空は紫色 第一章

ずっと胸の中に隠していた事を書いていきます…

これから書いていくことは、信じられないような事も含まれているけど、全てが昭和の時代を過ごした私の事実のお話です
令和の今では考えられない事ばかりです

最近はTVなどでも昭和の話が出てくることが増えましたね
私にとっては地獄だった時代が、今になってエモいとか?オシャレだとか?
正直、そんなTV番組を見るとチャンネルをすぐに変えてしまいます
苦しくなるから…
汗が出てきて頭痛が始まり、吐き気がして涙が止まらなくなる自分がいる…
まだ終わっていない…
いつまで続くんだろう…

私が幼少期を過ごしたのは、北関東のとても小さな町でした
今では小さな町同士が統合されており住所も変わったらしい
私には、どうでもいい事だけど…
とにかく、街のみんながそれぞれの家庭事情に詳しくて、全てが筒抜けだし、隠し事なんか絶対に無理!
そのおかけで、私は自分の家族から教えてもらえない様な事は、こちらが聞いてもいないのに、御丁寧に近所の人達が全部教えてくれた…
今でもハッキリと覚えている、近所に小さな神社があって、子ども達が遊べるようにブランコや、鉄棒、滑り台があった
公園らしい公園はなかったから、私達には唯一の遊び場だった
アケビの木、栗の木、びわの木、イチジクの木、季節ごとにフルーツの食べ放題
当時、私には毎日のように一緒にいた仲良しのCちゃんという友達がいた、Cちゃんとブランコで遊んでいたとき、近所のおばさんが近づいてきて私の顔をじーっと見つめたあとに「あぁ!あんた○○さん家の○○ちゃんの子供ね!?」って…
私が???って顔をしていると「あっ!?知らないのね!ごめん!ごめん!」と言って小走りで消えていった…
私もCちゃんも顔を見合わせて「○○ちゃんって誰だろうね〜」なんて言ってたっけ…
夕方になって、家に帰りお父ちゃんに神社での出来事を話した途端、家中の空気が変わったことに、子供ながらも私は敏感に気付いた…
なぜだか私は昔から、雰囲気を読み取ることが得意だった…
お父ちゃんは既に、一升瓶を片手に酔っ払っていた
近所でも酒癖が悪くて有名だった
っけ…
お酒の勢いもあったのかもしれないが、私の話を聞いた途端に「あのクソババアがっ!余計な事をっ!」と言いながら、走って家から出ていった
何処に行ったのかは、直ぐに分かった…
数件先の家から、お父ちゃんの怒鳴り声と何かが割れる音がした
私が神社で会ったおばさんの家で、お父ちゃんが暴れていた…
何が起きているかは直ぐに理解できた
家でも朝から一升瓶片手に怒鳴りまくっていたから
昔の人の割には身体が大きくて力も強かったっけ
酔ってない時は、優しいお父ちゃんだったな
お酒って恐ろしい

ちょっと話は飛んで家族構成をお知らせしておきます
後々、照らし合わせが必要になるかもしれないからうちは今でいう大家族
祖母
両親
男4人
叔母(東京住み)
女4人(内一人死去、2人結婚して別居、同居は1人)
そして私が末っ子
昔はこれぐらいは当たり前だったのかもしれない、先に町と書いたけど、実際は集落?と言ったほうがいいかもしれない
兼業農家だったから、一年中何かしらいそがしかったな
でもビックリするぐらいの貧困家庭だったなあ
記憶がハッキリしている親戚は長女と次女の家族
長女家族には娘が一人(いとこ)
次女家族には子供が2人(いとこ姉妹)お姉ちやんの方は私と同い年だった
妹Bの方は2つ下だったかな、よく覚えてない
お姉ちゃんのAはよく覚えている、大嫌いだったから
同い年のせいで何かにつけて比べられたっけ、見た目も勉強も話し方も目つきまで、全て比べられた
うちの家族はこの姉妹を可愛がっていたなあ
私には見せない笑顔や、聞いたこともない優しい言葉が、いとこ達には浴びせられていたっけ

