強風と大津波の夢20221222thu168

夢を見た。大津波の夢だ。朝まどろむさなか外では風が強くガラス戸がバタバタ音を立てていた。強風で津波の夢を見たのか津波の夢を先に見たのか、定かではない。

目覚めて夢を見たことしか覚えてなく、残念に思っていると枕元にメモ紙があった。夢のメモだった。文字を追うと夢がよみがえった。

夢なので脈絡はない。オチもない。三つのシーンから成り立っていて、それらはぼくが住む峡谷の町で起こる。

切り立った崖にへばりつく炭鉱の街。四角い窓と錆びたドアが谷に面した暗い八畳ほどの部屋にぼくは母と妹と住む。家具はない。錆びた床。天井から裸電球がぶら下がる。角にシンクの影が見えるが他は何もない。ドアを開けて谷底をのぞくと冷たい風が吹きあがる。顔をあげると真っ青な海。水平線が弧を描いている。港町が見える。午後はそこへ行く予定だ。

「午後から大津波が来る。警報が鳴る一時間前にはここまで帰ってきなさい。さもないと大津波に呑まれる」
と母に釘をさされるが港町を見おろしてもいつもの風景だ。ぼくは自転車に乗って港町にくりだす。

港町まで降りてくると、そこには誰もいない。みんな避難したのか。不安になる。ふりえると水平線はゆっくりと競りあがる。巨大すぎて距離感はつかめない。高さは5kmほどか。

港町と街をすり抜ける間、凄まじい音のサイレンが谷に鳴り響く。だが誰ひとりも見かけない。崖まで戻って港町を見下ろすと、船や車は動いている。

部屋に戻ると、母がこの部屋の角の影に避難するという。流されぬように二人一組になって互いに腕を縛って抱き合いなさいと言われ、ぼくは縄で妹の腕に縛りつけて抱き合う。なぜか血の近い妹とこういう形で抱き合うのに違和感を感じる。

大津波はサイレンを消して、崖側のドアを破壊して部屋になだれこむ。なぜかあるはずのない窓ガラスが砕け散って頭に突き刺さる。妹を抱きながら頭部の皮膚に大量のガラス片が突き刺さって目覚めた。

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