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デマと心理学

お便りをいただきましたので心理学の観点から解説します(ありがとうございます!)。

わたしはエビデンスに基づいた考えでいたいなと常々思っています。自分自身がデマに惑わされたくないですし、デマを信じてしまう人が減ってほしいと感じます。

自分なりに勉強してエビデンスがあると信じているものがある時、反対にこれはデマだな、エビデンスがないな、と思うものも出てきます。以前、知人がSNSでデマを拡散する発言をしていた時にわたしが「それはデマなんじゃないかな」と言ってしまって関係を切られてしまうことがありました。

でも、わたしがデマだと思ってるものが本当にエビデンスがないのか、本当は確信がもてません。自分の専門分野ならまだしも、他の分野においてどれがエビデンスに基づいてるのかなんて細かく分からず、信頼する誰かの意見をエビデンスがあると盲信してるだけかもしれないと思いました。

また、自分から見てエビデンスに基づかないものやデマを投稿する知人友人と気の合う側面もあるはずなのに、そういう発言を見ることにわたしは疲れてしまい、距離を置きたくなってしまうので、関係を切る人の気持ちは分からなくもないです。

自分から見てエビデンスに基づかないものやデマを投稿する知人友人をSNSで見かけたら、お二人はどうされますか。

(音声で聞きたい方は上記からどうぞ!)

人間の仕組みとして、デマを結構信じやすいです。心理学的にデマの心理学に関する研究は多いです。特に災害時の研究が結構あります。

情報が少ない時に、危機を煽るような情報は拡散されやすいです。例えば、地震の時に動物園から狼が逃げ出したという情報や、大地震の第2波が来るという情報は流行りやすいです。なので、真実を判断することは難しいと思います。

地震や災害があった時に動物園から狼が出てきたという写真付きの記事があがったのです。しかし、その画像を検索したら合成だと分かりました。それを指摘する人たちもいましたが、そういう偽情報は結構多いみたいです。

偽情報をどう扱うかは大事な議論ですね。現代のメディアでは、不正確な情報が付加されることもあります。

エビデンスベースの情報選択は非常に難しいです。だから、全ての人がエビデンスベースの情報を選ぶ日は来ないかもしれませんが、デマや誇張された情報は減らしたいと思います。

私たち自身がデマに惑わされないためには、以下のことができそうです。

  1. 情報の出所を確認する: まず、情報が発信された場所や組織、サイトを確認しましょう。公式の組織や信頼性のあるニュースサイトなどからの情報は信じやすいですが、それでも安易に受け入れるのではなく、自分でしっかりとした確認をすることが重要です。

  2. 情報をうのみにせず、自分で調べる癖をつける: 一つの情報だけを鵜呑みにせず、複数の情報源を確認してみましょう。特に、自分の意見や先入観と異なる情報も積極的に調べ、多角的に理解することで、情報の真偽を見極める力が身につきます。

  3. エビデンスを求める: 「この情報は本当に正しいのか?」と疑問に思った際は、それを裏付けるデータや研究結果を探してみましょう。事実関係をしっかりと調べることで、真実とデマの区別がしやすくなります。

  4. 感情に振り回されない: デマの情報は、特に感情を刺激するような内容が多いことがあります。過度なショックや興奮を伴う情報に対しては、一旦冷静になり、その情報の正確性を確認することが大切です。

  5. 学び続ける: 情報リテラシーを高めるためには、日常的に信頼できる情報源から学ぶことが重要です。新しい情報や知識を吸収し続けることで、より高い判断力を身につけることができます。

情報に接する際は常に疑問を持ち、自ら調べる習慣を持つことがデマから身を守る鍵となります。一人一人が確かな情報の取り扱い方を身につけることで、社会全体の情報の質も向上することでしょう。

そして、心理学者やそういったデマを見聞きした私たちにもできることがあると思います。

1つは情報発信を止めないというのが基本でしょう。デマは特定の対象から流されそれが拡散されるという性質を持っています。一方、見聞きする情報の量が正確な情報発信のほうが多くなったりすると、デマに惑わされない人が増えます。

そして、情報発信をする私たちが、常日頃から正確な情報を発信することを続けていることが、デマが拡散されるような状況に陥った時に、信頼できる情報源として機能できる可能性が高まります。

次に、明らかに誤解だと思うものに気づいたら、それを訂正するのは重要ではあるのですが、、知人が誤った情報を言っているとしたら、どう対応するかという話です。

知人との関係性も考慮しつつ、間違った情報を拡散してしまう社会的な意味も考えて、どう対応するかを検討することが必要です。

ひとつには誤解を持っている人に自己矛盾を感じさせるアプローチがあるようです。

自分で「これは変だ」と気づかせる手法は、正しい知識を伝えるよりも、情報の修正には効果的だと言われています。

通常、直接的に「それは違う」と指摘すると、逆に対立することになりますね。時間はかかりますが、自己矛盾を拡大させるように対話を繰り返すことがだいじです。

また、さきほどの動物の合成写真について、Xというプラットフォームにて「これは合成です」というようなコメントが多数寄せられた結果、それを見る人々の反応が変わってきたとのことです。

間違っている情報を正しく指摘すると、人々はその情報を見直す傾向があるようです。誤った情報であることが指摘されると、情報を発信した側も取り下げをすることが多いです。

そうはいっても、情報の訂正というアプローチが常に効果的であるわけではなく、まず第一にできることは私たちが誤った情報が拡散されないように気を付けることです。

怪しい情報はできるだけ拡散しないようにする、というのが基本的な考え方です。

情報の価値がこれからさらに上がる時代に、エビデンスに基づく情報発信の重要性は増していきます。特に、エビデンスという概念自体を知らない人も多いので、正確な情報を知り、考えることは非常に大事です。

一度誤って発信した情報を訂正するのは難しいこともあるため、私たちが最低限すべきことは、正確な情報を継続的に発信することです。心理学の知見も、この情報戦の中で非常に重要な役割を果たしていくと思います。

それでは、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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