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芥川龍之介とキリスト教【知的雑学トリビア・豆知識】

天才芥川龍之介の最後の作品をご存知だろうか。それは『続西方の人』。
「西方の人」とは誰か。それは人類の救い主イエス・キリストである。
つまり、芥川は、人生の最後の最後にキリストを書いて自殺したのである。
そしてその枕許には、たった一冊の本しかなかった。それは『聖書』であった……。

[出典:芥川龍之介 愛と絶望の狭間で 近代日本文学と聖書(中)/奥山実]

芥川龍之介、あの名作家の晩年にイエス・キリストへの興味を深めていたという事実は、意外と知られていない。それどころか、この事実は日本の文芸評論界ではあまり触れられない。だが、これは芥川を理解する上で極めて重要なポイントだ。

芥川の最後の作品は『続西方の人』というキリストについての作品であり、彼が自殺したとき、枕元にあったのは聖書だけだった。これは全ての日本人が知っておくべき基本的な事実だろう。芥川は自殺する直前までキリストについて書いていた。

7月10日に『西方の人』を脱稿し、7月23日に『続西方の人』を書き上げた。そして7月24日の早朝、彼は致死量の薬を飲んで自殺した。その枕元には、読みかけの聖書が開かれていた。

芥川の遺作の最後の一文は「……我々はエマオの旅びとたちのやうに我々の心を燃え上らせるクリストを求めずにはゐられないのであらう。」というものであった。この一文は彼の「遺言」とも言えるだろう。彼はキリストを求め、死の間際まで書き続けた。

芥川の死に関しては、絶対者(神)以外に絶対を求める者は必ず破滅する、という視点からも見ることができる。太宰治や三島由紀夫もまた、絶対の美や愛を人間や制度に求めた結果、自殺に至った。絶対の美や愛は神にしか存在しないという考え方である。

芥川もまた、絶対を希求する者であり、もし神を求めなければその滅亡は避けられなかった。彼にとって自殺は偶然ではなく必然だったのだ。

興味深いのは、芥川に直接伝道した室賀文武という人物だ。彼は芥川の実父のもとで働いていたこともあり、深い関係があった。芥川が『歯車』で室賀について描写していることからも、その影響が伺える。室賀は、芥川にキリスト教の核心的なメッセージを伝えた。彼の伝道は、単なる宗教的勧誘ではなく、神の存在とその唯一の道としてのイエス・キリストを強調するものであった。

芥川の作品を理解するためには、この宗教的な背景を無視することはできない。彼が最後に求めたもの、そして彼が書き残した言葉は、単なる文学的表現ではなく、彼の人生と思想の最終的な結論であったのだ。これは、芥川の作品と彼自身の本質を理解する上で欠かせない視点である。

文芸評論家たちがこの点に触れないことは、その人の評価を欠陥のあるものにしてしまう。芥川龍之介の真価を理解するためには、彼の宗教的な追求とその影響をしっかりと捉える必要があるのだ。彼の晩年の作品とその死の間際の行動は、彼が絶対者を求め続けた証拠であり、それを無視しては芥川の真の姿を見失うことになる。


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