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短編集(2024)

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#ショートストーリー

午前二時、キッチン、キミ。

午前二時、キッチン、キミ。

あおはさー、とキミが言った。

午前二時だった。

つまらない意味で優しいんだよ。

そう言いながらキミはゴソゴソと冷蔵庫を物色していた。

キッチンのテーブルで文章を書いていた。仕事が忙しいのでこの時間にひっそり書くのだ。賞に応募するための小説だった。受賞できるとは思っていない。他に上手い人はごまんといるから。

どういうこと?と聞いた。気になったので。

キミは言った。

誰も傷つけない奴は誰

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どこかへ。

どこかへ。

タクシーに乗った。

友人と飲んだのだ。彼とは3ヶ月に1度の頻度で会う。
互いの家の中間地点で会って、地元駅までは電車で帰った。

地元駅から家までは徒歩だと50分はかかる。田舎なのだ。

終バスはとっくに過ぎていたのでタクシーを使った。
彼には悪いが今日のメインはこっちだったりもする。

深夜のタクシーが好きだ。

現実とフィクションを彷徨う感じが好きだ。
酒でぼやけた意識がそれを加速させる。

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