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はじめてJリーグを観た時の話

幼い頃の記憶は、どこか曖昧で、おぼろげだ。
でも確かに心の中に焼き付いている。

1994.8.17 NICOSシリーズ 第3節
名古屋グランパスエイト × ガンバ大阪
会場は、国立霞ヶ丘競技場

僕がはじめて観戦したJリーグの試合。
1993年にJリーグがプロサッカーリーグ
として、スタートして2年目。
世間はJリーグの開幕に沸き立ち、
幼き僕も例に漏れず、熱狂していた。

Jリーグのテレビ中継を食い入るように眺め、
好きなチームのマリノスのキャップを被り、
Jリーグカードを目当てに、
親のスーパーマーケットでの買い物に付き纏って、Jリーグチップスを買い物かごに滑り込ませていた。

小学校の休み時間では
ギリギリまでボールを追いかけて、
ゴールを決めた時には、
アントラーズのアルシンドや
ヴェルディのビスマルク…
強烈な個性を放つスター選手のゴールパフォーマンスを競い合って模倣した。
(僕のヒーローはマリノスのラモンディアスだった。)

そんな僕をみかねて、
少ない夏休みの間をぬって、
父が東京にJリーグの試合を観戦しに
連れて行ってくれることになった。

でも、父がチケットぴあに電話
(当時は固定電話からの予約が主流だった)
したところ、
僕が応援していた横浜マリノスの試合の
チケットが確保できず、
グランパスとガンバの試合をみることになった。
それが決まった時、
当時住んでいた公営住宅に響き渡るくらい、
大号泣をしたことを鮮明に覚えている。
(別のチームの試合を見に行くなんて、
マリノスに申し訳ないなんていう気持ち)
自分がマリノスの何者でもないのに、
サポーターの鏡のような少年だったことに
少し呆れると同時に、
親を困らせたことに申し訳なくも思う。

Jリーグ創成期。
SUNTORYシリーズとNICOSシリーズの二期制、
グランパスとガンバのリーグ戦が国立開催、
今とは、レギュレーションも
大きく違うシーズンの試合。
試合内容は正直全然憶えていない。
座席もピッチから遠くてよくみえなかった気もする。

それでも、確かな興奮は脳裏に焼き付く。

初めての大都会東京、
5万人を超える入場者数、
応援するサポーターの熱気、
プロサッカーを生で観る自分…
のような時間。
ゆっくり田舎でのびのび生きてきた僕にとって
五感を刺激した瞬間だった。


マリノスのキャップを被り、グランパスのフラッグを振る…。

(試合は、2-3で延長Vゴールで、ガンバ大阪の勝利。名古屋には、ストイコビッチ、リネカー、小倉…ガンバには、磯貝、辛島、プロタソフ…錚々たるメンバー。当時の記録や得点経過をみると、劇的な試合だったのだと思う。)

参照元: Jリーグデータサイト https://data.j-league.or.jp/SFMS02/?match_card_id=606

しかし、いつのまにか、Jリーグへの熱狂も、
正確には、テレビ中継の終焉と共に、
冷めていった。
ミーハーなところもあったのだと思う。
でも、なにより自分にとって、
Jリーグがテレビの中でも身近にあるということいわゆる「距離の近さ」は
とても大切だったんだと思う。
(その後、僕は野球に夢中になり、野球少年に
なった)


2022年、J開幕から30年が経つ。
1993年に10チーム(オリジナル10)から
始まったリーグも、
今では58の加盟チームで、
J3リーグ(3部)まである。
全国多くの自治体にJリーグ加盟チームがあり、
各地会場では毎週末、
熱戦が繰り広げられている。
そして、開幕当初のように、
毎週の地上波での試合の放映こそないが、
DAZNと契約さえすれば、
スマホ1つでJリーグの全試合に
アクセスすることができる。

30年でここまで飛躍的に成長を遂げた
リーグは世界を探してもあるだろうか?

それに伴って、確実にサッカーとの、
Jリーグとの「距離感」が縮まったはずだ。

かつて、サッカー不毛の地と言われていた
僕の地元長野県からも
「松本山雅FC」がJリーグに昇格し、
僕は再びJリーグに熱狂する事となった。

故郷を離れて、もうすぐ首都圏での生活が
地元での年月を追い越しそうな年齢になった今、
コロナ禍も相まって希薄になった
故郷との繋がりは、間違いなく
「松本山雅FC」が繋いでいる。
地元にプロサッカークラブがあるおかげで、
実家の家族との連絡も増えた。(山雅の試合の話で会話が弾む)
精神的にも物理的にも、
Jリーグが故郷との距離を縮めてくれた…。


来週に控えた、松本山雅FCのいつもより、少し遅い開幕を前に、自分がはじめてJリーグを観に行った日やJリーグの始まった頃を思い出してみました。
今年は久々にユニフォームを購入しました。様々な事情で、何試合現地観戦できるかはわかりませんが、30年を超える歴史を噛み締めながらも、あの時に感じた興奮を思い出しながら観戦をしたいと思います。

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