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オンライン授業でのアクティブラーニングの発想を知る

教育者の先生方は、色々な方法を駆使して、学生さんの教育を少しでも良くしようと考えているのではないでしょうか(わたしもそうでありたいです)。学生さんに効率的に知識を身につけてもらい、非認知能力を育めるように頑張っていきたいですね。先日の記事でも書きましたがレクチャーベースの学習よりも、双方向性を担保した深い学びが重要視されてきました。

それって、オンライン授業でも可能なのでしょうか?今回は、オンライン授業で取り入れられるアクティブ・ラーニング戦略について、
Davis et al. (2018) 「Activating learning at scale: A review of innovations in online learning strategies」を取り上げ、勉強していきたいと思います。

https://www.researchgate.net/publication/325511637_Activating_learning_at_scale_A_review_of_innovations_in_online_learning_strategies

レビューの目的と方法論

このレビューの目的は、デジタル学習環境のためのアクティブ・ラーニング戦略は、どのようなものが経験的に評価されており、どのように効果的なのか?を明らかにすることです。「よりアクティブな学習体験を生み出すことを目的としたオンラインでの大規模な学習戦略であり、高次の思考を強調し、多くの場合、グループワークを伴うものである。」としてアクティブ・ラーニングを定義しています。
レビューに含まれる研究には、①大規模教育であり、オンラインで行われている、②比較グループが各群10名以上で設定された無作為化比較試験、③18 歳以上である、という基準が設定されました。データベースから7,704編の論文が収集され、そのうち126編が条件を満たしました。参加者の総数は132,428人でした。

アウトカム評価

このレビューに含まれていたアウトカム評価は以下の通りでした。
コースの最終評点、修了率、知識量、試験成績、長期的な知識の保持
Learning Transfer(学習移行): 教室や学習以外の新しい文脈で新しい知識を応用する学習者の能力
オントラックネス(Ontrackness): 学習者が講師の意図通りに学習を進めていく度合い。
エンゲージメント(Engagement):学習者の活動や行動、例えば、以下のような指標
・ディスカッションフォーラムに投稿した頻度
・ビデオコンポーネントへの参加量(一時停止、再生、速度変更、字幕の切り替え)
・以前に投稿された回答の変更。
・コンテンツへのアクセス時間
・自己効力感:学習者が与えられたタスクを達成する能力。
・効率性(Efficiency):学習者がコースを進んでいく速度。

3つの学習戦略

このレビューの結果として、協同学習、シミュレーションとゲーミング、インタラクティブ・マルチメディアが、オンライン学習を最も効果的に活性化させるための最も有望な3つの戦略であると述べています。協同学習では71%、シミュレーションでは68%、ゲーミングでは64%、インタラクティブ・マルチメディアでは64%の論文で、学習に対して効果的な結果が得られていました。以下に、その3つの戦略について説明します。

①協同学習

協同学習は、学習者同士で助け合い、支え合うことで教材の理解を深める方法です。
学習者に同じコース内で一緒に仕事ができそうな仲間のリストを提供することによって、オンライン授業への持続性、修了率、エンゲージメントが有意に改善されることが明らかになっています(Labarthe et al., 2016)。学習者が対面しない協同学習も提案されています。学習者が問題回答した後、その説明をクラウド共有するシステムを利用することで、学習者が自分の答えを正しいものに修正する可能性が高まることを発見しました(Bhatnagarら、2015)。この原理については、説明をすることによる振り返り学習に加えて、困っている仲間を助けることができるという社会的側面もあると考えられます。
グループ分けの方法について、ビデオ通話を使ってディスカッションを行う際に、国籍の多様性が高いグループの学習者は、国籍の多様性が低いグループの学習者に比べて、コースの最終試験で有意に成績が良かったことが明らかになっています(Kulkarni et al., 2015)。一方、使用する媒体の好み(ローカル、電子メール、Facebook、Google +またはSkype)、性別、時間帯、性格、学習目標、言語を考慮に入れたグループ分けは、全体的なエンゲージメント、持続性、最終的な成績に影響を与えないこともわかっています(Zheng et al., 2014)。
 あおきコメント 協同学習は、講師から学ぶだけではなく、仲間から学習経験をし、それが意味のある相互作用につなげることが重要であることを示しています。オンライン授業でできそうなことは、やはり、学生さんのコメントや回答に至った理由を学生間で共有したり、オンライン上でもグループを作れるような仕組みを作っていくことが必要と言えそうです。やっぱそうだよねーピアの力が一番大事だとわたしは思いますけどね。

