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イライラする挨拶代わり(ショートショート)

突然、脳ミソがぐらつくような衝撃。
地面が抜けたような…これは…
ヤラレタ!!

「ちょっ、タツヤ!やめてよ!!」
「ははっ ダッセ」

不意に背後から仕掛けられる“膝カックン”。
これで何度目?

「駅のホームでやらないでよ!ほんと恥ずかしいんだから!」
「ぼーっとしすぎなんだよ。そのうち悪い奴にホームに突き落とされるぞ」
「朝は誰だってぼーっとしてるでしょ。そのイライラする挨拶代わりのせいで、一日気分悪い!」

嘘。好きな人にからかわれるのは嫌いじゃない。
だけどやられてばかりでは悔しい。

放課後、帰りの駅でタツヤを待つ。
一人音楽を聞きながら、片足に体重をかけて佇むタツヤを見つけて、そっと近づく。
私からは見上げるようなタツヤに、私の“膝カックン”など通用するのだろうか。
一か八か。

「えいっ!!」

え?

「えい!えい!」
「あ?何してんの、お前」
体重の乗った片足ですらビクともしない。
「ダッセーなぁ」

虚しくて恥ずかしくて。
私はタツヤの背中にしがみついた。



[完]


#毎週ショートショートnote
に参加させていただきます。
今週のお題【イライラする】×【挨拶代わり】で書きました。



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