夏休みと冬休みには、必ずうちに帰省して来ていた、私にはとってはただの憂鬱な時間だ
毎回、帰省してくるたびに私は彼女達に嫉妬した
真新しい靴に、綺麗な姉妹お揃いの洋服、美容院で整えた髪、手に持ったキラキラしたバック、私はキツくなってかかとを潰し履きしたスニーカーと、兄弟からのお古の洋服、一年に一回の(床屋)理容院で切った髪、バックなんて持っていなかった
恥ずかしかったし、会いづらかった
それでも仲良しだったと思う
うちの家族の手前、仲良くしなければならなかったから
もしも私が女優になれていたら、脇役でも、いい女優になっていたかもしれない、それぐらい芝居が美味かった、あんなに小さかったのに変な芝居グセと嘘つきグセがついた
でも、この芝居グセと嘘つきグセのお陰で今まだ生きている

混乱と暴力の始まり

私が通っていた保育園は、家からだいぶ離れた場所にあるお寺だった
いくつかの集落からスクールバスで、お寺に集められていた
近所の仲良しのCちゃんとスクールバスで毎日同じ席に二人で座って通ったっけ
でも、私はその保育園が嫌いだったなあ
今でもハッキリ覚えているのは、お昼寝の時間にCちゃんが話しかけてきて先生に怒られた事
話しかけてきたのはCちゃんなのに、何故か私が叱られた
私は罰として、皆んなが昼寝の間裸足で草むらの中に立たされた、私だけ
そして泣いた…悪いことなんかしていないのに、トイレに行きたかったけど行かせてもらえなかった、泣きながらお漏らしした
昼寝の時間が終わって、部屋に戻れるかと思っていたけど、結局は帰りの時間になるまで放って置かれた
涙とオシッコで濡れたまま腰にバスタオルを巻かれスクールバスに乗って帰った、バスに乗るとCちゃんがバツの悪そうな顔をして、ごめんね~っと笑って言ってきた
心の中では、どうして私だけ!と思いながらも、口からはいいよ!と言ってしまった
悔しかったのに…
家に帰ってからが大変だった、とにかく怒られた
保育園から連絡が入っていたらしく、私が反抗的で皆の昼寝の時間を邪魔したと、私じゃないよ!そう言う前にお父ちゃんのビンタが飛んできた
お酒が入っているから、力が半端じゃない
私は身体ごと飛ばされて、何が起こったのか理解するまで時間がかかったの、そして痛みに襲われて大泣きした、うるさい!と言われ又ビンタされた、口の中が切れて血の味がした
まだ四歳ぐらいだったと思う
罰として自分の服を手洗いするように言われて、必死で洗ったの
冬だったから水は冷たくて泣きながら洗った
途中でおばあちゃんが来て、内緒で私の代わりに洗ってくれた
おばあちゃんは、いつも私に優しかった、何があっても私を守ろうとしてくれた唯一の人
大好きで、いつも一緒に寝ていた
私はおばあちゃんの匂いも大好きだったの、隣で寝ていると安心して眠れた
ここまで読んでくれた人は気がついたかな?お母ちゃんがまだ出てきていないこと…何故なら、私にはお母ちゃんの記憶がないから
一緒に生活していたのは覚えているけど顔や声、どんな人だったのか記憶がないの…覚えているのは、いつも泣いているような感じと、曲がった腰ぐらい
あとは、お母ちゃんの死体だけ…
多分、突然死かな…よくわからない、記憶がハッキリしなくて、でもお母ちゃんはそこに居た
お母ちゃんも暴力の犠牲になっていたのかもしれない、同居していた姉がそうだったから
姉も暴力の犠牲者だった
家は典型的な男尊女卑、男が偉くて女は奴隷扱い、もちろん幼い私も奴隷だった
料理、洗濯、掃除などの家事は手抜き出来ない、男達が仕事から帰ってくるとチェックが入るから
その中でも同居していた姉は大変な毎日を送っていた
朝は早くに起きて、おばあちゃんと一緒に男達達の弁当を作り、朝食の用意をして洗濯を済ませる
そして自分の仕事に向かう
洗濯物を干すのは私とおばあちゃんと、多分お母ちゃん?だった
うん…お母ちゃんも居たと思う
姉は仕事から帰ってくると、直ぐに私達と晩御飯の用意をした
とにかく急いでいたっけ…
食事も、もちろん男達が先にとる
私達女性軍は男達が食べ終えてからが決まりだった
