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教育者として勉強したほうがいいと思っていること

今日はめちゃくちゃ雑多ですが、大学教員を始めてから3年目のわたしがここ2年間で、教育のコンテンツ、提供方法、教育によって育む能力について思ったことをつらつらと書きます。ぺーぺーのたわごとだと思ってみていただければと思うのですが、なにかご意見いただけたら非常に嬉しいので、コメントやTwitterのダイレクトメッセージなどなんでもいいのでご意見くださいませ。

教育に対しての教育

わたしは臨床心理学を専攻して学位をいただきましたので、心理学についての専門性は人並みに持ってます。ただ、教育についての理論的な教育は受けていません。なので、教育理論も知りませんでしたし、アクティブラーニングって言葉はいまの職場に来てから知りました。大学の先生は多くがそうなのではないかなと思います。なので、教育に対しての理論や研究について必死で勉強しています。
一方、大学院のときは教授の授業のお手伝いをすることで、どう伝えたら学生に響くかについて体験的に学びました。緩急のつけかた、学生にもわかる実例を使って概念を説明すること、などteachingについては経験的に学習してきました。また、ゼミ生のテューターもさせていただいてましたので、人に合わせて伝えかたを変える必要性、答えを全て教えるのではなく、自分で考えて主体的に研究をしてもらうことなど、基本的な人の育て方については経験的に学んできたと考えています。
今後、この点についてわたしがするべき学習は、今までの経験学習を既存の理論と合わせて説明する、プラスアルファなにを加えていくかを理論や研究から学んでいくことかなぁとおぼろげながら考えています。

知識を伝える必要はあるのか?

自分の伝えたいことや専門知識を一方的に伝えることははっきり言って簡単です。ただ、いまのご時世、Google先生に尋ねたらなんでも情報は載っているし、本を読めば詳しく知ることができます。たとえば、わたしの専門としている認知行動療法をGoogleで検索すると無限に情報が出てきますし、amazonで検索すると1000冊以上の本が出てきます。果たして、知識を伝えることに意味はあるのでしょうか?2つ可能性があります。

1つは、学生さんと心理学の橋となる機能です。心理学という発想が全くないという学生さんにとって、そういう分野があるんだ!面白い!と思ってくれたら、その先に心理学について勉強してみようと考えて、ゆくゆくはその道を志してくれる可能性もあります。その意味で、知識を伝えることは大切かもしれません。
もう1つは、知識と日常の橋となる機能です。わたしとしてはこの機能がとても重要だと思います。受け身学習は、知識を増やしますが、日常との繋がりを学生がみんな考えられるわけではありません(一部考えられる学生もいると思います)。わたしも数学の数式を伝えられても、それがわたしの日常とどうリンクするか、わかりません。心理学の知識を、日常経験とリンクさせながら、自分で考えてもらうというプロセスが重要になると思います。たとえば、行動分析学の知識を伝えるときに、正の強化についての理論的説明をされると、自分としてはめちゃくちゃ難しいです。皿洗いしてありがとうって言われたらまた皿洗いしようかなって思うよね?自分の生活でそういう経験ってある?と問うて、自分で考えてもらったほうが、日常経験と概念のリンクができ、日常への概念の応用がしやすくなるかなぁと思います。心理学ってひとの生活に直結してますから、概念を日常に応用する知識を学んで、より良い生活を学生さんたちにしていって欲しいな、と思うところです。これらの発想についての科学的根拠はわたしはわからないので(もし知っている方がいたら教えてください!)、この点は今後の勉強課題かなぁと思っています。

伝え方は再考したほうが良い

前項と関連しますが、一方的に知識伝達する授業形式はうーんという気がしています(あくまでわたしの経験則的な発想で、自分の話が面白くないっていうのもあると思います)。2年間講義をやっていて反応が良いのは、トピックに関連する笑える動画を見せてそこから自分の考えたことを述べてもらう、学生さんからの質問に回答する時間、学生さん同士でのコミュニケーション演習、です。感想を書いてもらうとその辺りが印象に残っているので、学生さんのニーズは満たしている可能性が高いと考えられます。したがって、少なくとも学生さんに一方的に伝えるより、双方向的に授業を展開したほうが良いということは言えそうです。
双方向的には二つの双方向がありそうです。1つは、教員と学生の双方向(縦のインタラクション)です。学生さんが学んだり疑問に思ったことについて、教員が直接のフィードバックをすることで、学生さんの学びが促進するという側面です。質問への回答の時間を設けることがこれに合致しています。学生さんは日常生活と概念との関係について質問をすることが多く、質問に回答していくことで、学生さんの日常生活と概念についての結びつきが深まり、日常生活への応用力が強まると考えられます。もう1つは、学生さん同士の双方向(横のインタラクション)です。わたしはいま33歳で学生さんは18歳とかそれくらいの年齢のことが多いです。やはり、日常で経験してることが圧倒的に違うので、いくら18歳の生活を勉強したところで、その暮らしを完全に理解することはできません。学生さん同士のディスカッションの時間を設けることで、近い経験をしているひとの概念と日常生活のつながりについて聞くことができます。そのディスカッションから、相手がどのように考えているかを知ることで、概念と日常生活の結びつきを知り、近いレベルでの人の考えの多様性を学ぶことができると考えています。

おそらくこの辺りはアクティブラーニングの発想が役に立つのだと思いますが、まだまだ勉強不足です。この点もエビデンスにしたがって説明できるように、理論や研究について勉強していきたいです。ふと疑問なのは、発想として大切なのは、学生さんが考えて、結果考える力を育めるってことなのでしょうか。だとして、そもそも考える力ってなんでしょうか?

知識ではない育みたい力

医学部で教員になってから、お医者さんは本当にたくさんの医学知識を身につけていて、それに加えて診療に必要な力を身につけなければいけないんだなぁと考えるようになりました。例えば、患者さんの話を聞いてそこから診断を導く推論能力、患者さんの思いを汲み取り情報を引き出すコミュニケーション能力なんかは最たる例かなと思います。プラス、職業を続けていくのには自己主体感や自己効力感も必要でしょうし、創造性とか、いわゆる非認知能力が求められます
教育のアウトカムを考えるときに、もちろん前段で上げたどの能力も大事なんですが、どの基準で何をアウトカムに選ぶかによって、授業の構成やコンテンツが変わると思います。例えば、Problem Based Learningで考える力を育むのはいいんですが、どのコンポーネントが学生さんのどの能力の育成に寄与しているか、わたし自身がいまいちわかっておらず、学生さんの能力の育成に寄与しているという感覚がとても薄いです。この辺りも理論や研究をしっかり読み込んで、わたしが自己効力感を持って教えられるようになりたいなぁと思ってます。

おわりに

ここまで読んでくれて、ありがとうございました。稀有な存在ですね笑。教育3年目で、わたしがいまいちよくわからないまま教育をしてたことに気づけたので、これから勉強していきます。noteにも学んだことを共有させてください!今日書いたことが正しいかは自分でも確信を持てていないですし、まだまだ教育はじめてから3年目のペーペーです。コメントやTwitterのメッセージでもなんでもいいので、ご意見やご指導いただけたら嬉しいです。共感コメント、間違い指摘コメント、アップデートコメントなどどんなものでも喜びます。教育のクオリティやアウトカムを少しでも向上させて、学生さんのために、社会のために、みんなで取り組んでいけたらこの上ないです。

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