見出し画像

なぜあなたにとって評価が重要か?【心理学】

福島県の医学部で学生教育をしながら、心理カウンセラーをしたり、研究をしたり、YouTubeの運営をしたりしてるあおきしゅんたろうです。

みなさんは他人からの評価についてはどのように考えますか?

テストの成績、会社の業績、友人の反応など、わたしたちの行動は他人の評価に影響されますよね。しかし、逆に評価を気にしない人もいます。

その違いはなんなのでしょうか?

私たちがなぜ評価を気にし、そして気にしない人たちはなぜそうするのか、その背後にある心理学的な理由を考えていきましょう。

評価を気にするワケ

まず、評価を気にする理由ですが、心理学的には「自己認識」と「社会比較理論」によって説明できます。

自己認識によれば、人々は自分の価値観を形成するために他人の反応を参考にします。評価や試験の成績、業績は自分自身の能力や価値を評価する具体的な指標となり、自己認識の一部を形成します。もし期待以下の結果だった場合、不安や落ち込みを感じることがあります。

また、社会比較理論は、自己評価を行う際に他人と自分を比較する傾向があることを指摘しています。人は自己の能力や意見を客観的に評価するのが困難であるため、他人と比較することで自己を理解し、自己評価を定めます。他人が成功していると感じたり、高評価を得ていると知った時、自己評価が低下する可能性があります。

逆に、他人が困難に直面しているのを見たり、自分が他人よりも優れていると感じたとき、自己評価が向上することがあります。つまり、自分がどれだけ価値があるか、どの程度達成しているかを知るための一つの道具として、他人との比較が用いられます。

進化生物学的には我々の祖先が小集団で生活していたとき、評価が生存に直結していたからです。高評価は食料やパートナーを得やすくなる一方、低評価は排除されるリスクを伴います。したがって、進化生物学的に見ても、私たちは評価に敏感にな生き物として、成熟していることがわかります。

評価を気にしないワケ

評価を気にしない人たちは、心理学的には「自己効力感」や「自己決定理論」が関係します。自分の能力に自信を持つことで他人の評価を気にせず、また、自己の価値観や目標に基づいて行動する傾向があります。

進化生物学的に見ると、「生存戦略の多様性」が評価を気にしない行動を理解する鍵となります。

例えば、ペンギンには集団内で高評価を得るために大声で鳴き、積極的にパートナーを見つける個体もいれば、静かに低プロフィールで生きる個体もいます。大声を上げる個体は多くのパートナーを引きつけますが、同時に捕食者に見つかるリスクも高まります。

逆に静かに生きる個体はパートナーを見つけにくいかもしれませんが、捕食者に見つかるリスクは低く、生存の可能性が高まります。こういった多様な生存戦略が、種全体として生存と繁栄を可能にしてきたそうです。

評価は気にしたほうがいい?

それでは、評価を気にしないことのメリットは何でしょうか。それにはストレスの軽減と自由な思考・創造性の促進という2つの側面があります。

評価を気にしないことで生じるストレスの軽減は、健康な心身に直結します。

例えば、テストやプレゼンテーションで他人からの評価が気になりすぎると、パフォーマンスが低下したり、不安障害やうつ病を引き起こすリスクが上がると言われています。

逆に、自分の能力を信じ、自己評価を基に行動することで、心身のストレスを軽減し、全体的な幸福感を高めることができます。

評価を気にしないことは創造性を高めます。ピカソやゴッホなどの画家は、既存の評価基準に囚われず、自己表現の追求を最優先にしました。

その結果、彼らは芸術の新たな領域を開拓し、世界に衝撃を与える作品を生み出しました。彼らの例は、評価を超えて自分らしい価値観を追求することで、独自の創造性が開花することを示しています。

他人の評価を気にしすぎず、自分自身の価値観を大切にすることで、心身の健康と創造性を高め、自己実現につながる可能性があるのです。

ただし、評価を全く気にしないわけではなく、適度なバランスが重要です。他人の評価が全く無意味とは限らず、時には成長の機会として捉えることも大切です。

まとめ

評価を気にするのも、気にしないのも、それぞれが我々の進化と心理に基づいています。しかし、評価にとらわれず、自分自身の価値観に従って行動することは、ストレスの軽減や創造性の促進に繋がります。

他人からの評価は、単なる一つの視点であり、わたしたちの価値を100%決めるものではありません。評価は我々が成長し、自己を認識する手段の一つです。

大切なのは、自分がどうありたいか、どう生きたいかを自分自身で決めることかなと思います。皆さんが、自分の価値に沿った行動ができることを願っています。

そして、自分自身と他人の多様性を尊重する世界が広がってくれたらいいなと願っています。

それでは、最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました!

もし記事に共感していただけたら「スキ」ボタンを押してくれたらうれしいです。サポートしていただけたらもっと嬉しいです、サポートいただいたお金は全額メンタルヘルスや心理学の普及や情報発信のための予算として使用させていただきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

そのほかのあおきの発する情報はこちらから、興味がある方はぜひご覧くださいませ。

Twitter @airibugfri note以外のあおき発信情報について更新してます。
Instagram @aokishuntaro あおきのメンタルヘルスの保ち方を紹介します(福島暮らしをたまーに紹介してます)。
YouTube あおきのぼやきと見た景色を載せてます https://www.youtube.com/channel/UCIjPXbecsTqIfznCwhKGBgQ

ばっちこい心理学 心理学おたくの岩野、とあおきがみなさんにわかりやすく心理学とメンタルヘルスについてのお話をお伝えします。

YouTube

TikTok
https://www.tiktok.com/@bacchikoishinrigaku

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?