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偏差値70!今年だけで4周していますw【読後感想】『私の恋人』上田岳弘

2015年発刊、純文学、3時間で読了するってことは変わらないが、評価には変遷がある。

1回目 65点、考える本
コメント:やばいくらい意味不明で、マジつまらん。とか思っていたが、そうではなかったのかもしれない。こいつはかなり難しい。SFで哲学、かなり高尚な類。たぶん3週目のおわりはシンギュラリティ。とにかく再読や!

2回目 80点、シビレル本
コメント:2回目にして、だいぶ読めた。かなり楽しめた。冒頭翻訳の不出来が現状を表しているだけで、ほんとうに、そう遠くない未来に迫っているのかも。中毒性がある。再読したくなる。にしても壮大!!

3回目 90点、ヤバイ本
コメント:高橋陽平の言う「彼ら」とは、ありがちな発想なのかもしれない。でも、それだけじゃない! この小説は壮大すぎて、私の恋人を巡る10万年越しのラブストーリーなのかもしれない。とにも、この本を楽しんで読める側に自分がいれることが、なにより幸せだと思う。

4回目 90点、恋する本
本日、読了したので上記3回よりは長めに、感想のようなことを一気呵成に書く。

これも、先日書いた『侠』と同じように図書館で借りた本だ。今年の初めに借りて、読んで、再読、再再読した。何度でも読みたいから、絶対買いなんだが、BOOKOFFで見かけない。今般、また読みたくなって借りた。
ジャケ読みではない。タイトルがよかった。
ということで、1年間で4回読んだ本について説明する。さすがにこういうことは珍しく、3年前くらいに阿部公房の『砂の女』でも1年間に2回、2回と分けて計4回読んだ。読み終わって間を開けずにすぐに再読。あれは、たしかにヤバイ。でもね、負けてないよ。『私の恋人』も、かなりヤバイ。
やっと6月になったばかりだ。まだ半分だ。あと、2回くらい読むんじゃないだろうか笑
いずれにしろ、買った方がいい。3時間で読めちゃうあたりも、いい。この点は、『人間失格』『風の歌を聴け』『異邦人』と同じだ。この3作は、100点、100点、95点の3種の神器みたいなものだ。

さて、1~3回目のコメントは、僕の読書記録からのコピー&ペーストだ。
あまり内容には触れていない。見て分かる通り、少し興奮している節がある。また、1か月前からnoteを始めた身としても、この熱は、外に出した方がいいと思った。

はっきり言えば、僕の周りでこの本を読んだことがある人も、これから読むだろう人もいない。でも、誰かと共有したいのだ!

きっと、この世界になら、同じような人はいる。また、そうでなくても騙されたと思って読ん見てほしい。が、難点はある。

偏差値70と書いた。たしかに、この本は難しい。

僕の1回目のコメントにもあるように、本当に意味不明だった。
分かりやすく言えば、
ドストエフスキーより難しい。これは言い過ぎかw

とにかくね、ものすごい本なんだ。僕には、まず書けない。括れば純文学だけど、SFでもある。

というか、読むたびに「考える本」「シビレル本」「ヤバイ本」「恋する本」というように、色んな側面がある。さすがに「泣ける本」と読むのは難しいかもしれないが、とにかくそういう性質がある。

僕がドストエフスキーに触れたように、『私の恋人』は『カラマーゾフの兄弟』にも近いし、中村文則の『教団X』にも近しきものがあると思う。総合小説という言い方が正しいのか分からないが、とにかく、すごいんだよ!

作者の上田岳弘は、次作の『ニムロッド』で芥川賞をとっている。5年前くらいだ。本をよく読むようになった頃と同じくらいのタイミングだった。はっきり言えば、記憶にない。仮想通貨の話だったような気もするが、正直その時あまり面白く読めた覚えはない。もちろん、今なら違うかもしれない。いいや違うだろう。こんだけすごい本を書いたのだ。また芥川賞作品が面白くないはずはない!(ちょっと前記事と矛盾していますね笑)で、とにかく上田さんの本は、BOOKOFFで見つけたら買おう案件なんですが、いかんせん吝嗇で、100円コーナーばかり探す。とりあえず、そこにはない。
まあ、いずれ買うし、いずれ読む。とにかくそういう作家になった。って、こんだけ1作品で語っていいのかは怪しいが、僕はね、とにかく興奮しているんです。許して下さい汗 上で、太字が多かったので、自重しましたww

ざっくり、
1人目の私は、10万年前のクロマニョン人
2人目の私は、80年前のハインリヒ・ケプラー
3人目の私は、現代を生きる井上由祐

3人目の私は、
1人目の時と2人目の時の記憶がある。
1人目の私は、恋人を夢想する。
  それは2人目の私もそうだ。
1人目の私も、2人目の私も、若くして死んだ。
34歳だった。
今のわたしは、35歳になった。

キャロライン・ホプキンスは、私が探していた「私の恋人」なのかもしれない。彼女は、美しい。

「よくわからないな。牛とか豚はいいの?」
「ほんとうは駄目よね。でもひとつすっきりさせないと、もっと駄目ですね? かわいそう、思うのは自分に近い存在だから。そうですね? ロブスターより鶏かわいそう、鶏より豚かわいそう、豚より鯨かわいそう、鯨よりイノウエかわいそう。近いところからゆっくり広げていって、かわいそう、広げていくの」
「その広げる範囲ってのは、動物に限られたことなの?」
 私の恋人を彷彿とさせる発言をしたキャロライン・ホプキンスに、井上由祐は思わず重ねて問い質した。するとキャロライン・ホプキンスは、視力が急に悪くなった高校生みたいに目を細める。「本当は野菜も食べない方がいいかもしれない。そこまで行くべきかもしれません。中心を広げないと」

上田岳弘『私の恋人』p29,30抜粋

↑、なかなかヤバいでしょww これだけじゃ全然分からないと思うけど、発想がね、もう、すごいんですよ。ほんと

高橋陽平は、
「行き止まりの人類の旅」をしていた。
僕たちは今、3週目にいる。
2週目の旅の行き止まりの1つに2つの原子力爆弾を落とした、というのも高橋陽平の持論だ。

いやあ、これだけじゃ話は伝わらないよね!知っているよ!でもいいんだ!
でもね、ちょっと気になりませんか?
僕がほんとうに伝えたいのは、この、僕の興奮を、なんだよ。3時間で読める本を読んで、しかもそれなりに本は読んできた作家志望の37歳が、本を読んで興奮している。馬鹿みたいかい?

長文になったけど、驚くほど早く仕上がった。たぶん、30分、いや見出し画作成もあるから1時間くらいでここに至った。
とにかくだ、僕の10本の指はキーボードの上で、ダンスするみたいに華麗に舞った。実に楽しい作業だった。こんなん、無限に書けそうだ。って、それは言い過ぎだけど、まだまだ書ける。でも、このくらいにしておく。
ちなみに? ご想像のとおり? 一番時間がかかったのは、文章引用だww

完璧な文章など存在しない、完璧な絶望が存在しないように。ちょっと違うか汗 言いたいことは、よりよく文章を仕上げることはできる(もちろん、僕ができる範囲でしかない)が、そうしたらこの熱が、冷めてしまうと思った。だから、これで。また書きたくなったら、書けばいい。ここでは、それが許される。

あっ!小池さん!これが、モメンタムか!いまやっと分かったぜ!w

最後まで読んでくれてありがとうございます。
また次の記事も読んでくれたら嬉しい(過去記事も)。それでは。また!


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