「伝える」と「売る」を分離する
自分が作ったものを自分で説明するのって、なんか恥ずかしく感じちゃうこと、ありませんか。
実は僕にも、そういう気持ちはあります。
それでも僕たちTENTは、製品の企画からはじまり、プロダクトデザインだけでなく、キャッチコピーや写真やWebなどなど、全ての「伝える」に関わるようにしています。
たとえば
透明な本
BOOK on BOOK
そして
最高のアイデアを生むための
最もミニマルなツール
HINGE
「つくる」と「たべる」を一つにする
フライパンジュウ
まな板になるお皿
CHOPLATE
一本の線からはじまる新しい暮らし
DRAW A LINE
あなたの暮らしにスタンバイ
STAN. by zojirushi
などなど、さまざまな製品が立ち上がるたびに、全力で「伝える」努力をしてきました。
僕たちはプロダクトデザイナーなんだから、伝えることは伝える専門のプロに任せてしまうという方法もあったかもしれません。
でも、そうはせず、不器用でもいいから自分達で伝えきりたい!と思って、ここまでやってきて。おかげさまで全てのプロジェクトが、今でも良い状態で続いています。
さて、ここからが本題です。
伝える=売り込むこと?
こうやって「伝える」ことを一生懸命考えていると、たまにもう一人の自分が囁くんですよね。
「そっと製品だけを見せて、後は何も言わずお客さんに感じとってもらうべきなんじゃないか?」
「製品名やキャッチコピーを必死で考えるなんて。製品を実際よりも無理やりよく見せようと演出してるんじゃないか?」
それは最近で言えば、たとえば『ウエノスケシタノスケ』のキャッチコピー「俺、水飲むの趣味だわ。」が決まったときであったり
『POCHI & JOHN』の製品名と、そのキャッチコピー『のせる、しまう、すわる。一緒に暮らす。」を思いついたときにもありました。
製品だけでなく、そこに名称や言葉が合わさった時の「突き抜ける」感覚。
「これは、すごい製品だ!」と自信が湧く一方で、もう一人の自分が囁くんです。
「モノだけそっと置いておけば良いのに、何を必死になって、真剣になって、製品名やコピーなんて考えてるんだよ」って。
なんて言うんでしょう。すごく納得しているからこそ、どこかに後ろめたいような、恥ずかしいようなそんな気持ちが芽生えていることに気づくんです。
その気持ちはどこから生まれるのか。
ちょっと考えてみました。
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。
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どうやら根っこには
「人に売り込みをするのって、売ろう売ろうとするのって、どこか詐欺師みたいで嫌だ!」
という気持ちがあったみたいです。
でも、先日のある朝に気づいたんですよ。
「伝える」と「売る」は別のもの
製品を作ったからには、そりゃあ数多く買ってもらえた方が嬉しいに決まっています。でも、極論ではありますけど、売れるかどうかなんて誰にもわからないんです。
売れるか売れないかなんて、そもそも考えても仕方がない。じゃあ僕たちはなんでこんなにも、作るだけじゃなく「伝える」努力もしているのか。
売りたいから、ではなくて、伝えたいから、だったんですよ。
その製品のコアにある価値が何なのかを、誤解なくちゃんと伝えたい。伝えた上で買いたくないと思う人がいるのは当然で、むしろ、必要がないと思う人に買ってもらえても、お互いに不幸になってしまう。
必要な人に届くように、必要のない人が間違って買ってしまわないために、きちんと伝えたい!ってことだったんです。
伝えると売るを分離する
僕はこの線引きを心の中に抱えることで、作り手でありながら、人に説明することが恥ずかしくなくなりました。
もしも「伝えるって恥ずかしいなあ」と思っている作り手の方がいたら、「伝える」と「売る」とを一緒くたにしてしまっていないか?自分に問うてみてください。
誤解がないように伝えるのって、きっと楽しいはずなのです。
作り手自信の、嘘のない背伸びもしてない、ありのままの楽しいお話が、もっと世の中に出てくると嬉しいなと、僕は思います。
それは「強引な売り込み」とは違うものだから、胸を張って「伝えて」行きましょう!
(結果的に上手くいってしまって、周りから「売り込み上手いですね」とか言われても、気にしないでOK!)
[追記]
この話、たぶん就活とかも同じで。たとえば作品集を作るときも、採用される作品集作らなきゃ!と思うと失敗するんです。作ったものをちゃんと伝える!そこに専念した方が良いと思いますよ。
まとめ
このお話は、Podcast『知らんがなラジオ』のお話をベースに書きました。
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