祝 芥川賞! これぞ、覚悟小説!【読後感想】市川沙央『ハンチバック』
受賞から1週間もたってしまった。たった1時間半なのだが、なかなか再読する機会がとれなかった。まずそれを詫びる。こういう祝辞は、できるだけ早急にするべきなんだ。
これまでに2回読んで、それぞれ記事にしている。
↑ これは、僕の記事のなかでお化けだ。約2000ビュー。芥川賞受賞から1日で、約1000ビュー増えて、ほかの記事を大きく突き放してぶっちぎりだ。たぶん、noteユーザーじゃない方にも多く読まれているのだと思う。このことは、ひとえに芥川賞のニュースは、それなりに世間も関心があるのだろうと前向きに捉える。
一方 ↑ これは、まだ100ちょいww なんだろうな、この差は汗 芥川賞にノミネートされたこともあって再読した時に書いた記事だ。個人的には、出来はあまり遜色ないものと思うのだが、わからないものだ。
で、再再読をして、懲りずに記事にする。あまり長くならないようにするつもりだし、もちろん前の2つの記事とは差別化する。
2023年
ヤバイ本
純文学
80点
1.5h
まあ、詳細・点数は前回と変わらない。『ハンチバック』は何度読んだってヤバイ本だし、ごりごりの純文学だし、75~80点の作品で、1時間半で読み終わる小説だと思う。
記事タイトルに書いたとおり、『ハンチバック』は覚悟小説なんだ。なんだそれって? さっき思いついただけだよww
というのはね、羽田圭介の『メタモルフォシス』を思い出したんだ。コレ ↓
羽田圭介といえば、『スクラップ・アンド・ビルド』ですか? 違いますよ! 圧倒的に『メタモルフォシス』だよ! 彼のデビュー作の『黒冷水』でもいいけど、『メタモルフォシス』(以下,『メタモ』)だね!
この『メタモ』ってのはSMクラブにどっぷりハマった男たちの、変態小説なんだけど、これがめちゃくちゃ面白い! 女王様に跪き、快楽を貪る奴隷。よりハードなプレイを求め、死ぬほどの苦しみを味わった彼が見出したものとは……
こんな感じの内容なんだけど、そりゃ賛否ありあり。というか、何が言いたいかって、書けないよね。なかなか書けるものじゃないんだよね。まあ、普通は、というべきか、わかる? 残るからだよ。そういう人だ、とかイメージがついて回るからだよ!
やばい、羽田圭介に引っ張られるww
覚悟がいるんだ。純文学って、自身の体験談の切り売りのような側面があるわけ。じゃなければ純文学は書けない。とまでは言い過ぎだけど、ようは書いた内容と、作者って、そう簡単に切り離されないわけですよ!
これは、村田沙耶香でも今村夏子でも言えるのかもしれない。もちろん、書いているのはフィクションだよ、だから違うんだけど、でも、まるっきり違うってことも言えない……。
すごいのはさ、『メタモ』の巻末で羽田圭介は「こんな小説を書いています」と名刺代わりにしたいのは『メタモ』の方だと述べているんだ(『スクラップ・アンド・ビルド』じゃなくて!)。
小説家はさ、変わり者だし、たぶん変態だよ。じゃなきゃ書けない。で、僕はこんな変態小説を書いています。と堂々と宣言できるのはスゴイ。
ごめん、熱くなっているが、たぶん、自分にも向けて書いている。『ハンチバック』に戻るが、読めば分かるが、絶対に、絶対に読んだ人は、これ、実体験だろ、と想像するよ。
で、それは本当でも嘘でもどっちでもいいんだよ。でも、書いたら、やっぱり本当なんだ、実体験なんだろうな。くらいに想像する。
そして、それも分かって、書いている。その点が、覚悟小説だ。
だから、じゃないが、この『ハンチバック』は市川沙央にしか書けない。彼女は、会見でこれまで障害者が芥川賞を受賞したことはない。それもおかしなことだ的なことを言っていた。
しかしだ、おかしくない。そこの線引きは健常者と障害者じゃない! 覚悟だよ。彼女には、覚悟があった。だからだろう、この小説は面白かった。
しかし、もう少し読み手を意識した優しさがあれば、点数はあがったし、最後のところも、彼女は必要だと思ってそう書いたし、また選考委員の方の意見は分からないが、やはり『ハンチバック』には必要だったのだろうが、あのラストが違えばもっと点数があがった。と、僕は思う。
が、やはりそうしたら、この『ハンチバック』は、トゲもない、さほど面白くない小説に成り下がってしまうのかもしれない。難しい話だ。
さいごに、『ハンチバック』。
市川沙央さん、芥川賞受賞おめでとう!!
来年は、僕がとる。覚悟を決めて、小説を書く。
これで〆る。
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