姉はいつも急いで食事をして、食べ終えると急いで洗い物をして、自分の部屋に籠もったままだった、部屋から出て来るのはトイレの時とお風呂の時だけで、終わると直ぐに部屋に入り出てこない
とにかく不思議だった…でも、しばらくしてから理由が分かった
次男は何故か姉を嫌っていた、彼はとても神経質で潔癖症、普段は静かだけど気に入らない事があると秒でキレる
姉は次男の標的だった、ある夜私は眠れなくって水を飲みにキッチンへ行った、すると姉の部屋からドン!ドン!と音がしていたのて、こっそり覗いて見たら次男が姉を殴っていた
「7時過ぎたら出て来んじゃねぇ!」と言いながら姉を殴っていた、私はびっくりして動けなかった…7時?何?夜の7時?出てちゃいけないの?なんで?
理由はわからないけど、姉は夜の7時以降はトイレとお風呂以外は部屋から出てはいけなかったらしい、だからテレビも見れない…
姉の部屋には沢山の本があった、部屋から出れない間は本を読んでいたみたいだった…悲しくなって、どうして?なんで?と考えていた、そんなことは次男には怖くて聞けない…その日から私は姉が心配になって、よく姉の部屋ヘ行くようになった、私がいれば姉は安全だろうと勝手に決めつけていた、でも次男には誰がいようと関係なかったみたいで、ある日突然キレた様子で姉の部屋ヘ来るなり、私の眼の前で姉の首を絞めて殺そうとした…姉の顔が真っ赤になり、唇が紫色になって気を失った、お父ちゃんが止めに入ったけど次男は手を離さなかった
怖かった、姉は死んでしまったのだと思って私は泣いた
その後どうなったかは覚えていない、ただ次の日の朝に姉が生きていたことを知って、また泣いた…
姉の首には次男の手の跡がハッキリ残っていて、昨夜の事が現実に起こったのだと怖くなった…この頃から私の悪夢が始まった
そんな事があってから、しばらくすると家の中から姉の姿が消えてしまった、何処に行ってしまったんだろう…と心配になった
姉が消えてしまってから私の仕事が増えた、いままで4人でやってきた家事を3人でしなければならないから、私は5歳になっていた
姉が消えてしまってから少しずつ何が変わってきた、次男の標的が私になったんだと少ししてから気がついた…
姉が消えてしまってから最初の冬、それまで煙管でタバコを吸っていたのに、いつからか紙タバコに代わっていた、煙管でタバコを吸うおばあちゃんは私にはカッコよく見えて好きだったのに…おばあちゃんに頼まれて、よく遊びに行っていた神社の横にある小さな日用品を売るお店にタバコを買いに行った時の事、お店のおばさんが「あら?○○ちゃんの子ね?」
誰その人?「大おばあちゃんのタバコ?おじいちゃんのタバコ?お使い偉いねぇ!」大おばあちゃん?おじいちゃん?誰のこと?
家にはどっちもいないけど?
すると、お店のおばさんは2種類のタバコを出して、どっちか私には聞いた、私はおばあちゃんのタバコを取った「あぁ!大おばあちゃんのタバコね!はいはい!」
はっ?!大おばあちゃん?何それ?私はモヤモヤしながら家に帰って、おばあちゃんに聞いてみた、すると「もう少し大きくなったら教えてあげるから、お父ちゃんに行っちゃダメだよ!いいね!」と言われた…何なんだろう?まだ5歳だった私には全く理解できなかった
先にも書いたように、ご近所さんたちは全て教えてくれる、悪気はないのだろうけどウチの家族にとっては大問題に発展してしまう
またお父ちゃんが怒鳴り込んでしまうから、私はお父ちゃんには言わなかった
その日の夕飯後の洗い物をしている時に次男がキッチンに来て私に「お前何やってんだ!」私「洗い物…」次男「何でお湯使ってんだ!お前!」と言って湯沸かし器を切って「生意気に水で洗え!」と私の顔をぶった
次男が部屋へ戻ったのを確認して、もう一度湯沸かし器のボタンを押すがお湯が出ない、次男はガスの元栓を閉めたようだった
今なら分かるけど当時5歳だった私にそんなことは分からない、仕方なく水で洗い物をした…田舎の冬の水は冷水、とにかく冷たくて冷たくて手がしびれて、感覚がなくなってしまう、それでも我慢して洗い物を済ませた
