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「ダイバーシティの科学」について一緒に勉強しませんか?

最近ダイバーシティということばをいろいろなところで見聞きするようになってきました。マシュー・サイドさんの「多様性の科学」という本ですとか、最近の話題書ですよね。

これはビジネスや組織運営の立場から、いろいろな人がいたほうが、アイデアも出てきやすいし、どんな落とし穴が待っているか気づきやすいよね、ということがまとめられています。

わたしたちは普段、見たり考えたりを無意識におこなっているので、それに気づくことは難しいです。ですので、おなじような人たちが集まっている場合、おなじような思考をする可能性が高いので、異なる人たちが集まったほうがいいよということです。

ここで無意識の思い込みに気づくことが大事です。これは上記のような組織運営やアイデア出しのため、集合知を高めていく上でももだいじなのですが、公正な社会を作っていく意味でも重要です。

ステレオタイプや偏見


古くから、社会心理学の分野では「ステレオタイプ」についての研究がされてきました。これはとある集団はとある特徴を持つというようなことです。たとえば、A型の人は几帳面だというような血液型占いが代表的です。

人間に入ってくる情報はほんとうにたくさんあって、すべてのことがらを考えていては頭がパンクしてしまい、生活できなくなります。そのため、考える時間を節約するために、ステレオタイプ的にとらえるということがなされます。

これは一般的に悪いこととは言えません。ただし、特定の集団に対して、ネガティブな評価や感情を伴う、ステレオタイプが生じたときに公正な社会という発想が脅かされてしまうことがあります。これを「偏見」といいます。特に少数派、社会的マイノリティというだけで偏見の対象となり得ることが知られています(詳細は、書籍ステレオタイプの社会心理学をご覧ください)。

では、どうしたらいいのでしょうか?


ステレオタイプを変えることはなかなか難しいことと知られています。なぜなら、無意識に思い込んでいるためです。それを変えるための第1歩としては、社会的マイノリティに対しての知識を身につけること、実際にあってみること、そして気づくことと言われています (Hsieh ら、2021)。

これを読んでいる皆さんが偏見を持っていると私は思っていませんし、皆さんの考えを変えようということも思っていません。ただ、どうしても無意識のうちに思い込んでいるということに気づけたら、よりよい組織づくりにもう少し近づくかもしれません。ひとと話すときに、無意識の思い込みに気づくだけで、さらに優しい気持ちになれるかもしれません。

ということでワークショップをします!

今回のシンポジウム・ワークショップでは、「マイノリティに対しての科学的研究を通して知識を得ること」「無意識の思い込みに気づくこと」を目的とします。

詳しくはこちらをご覧ください!(お申込みいただいたら、録画配信をアーカイブ視聴できます。)

私自身も、小林先生と低所得者に対してのスティグマの研究や翻訳、ワークショップなどに携わらせていただく中で、このテーマに興味を持ち始めたばかりです。関わる中で、ふだんは考えることがなかったけれども、これから考えていった方がいい話題だと感じました。

そして、研究者たちが本当にたいせつな研究をしているなか、世間にそういう成果が示される機会が少ないです。私自身も、みなさまと一緒に研究成果や考え方について教えていただいて、みなさまと一緒にこのテーマについて考える機会にしたいと考えています。

他のひとってダイバーシティについてどう考えているんだろう?


ダイバーシティとはいえ、自分はこう思っているんだけど、他の人たちってどう考えているのか知る機会はなかなか少ないのではないかと思います。

他の人たちの意見を見聞きすることによって、社会的マイノリティに向かう思い込みに気づくことにもつながります。

今回のシンポジウムでは、メンチメーターというシステムを利用してウェブ上でダイバーシティについての意見交換する時間を設けることで、ひとの考えの多様性の理解を目指したいとおもいます。メンチメーターを使ったワークショップは以下のnoteに書いてます~。

今回入場無料です。お申し込みはこちらから、どなたでも参加できます~。

とある集団のかたを話題にすることがそもそもダイバーシティに逆行するかも?と思うところもありますが、まだまだこの分野は発展途上だったりもします。そのため、今回はあえて取り上げさせていただいて、マイノリティについて考える機会にしたいと思います。

また、私たち自身も、マイノリティやダイバーシティ、偏見についてさまざまな考えを持っています。シンポジストの間でも異なる意見が出てくるかもしれません。ぜひ、いろいろな考えがあるんだなあということを考える機会にしていただけたら幸いです。

追伸 全然関係のない話ですが、わたしがお世話になった大学院時代の恩師は「同質性の高い集団は滅びていく」ということをよくおっしゃっていました。やはりいろいろな人がいる中で、お互いに色々な意見があることを見聞きしてきたことで今の自分がいるんだなあとか思っています。

参考文献
「多様性の科学」マシュー・サイド著
「ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて」上瀬由美子著
「What reduces prejudice in the real world? A meta-analysis of prejudice reduction field experiments.」British Journal of Social Psychology, Hsieh et al. 2021. 

最後まで読んでいただいてありがとうございます!

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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