解していないと説明できないものですよね。

だいぶ青村文法に変換して書きましたが、とにかくこんな感じで本書は始まります。個人的身近な例で示せば、麻雀を人に教えるのって、意外と難しいんですよね。あのゲーム、かなり複雑で……だから、人に教えることができるってだけで、その人は雀力それなりにあります。たぶん強いでしょう。打牌選択のひとつひとつを理由つけて説明できるのは、ちゃんと麻雀を分かっていないとできないからです。余談でした。

本書から気になる見出しをピックアップします。

・プライドが高い人は成長しない
→謙虚に人の意見に耳を傾けることは、とても重要です。
伝える力、どこに行ったのよ! ではなくて、その前提の話もします。
「伝える」に自信があってもなくても、最も大事なことは「聞く耳を持つ」ことです。そして、他者の意見に「謙虚である」ことです。

もう、有名な話ですよね。たいていこれ系の本には書いてあることです。みんな言っています。ということは、やはりとても重要なことなのでしょう。

・映画や連載記事に学ぶ ”つかみ” 方
「書き出し」と訳してもいいですね。noteでもそうですよね。しかしnoteならば本文までに辿り着くまでのサムネイル・記事タイトルも当然そうでしょう。読んでもらってなんぼ、数多ある記事の中から耳目を集める記事であるための工夫が必要です。

第5章 文章力をアップさせるために
・「もう一人の自分」を育てる
→物事を誰かに伝える場合は、独りよがりにならないようにすることです。そのためには「もう一人の自分」を持って、それを育てていくとよいでしょう。
たとえば、思いついたアイデアや企画を書き出してみましょう。
その際、書いたあなたが「なかなかいい出来じゃないか」と思ってしまったら、「もう一人の自分」がいるとはいえません。書いたあなたも、見直しているあなたも、どっぷりとそのままのあなたです。
「もう一人のあなた」がいたら、”その人”はどう見るでしょうか。
「そういえば、これ、3年ぐらい前にも流行ったな」
ということに気がつくかもしれません。あるいは、
「でも、これ、ほんとうにおもしろいのかな」
と、一歩引いて見るかも知れない。あるいは、
「論理展開が一貫していないな」
「文章がわかりにくい」
「誤字脱字がたくさんあるじゃないか」

要は自分ツッコミ、自分を客観視できるか問題です。ここでも何度か書いていますが、やはり同じようなことが書いてありました。とても大事なことです。でも、これがなかなか難しかったりするんですがね汗

と、
・プリントアウトをして読み返す
・寝かせてから見直す
・音読する
をすることの有効性が書いてあります。「もう一人の自分」と近い話だと僕は理解しています。
この章は、とても参考になりました。

ここまででも十分な学びで、お腹いっぱいなのですが、なんといっても次の章が面白かった。

第6章 わかりやすく伝える
・氾濫する”カタカナ用語”
→小泉純一郎氏は総理大臣のとき、カタカナ語を極力使わないようにという指示を出しました。
国会で答弁する際、英語を多用する答弁をした閣僚には「わかりやすく表現しろ」と叱責したこともあります。厚生大臣当時は、省内からカタカナ言葉を追放するための検討委員会まで設立したほどですから、筋金入りのカタカナ語嫌いです。
一方で、現総理大臣の安倍晋三氏は小泉氏とは打って変わって、カタカナ語がお好きなようです。
「イノベーション」
「カントリー・アイデンティティー」
「子育てフレンドリーな社会」
「新健康フロンティア戦略」
「戦後レジームからの脱却」
そして極めつけは
「ホワイトカラーエグゼンプション」
これでは、どこの国の総理大臣かわからないと言われても仕方ありません。「美しい国」をめざすと言っておきながら、その国のあり方について「カントリー・アイデンティティー」と表現したのでは、「美しい日本語」を使ってほしいと突っ込みたくもなります。

……池上さんのやわらかトゲ、今読んでも気持ちいいですね笑
この頃、あまりニュースは見ていなかったので、全部が全部分かるわけではないのですが、たしかにカタカタ! カタカナ大好きな人といったら小池都知事が僕はすっと浮かびます。たまに、ほんとうに伝える気あるの? と心配になります。「モメンタムが必要です。いわゆる勢いですかね」とか、テロップでカタカナ語の後ろに( )で日本語訳とか書いてあるのをみると、吹き出しそうになります。

サムネイルの「コンプライアンスのための~」などという表現は、もはや日本語じゃない。でも、いるよね! 使いたがり!
白状するよ。
僕も、イキっていた時、使っていましたww

そろそろ終わろう。
あと、付箋は2枚だけだ。

・「そして」「それから」の多用は避けましょう。幼稚になりがちです。
例文は引用しません。とにかく気をつけよう。

・順接の「が」
できるだけ避けた方がよいでしょう。
①今日はよい天気ですが、お元気でしょうか。
②彼は仕事ができるが、スポーツもできる。

変だよね。
①はそもそも天気と元気、どんな関係があるんでしょうね。気持ち、字面が似ているくらいですよね。
②は彼は仕事ができるし、スポーツもできる。
もしくは
彼は仕事ができる。その上、スポーツもできる。
でいいでしょう。

おわり。勉強になったー!!
池上彰さんの本は、学びだけじゃなくて、随所にちりばめられたやわらかいトゲが、笑わせてくる。読み物として、純粋に面白い。さすが記者だ。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
また次の記事も読んでくれたら嬉しい(過去記事も)。それではまた明日!

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