手が真っ赤になって、3日もすれば手は赤ぎれができて傷の所々から血が出て、グローブみたいに腫れて、とにかく痛い!それでもお湯は使わせてもらえなかった、洗い物を始めようとすると次男が来てガスを止めてしまうから…
私は、これが私が標的になる始まりだとは考えてもいなかった、決して裕福とは言えない家庭だったから、もったいないからかな?ぐらいにしか考えていなかったが違った…まだ5歳だった私に対するイジメの始まりだった
私には自分の部屋は無かったけれど、リビングの隣の部屋の一角にお下がりの勉強机と同じくお下がりの洋服タンスが置かれていた、ある日保育園から帰ると、私の机と洋服タンスがトイレに通じる廊下の片隅に移動されていた、廊下は夏はサウナのようになり、冬は外の温度とさほど変わらないぐらいに寒い、何で?ここなの?不思議だった…いつもの洗い物の後次男が私を呼びに来て、勉強机のあった場所に連れて行かれて「ここの隅っこだけ使っていい!他はダメだ!」と言われた…そこは勉強机のあった部屋の角、1メートルぐらいの三角の場所だった、自分の部屋のない私に与えられた小さなスペースだった
テレビを見るときも、その場所から見なければいけなかった、画面は離れているから半分しか見えなかった、寒くてリビングのこたつに入っていると次男から罵声を浴びせられて叩かれた…そして寒い自分のスペースへと泣きなから戻る、暗くて灯りをつけると、また次男がやって来て灯りを消していく、睨みながら膝を抱えて座っている私をついでに?蹴飛ばしてリビングへ行く
次男のイジメは日々エスカレートしていく、いとこ姉妹が遊びにくる冬休みは最悪だった「ねぇねぇ!何で○○ちゃんはあそこにいるのー?」次男「バカだし、目つきも悪いから!」いとこ姉妹「そうなんだー!バカなんだー!」と言いながら、私の方に来て「きゃー!こわ~い!こわ~い顔してる〜!たすけて〜!」と、笑ってリビングへ行き次男達に甘えていた、今考えれば…この頃から感情というものが無くなってしまったと思う…
いままでイトコ姉妹にヤキモチを焼いていた気持も無くなった…
でも、イトコ姉妹の父親は私に優しかった、私がイトコ姉妹とお風呂に入る時は必ず一緒に入ってきて体を洗ってくれた、それこそ隅々まで洗ってくれた…イトコ姉妹が湯船に浸かって遊んでいる時に私の体を洗ってくれていた、それが何なのか知った時は既に遅かった…
自分の娘達の体は手短に済ませて「あとは自分であらいなさい!」と言って、私と一緒に湯船に浸かる、そして湯ぶねの中で私に色々な事をした、2人仲良く洗いっこしているイトコ姉妹は全く気づかない、自分の父親が何をしているのか…彼は私の体を撫で回し下半身を好きなようにしていた、私はイトコ姉妹の前だから何も言わずに耐えているしかなかった…
いまだに彼のニヤニヤした顔が忘れられない…
当時の私は何をされているのか理解できないでいた
これが普通なんだろう、皆んながされているものだと思っていた
何故ならイトコ姉妹の父親だけではなかったから、私は小さい頃から長男とお風呂に入っていた、おばあちゃんも、お姉ちゃんも居たのに、それにお母ちゃんも…
でも、この3人とお風呂に入っていた記憶はない、いつも長男と一緒だった…髪を洗ってくれて体も洗ってくれる、体に石鹸が残ったまま私は長男の膝の上に乗せられた、そうすると長男は膝に乗せた私の体を前後に揺らし始める、いつも下半身に違和感を感じていたけど、何してるんだろう?ぐらいにしか思ってなかった、後でわかったのは…長男は私は体を使って性欲を発散させていたらしい…
終わると必ず体を丁寧に流してくれた、そのたびに体を洗う時と同じように私の下半身を触っていた、痛くて痛くて泣きそうになったっけ…そんな毎日だったから私には当たり前のように感じていた、イトコ姉妹の父親にされた時も痛かったけど、長男が私にしていることと同じだったから不思議には思わなかった…
そんな行為は、私が小学4年生になるまで続いた…
初めてイトコ姉妹の父親にされてから彼は春休み、夏休み、冬休みと毎年家に来るようになった…
それまで、イトコ姉妹と母親だけが家に来ていたのに…