シミュレーションとゲーム

シミュレーションとゲームは、学習者が特定の結果を得るために、お互いあるいは自分自身と競い合う社会的あるいは物理的現実のモデルとして定義されています。「学習者は、講師や設計者が定義した望ましい行動を示すことで、報酬を獲得し、蓄積される」という原理に基づいています。このカテゴリーの研究は社会実装されたプラットフォームではなく、独自に開発されたアプリケーションなどを活用しています。
ゲームを用いて、学生を競争的な環境(スコアボードと仲間のパフォーマンスのランキングを表示)か非競争的な環境のどちらかに振り分けた結果、競争的な環境の方がテストの得点が有意に高く、質問に答える時間が長くなることが明らかにされていますCagiltay et al. (2015)。コンピュータベースの数学学習で、ポイントシステムを導入した条件の参加者は質問に早く答えたが、回答の精度には効果がなかったという結果も得られています(AttaliとArieli-Attali,2015)。
あおきコメント シミュレーションやゲームを実装することはコストがかかるのがいちばんの問題だと思います。一方、Mentimeterを使ってクイズ形式の授業を展開したり、Team based learningのようなチーム間の競争や発言することによる報酬を用意する(成績あがるとか?昔は手挙げてくれたこにお菓子あげたり、コーヒーについてる募集シールあげてたな。外発的報酬はどうなんだろうとか思うが)など、オンラインでも活用可能なアイデアにも繋がるかなと思います。手挙げて答えることが、自分にとっての知識増加につながるとか、アウトプット練習になるとか、そういうマインドセット育むことが大事なんだろな

双方向的なマルチメディア

講義ビデオに限らず、マルチメディア・アプリケーション・インターフェースを介したコンテンツ配信の様々な方法が開発されています。その方法や効果として以下のことがわかってきました。
配信方法について、Kizilcecたち(2014b)は、講師の顔が映る講義ビデオと、顔が映らない講義ビデオを比較した結果、学習者は顔の見えるビデオを好み、より教育的であると認識していたが、両グループの試験成績には差はありませんでした。Limperos et al.(2015)は、音声+テキストの方が、テキストのみを受け取るよりも学習成果が高いことを明らかにしました。Pastore (2012)は、教材を訓練・学習する時間を時間を25%減少させても同様の学習成果が得られるのに対し、50%減少させた場合は学習が減少することを発見しています。
データの可視化に関する4つの配信方法を比較した研究では(KwonとLee、2016)、(i)テキストのみ、(ii)テキスト+静止画像、(iii)ビデオチュートリアル、そして (iv) インタラクティブチュートリアル( Web インターフェイスを使ってデータの可視化を操作し、作成できる)の中で、インタラクティブなチュートリアルを使用した学習者の方が試験での成績が良く、プラットフォームに費やす時間が全体的に短くて済むことを発見しました。
あおきコメント 主に、情報の発信方法に主眼が置かれていますが、教員の顔があったほうが学生が喜ぶが教育効果は変わらないこと、テキストには音声も追加したほうがいいこと(noteにも音声追加したほうがいいのか…)、指導時間を25%圧縮しても学習成果が変わらないなんてのは面白いですね。あと、オンラインであっても実際にやってみるはだいじそうですね。やっぱり授業であんまり話しまくるのはやめとこー演習たくさんいれようー。

まとめ

オンライン学習に関しては、協同学習、シミュレーションとゲーミング、インタラクティブ・マルチメディアが、オンライン学習を最も効果的に活性化させるための最も有望な3つの戦略であることを説明してきました。ピアの力を使って、報酬原理を上手く取り入れて、知覚モダリティに注意しなさいということですね、わかりました。このレビューでは、学生間ディスカッションやProblem based learningやTeam based learningについては述べられていなかったので、またの機会にお伝えできればと思います。とりあえず、学生間のインタラクションは大事だからこれからも積極的に取り入れていく根拠が得られてよかった。。

きょうのおうちで行動活性化 ランニング

最近走るのにはまってます。走るのは20分かそこらですが、ランニング中にお風呂を沸かしておいて、帰ったら即水シャワー。体が熱くなってるので、一発目に風呂に入らなくても水シャワーインできます。めちゃいいです!

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