十二月の妖精 (#シロクマ文芸部)
十二月の風が吹いた。ね、感じた?
今の風のこと?
そう。こんな夜だけど、一瞬だけ十二月の風が混じってたのよ。
どんな風のことを言ってるの?
例えばそれは、雪の代わりに空から桜の花びらが舞ってくるくらい貴重で、信じられないほどに神秘的な風。
キンと冷たいのに、どこか柔らかい。
感じたことないな。
感じられないの?
どうしたら感じられる?
信じるの。
誰を?
私のこと。あなたが大切にしているもののこと。それから、十二月の風が、たしかに吹くんだってこと。
いいよ。キミを信じる。
私に誓わなくていい。
それなら誰に誓うの?
あなた自身に。信じたいものがあるっていう気持ちを大切にできればいいの。
[完]
子供の頃のある時期、毎晩妖精を見ていました。
私の中の大切な思い出、記憶の中の宝物です°・*:.。.☆
今週もよろしくお願いします°・*:.。.☆
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