私の唯一の楽しみは犬達と遊ぶ事だった、見栄っ張りのお父ちゃんは大型犬が好きで、家には常に10頭ぐらいは飼っていた、秋田犬、ハスキー、土佐犬、シェパード、コリー犬などが私を癒やしてくれていた
皆んな頭が良くて、生まれた子犬も可愛くて、私より体の大きな犬達は私に優しかった…
お父ちゃんは子犬を売って稼いでいたらしい…
いつも通り犬達と遊んでいたとき、イトコ姉妹の父親がニヤニヤしながら私に寄ってきた「犬が好きなんだねえ!犬も○○ちゃんの事が大好きみたいだねえ!」と、ギョロッとした目で私を見てドス黒い唇で笑いながら近くに座ってきた、すると長男がやって来て何か2人でコソコソ話し始めた、しばらくするとイトコの父親は長男にお金を渡していた、まだ小さかった私には意味がわからなかった、お金自体良くわからない年齢だし気にしていなかった…
大人になってから理解した、あのお金は長男が私を売ったお金だ!
イトコ姉妹の父親が家に来るたびに長男はお金を受け取っていたんだろう…まだ何も知らなくて、されるがままで理解もできず、ただ
ただ耐えていた私をお金に変えていたなんて!腹がたったし、悔しかったし、悲しかった…
長男は私の体を売り、次男は私を奴隷のように扱い殴る、では三男は?こちらも問題ありな性格だったっけ、三男は曲がっことが大嫌いの仕事中毒で、こちらも神経質で箸の上げ下げから、お茶の入れ方、食事の仕方、料理の味など全てに細かった…三男といる時はいつも神経を使う、少しでも三男の気に触れば殴られたから…ある時、私の作った料理の味が気に入らなかったらしく「こんなもん食えるか!」と、私の顔を料理の入ったお皿に入れた、息が出来なくて苦しかった。目はしみて痛いし掴まれた髪の毛も痛かった…
私は謝るしかなかった、ごめんなさい…泣きながら謝った
でも知ってる?私は5歳だよ?
上手になんて作れないよ!そう言いたかった、でも言ってはいけない、言ってしまったら恐ろしいことが待っているから…
1人が機嫌が悪くなると連鎖する、長男は穏やかで人に向かっていかないタイプの弱虫、次男はサイコパス、三男も似たようなもの、四男は兄たちの金魚の糞で次男、三男が怒ればそれに乗っかるタイプ…最悪だ一番たちが悪い!
それに加えて酒乱のお父ちゃん…
家族なんて言えたもんじゃない、私はこの人達の顔色を伺いながら生きて来た、息苦しくて気持を休める事なんて出来なかった、毎日毎日が緊張状態だったあ
いつの間にか下ばかり見て過ごしていた、顔を上げるのさえ怖かったから、目が合ってしまわないように気をつけていた

