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800字日記/20221125fri/139「千曲(ちくま)の元ヤン」

目覚める。快晴だ。夏の陽射しだ。体調はいいが頭がまわらない。ネコは基地から起きたぼくを見ている。

そうじをして執筆に取りかかる。一息ついて部屋を見わたす。年内はまだ居るが、部屋に物がない。いますぐ夜逃げができそうだ。

先生、痛いです。

昨夜はネコの移動を調べた。フライトであればぼくは快適だが、ネコのゲージは貨物あつかいで氷点下になる。却下だ。鉄道はコスパがわるい。ペット可の長距離バスに落ちつく。

三年前のGW前、ぼくは長野の松代にいた。そこに腰を据えるつもりだった。ぼくの部屋の世話をした人は娘家族に杏畑とドッグランの経営を任せる地元の土建会社の取締役で気前のいい人だった。

借りた家屋に別の、俺が大家だと名乗る男が現れた。その男は元ヤンっぽかった。朝、いきなり玄関に大声でどなり込んできて、彼と揉めた。彼は警察を呼んだ。ぼくの父は警察官だったので冷静に対応した。

彼は十五歳くらいの知的障害者をひとり連れていた。あまりに美人でぼくはおどろいた。ここは障害者コミュニティでつかうんだよ! と彼はどなった。折り紙や紙風船が散らばっていたが。外の生垣に「ひみつきち」と看板があった。警察に事情をはなし、秒で、荷物を車に運んだ。最後のチェックで部屋を見まわったとき、知的障害の彼女と目が合った。椅子に体育座りをして身体をゆらせ、怯えた目で、初対面のぼくをじっと見つめていた。まさか、それが何かの合図だった。とは思わないが。

ググる。彼は千曲(ちくま)で手作り自然石の店をやっていたはずだ。Facebookからは彼の情報は消えていた。ネット上から彼の情報はすべて消えていた。

だから、痛いですって!

おっと、ネコの移動の話だった。当時は長野から大分まで車で(途中、東大阪で一泊して)まる二日かかった。いまの部屋は飛び込みだった。

最近、夕焼けハンターみたいになってない?(でも、きれいですね)

布団も机もカーテンもなく段ボールにパソコンを置いた。翌日、敷布団と毛布を買ったのだ。

そう思うと物は増えたな。ネコを膝に乗せて、まる二日の移動になるな。思う。
(798文字)

ほんと、スマホのカメラって、高性能ですね。
これが0.5倍

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