見たことのない女性の登場

ここで話が少し前後しますが、大事なことを思い出したので書いておきます
先に書いたのは5歳の冬頃のお話でしたが、これは5歳の夏の話です
記憶がハッキリとしないのですが…その年の夏頃、初めての浴衣を着せてもらった時の事、私の住んでいた家に身なりの綺麗な女性が訪ねてきました
田舎では見たこともない素敵な洋服と、ピカピカに光ったかかとの高い靴、眩しいくらいに輝いた宝石を身に着け、とても良い香りがしていました
その女性と私が会話したかどうかは覚えていませんが、その姿はハッキリ覚えています
とにかく綺麗だった…
その女性は私の家に数日滞在していたと思います、ここの記憶もハッキリしませんが、唯一記憶にあるのは…その女性が私に真っ赤な藤で出来た四角いバスケットのようなバックをくれたこと
そして、私の通っていた保育園のイベント?お盆?かな…浴衣を着せてもらったから多分そうだと思う、先に書いたように私はお寺の保育園に通っていたので、お盆のイベントで護摩焚き?のようなものに参加していました、小さな木でできた御札のような物を火の中に焚べるんです
みんなで順番に並んでいた時に、私はその女性が居ることに気づきました
他の子の親たちは写真を撮ったりしていたけど、その女性は私の事を無表情でジッーと見ているだけでした
何となく怖くなって泣きそうになったのを覚えています
その場には、お父ちゃんもお母ちゃんも、そしておばあちゃんも居なかった…居たのはその女性だけでした
その後の記憶は全くなくて、何があったのかわかりません…
いつの間にか、その女性はいなくなっていたと思う
そんな事があってから、おばあちゃんが私に話してくれたのは幼稚園に入ってからだった
幼稚園は集落から歩いてすぐのところにあって、集団登校する小学生達に混ざって一緒に歩いて通っていました
もちろん、仲良しのCちゃんと一緒に!
ある日、多分…母の日?のイベントで、お母さんと一緒に自分の手形を絵の具で画用紙にプリントする行事があった時の事、みんな幼稚園の入り口に集まり、自分の母親が来るのを待っていたの
ひとり、ひとり、そしてまたひとりと、母親と一緒に教室の中へ入って行く友達たちを私は見送っていました
最後にひとり残された私の所には誰も来なかった…
誰も来ないのは分かっていたけど、やっぱり悲しかった…
心配したCちゃんのお母さんが、泣いている私を教室の中へ読んでくれて、一緒にしようね!と言ってくれたけど、私は絵の具を手につける事はなかった…
家に帰って、おばあちゃんに話すと「今だけだから、お前にはママがいるからね…」と、突然の事で何を言われているのかよくわからなかった
今だけ?ママ?誰それ?
おばあちゃんは、ゆっくりと私に話し始めた…「お盆に家に来た女の人覚えてるか?あの人がお前のママだよ…」と…???
えっ?!でも、お母ちゃんが…
「お前は大きくなったらママの所に行くんだよ」はぁ???
お母ちゃんは?ママって?
そこで思い出した!雑貨屋さんのおばちゃんと近所のおばちゃんが言ってたっけ!「あんた○○ちゃんの娘だね?」
そうなんだ!あの人なんだ!っと、でも…私にはお母ちゃんがいる…なのに、何でママ?
もはや理解不能、幼稚園生にはムリ!
だけど、なんだかドキドキしていた…不思議だけど少しウキウキもしていた、いままで感じたことのない感情が湧き出して嬉しくもあった
それは多分、あの女性がとても綺麗だったからかもしれない
おばちゃんの話だと、あの女性は東京に住んでいて、もう少し私が大きくなったら私も東京に行くのだと言われた
ドキドキが止まらなかった!
そして小学生に上がったら、毎年夏休みには2週間ほど東京に行き、あの女性の家で暮らすのだと
言われた
顔が赤くなるほど嬉しかった
少なくとも2週間は長男や次男と離れられる!そう考えるだけで泣きそうになった
でも気になったのは長男達が、その女性の事を「姉ちゃん!」と呼んでいたから、それはハッキリ覚えていた
姉ちゃん…?じゃあ私のお姉ちゃん?でも、おばちゃんは私にはママだ…だって言ってたし???
これも幼稚園生には理解不能!
ムリです!
あっ!いつの間にか保育園卒園していましたね!ゴメンなさい!
その辺の記憶も無くて!
お許しください!
そしてもう少しお付き合いくださいね!

白い壁と鉄格子

幼稚園になっても普段の生活は何も変わらなかった
いつも通り、保育園以外はおばちゃんとお母ちゃん?と一緒に家事に追われて過ごしていたの
少し時間ができたらCちゃんと一緒に近所の神社で遊んていた、そしてもう一人…神社のすぐ近くに住んでいたYちゃん、Yちゃんが一緒の保育園に通っていたかは覚えていない、でも幼稚園は一緒だったからよく遊ぶようになっていた
するとCちゃんが、Yちゃんとは遊びたくないよ!と私に言ってきた「どうして?」と聞いても嫌だ!と言うばかりで教えてくれない…理由はすぐに分かった、数日後私はYちゃんとYちゃんの家で遊ぶ約束をしていた
Cちゃんの家で遊ぶ事はあっても、他の子の家は初めてだったから嬉しかった、が…その気持ちはYちゃんの家に着いた瞬間に消えてしまった
家の敷地の入口から庭に入り、玄関へと向かう途中、トイレのような変な匂いがした
振り返ると母屋とは別に、小さな小屋のような?部屋?ん〜なんて言ったらいいのか…
部屋にしておこう!
そう!別に部屋があった、その部屋は陽の光がほとんど当たらない、薄暗い場所にあった
よーく見てみると誰かが部屋の前に座っている
ちょっと近づいてみると、突然誰かが私の方に向かってきた!
びっくりして慌ててYちゃんを呼ぶと、母屋からYちゃんが飛び出してきて私に向かってきた誰かを棒で叩き始めた!男の人だ!Yちゃんは、その男の人を叩きながら「お前は出て来るな!」と怒鳴っていた、そしてYちゃんの弟も来て二人で叩き始めた!怖かった…
しばらくすると、男の人は小さく膝を抱えて座り込んでいた
「ごめんね~!こいつ○ちがいだからさっ!」えっ?!なに?
でも叩かなくても…と言うと「いいの!いいの!いつもだから!」
私はその男の人をよーく見てみた、白かったであろうシャツはボロボロで、下はゴムが伸び切ったスエットパンツを紐で結んで履いていた、顔も体もドス黒くて何日もお風呂に入っていないのだろうと思った
足は裸足だった…そして足首には、徘徊しない様にだろうか足かせが付けられていて、彼の部屋?の前の柱に繋がれていた…
足元には欠けたどんぶりのような器が転がっていた、まるで犬を繋いでいるかのようだった
匂いの元が分かった、この男の人からだ…
この人だぁれ?と私が聞くと「アニィだよ!兄ちゃんだよ!」
ショックだった…今思えば彼は、生まれた時に脳に何かしらのダメージを受けた障害者だったのだろう、言葉も話すことは出来なかったから…ただ私を見てニッコリ微笑んでくれた事は、今でも覚えている
とても優しそうな笑顔だったっけ

驚かれる方も信じられない方も居ると思いますが、昭和の田舎の集落とはそんなもんです
わざと隠すこともせず、働き手にならなければ粗末な扱いをするのは普通でした
それを虐待とも呼ばす、小さな集落には警察も交番も無い、警官がいたところで事件にはなりません
この時から私はYちゃんが嫌いになった、姉弟にイジメられる彼が自分と重なったからかもしれない…そして、私の中の何かが変わった瞬間でもあった
その日を堺に私とYちゃんの関係は激変した、私はYちゃんに冷たい態度をとるようになってしまった、全く一緒に遊ばなくなった訳ではないけれど、いつの間にか私はYちゃんをイジメるようになってしまった
イジメと言っても、初めは冷たい口調になったりとかで暴力を振るったりはしない、今で言うところのモラハラ?かな…
Yちゃんが嫌がる様な言葉や、イジワルな言葉を使うようになっていた
Yちゃんがアニィを叩いたりするたびに私は腹が立ってさらにYちゃんに冷たくあたった
私の遠縁にあたる家にもアニィのような障害を持った男性がいた
私の家から子供の足で歩いて30分ぐらいのところだったかな…
その家は蓮根の栽培で生計を立てていて、収穫のシーズンになると私の家から長男が手伝いに行っていたの、私もよく一緒に連れて行ってもらったなあ
その家の障害を持った男性は、私にとても優しかった、私の顔を見るたびに笑顔で迎えてくれた、彼は言葉を話せない代わりに身振り手振りで私と話そうとしてくれて
そしていつも、蓮根の花の実を私に取って食べさせてくれた
綺麗に皮を剥いてくれて私の口の中に入れてくれる、ニッコリ笑いながら
白くて甘くて、サクサクしていて美味しかったな!
彼は働き者で一日中、蓮根の収穫を泥だらけになってしていた
彼の家族は、彼をイジメたりはしていなかったと思う
私は彼が大好きだったの
彼はいつも私に優しくしてくれていたから
だから私はYちゃんが許せなかった、私のYちゃんに対するイジメ?嫌がらせ?まぁ…似たようなものだけど、日々エスカレートしていった
人を傷つけるのはどうすればいいのかは次男達から自然に学んでいたから簡単だった
そして、その事は誰にも気づかれていないと思っていたの、ウチのお隣のOちゃんを除いては…
そして、このOちゃんが10年近くに渡って私を苦しめる事になる…のですが
YちゃんとOちゃんの話しはまた後ほど登場致しますのでお楽しみに!

ここで、幼稚園の冬に戻ります!
(読みづらくてゴメンなさい!)

その冬、家にまたあの綺麗な女の人が東京から来ました…すでに嫁いで家を出ている次女と三女も一緒に、イトコ姉妹は次男達と出かけていて、家にはお父ちゃん、お母ちゃん?おばあちゃんと、さっきの3人と私
私を除いた皆んなが何だかコソコソ話していて、私はコッソリ聞き耳を立てていたの「○○を連れて行くのはやめたほうがいいよ!」私のこと?「でも隠してもいつかは分かるから!今のほうがいい、まだ小さいから、すぐに忘れるよ!」やっぱり私のことだ…
すると、おばあちゃんが「○○には教えたほうがいい…」と言っていた
話し合いから少しして、私は女子3人に車に乗せられた
車の中から見る風景は別の街に来たようだった、初めて来る街だった
車から降りると3人に連れられて、大きな建物の中に入っていったの…そして何度目かの真っ白なドアを抜けると、沢山の部屋がある場所に着いたの
薬の匂いと、いままで嗅いだことのない匂いで充満していて気分が悪かったなあ…それと声!叫び声でもないし、うめき声のような?変な声が聞こえていた
よく見ると一つ一つのドアには小さな窓がついていて、私はまだ小さかったから窓には届かなかったけど、ドアには鍵が付いていたのはわかった
そして全部が真っ白、壁も床も全部…
ここどこ?なに?って感じ…
案内をしてくれた人の着ている服も真っ白で、ちょっと不気味だったな…
案内の人と一緒に、歩いていくと鍵の掛かった大きなドアを開けてくれた、今度は鉄格子のようなものが見えた、そしてまた同じような小さな部屋が並んでいた
女子3人は一つの部屋の前で止まり、ドアの窓から中を覗いていた
「どうする?見せる?」「見せなくてもいいよ!」とかなんとか…
3人は案内の人に紙袋をふたつ渡すと、その場を離れようとしたの
その時、部屋の中から「○○!○○!いるの!いるの!」と、私を呼ぶ声がした、お姉ちゃんの声だった!お姉ちゃんの声を聞くのはどれぐらいぶりだろう!
突然いなくなってから、久しぶりに聞く声だった、私は嬉しくて「お姉ちゃんに会いにきたんた!」と、単純に考えていた…だって子供だからね、私は…
私がお姉ちゃんに気づいてすぐに、誰かが私の手を引っ張ってその場から大きなドアの外へ連れ出した、そして大きなドアに鍵がかけられた…
泣きながら「お姉ちゃんは?ねぇ!お姉ちゃん!」誰も何も教えてはくれなかった
また車に乗せられ、家へと向かった…
会わせてくれないなら、何故私を連れてきたんだろう?
意味がわからなかったし、腹もたった!
お姉ちゃんに話したいことも沢山あったのに!どれだけ会いたかったか伝えたかったのに!
車の中では誰も何も話さなかった
家に着くと、おばあちゃんが泣き顔の私をじーっと見ていたっけ

そう!きっと皆さんお分かりでしょう…
あそこは精神病院、長年次男に虐待され続けたお姉ちゃんは壊れてしまったんですね…
その後、お姉ちゃんに会えたのはだいぶ時間が経ってからだった…
お姉ちゃんと再開したのは一度だけ、たぶん外泊許可がおりた時だったのかもしれない…
もちろんこれも、後から分かった話です…それとその時に気になったのは、東京から来た女の人を二人が「姉ちゃん」と呼んでいたこと…ママ?姉ちゃん?あの女性は何者なんだろう…

今回は、ここまでです!
長々とお付き合いいただき、ありがとうございます!
さすがに話が長いので、ここまでで第一章とさせて下さい!
では次回、第二章で!




































この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?