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800文字日記/20220327sun/023

起きる。7時3分。猫が音にビクつく。隣室に人の気配を感じるのか。寝る。時報。起きる。晴天だ。猫にカリカリを。猫は窓辺で丸くなる。燃えるゴミを階下へ。下からベランダを見上げる。二階に赤い花柄のブラジャーが。掃除をする。外に。

青空。風は強い。背丈が高くなった菜の花や薺(なずな)や畑の麦が揃(そろ)って揺れる。鴉(からす)が畦(あぜ)を闊歩(かっぽ)。畦(あぜ)の、雨の後で固まった靴跡やトラクターのタイヤ痕(こん)の上を紋白蝶(もんしろちょう)が飛ぶ。

ニット帽を被った老婆が土手を歩く。青い車が老婆の前で速度を落とし走り去る。土手に上る。先の青い車が左手の離合(りごう)場所に停めてある。男が後部座席から中型犬をおろし下流へと歩く。

沈下橋へは向かわず南へ歩く。胡瓜(きゅうり)のビニールハウスを抜けた左手に石碑が。四隅には四本の竹。竹は注連縄(しめなわ)で結ばれる。用水路で遊ぶ少女ら二人に訊(たず)ねる。「わかりませーん」。笑う。「小学生? 」と訊ねる。背の高い子は「卒業したー」。背の低い子は「私はまだー」。手を繋(つな)いで去っていく二つの影。

県道を渡る。裏手に採掘現場がある部落の路地を歩く。昨日会ったベトナム人が「あそこが僕らの職場」と指を指した建物につく。立入禁止ではない。入る。彼らのチャリがある。裏へ回る。パレット、フォークリフト、積み上げられた大量の黄色い箱、標識「エダマ行きフレコン最終置き場」「廃プラ原料以外→①」「廃プラ原料関係→②」「粉砕後→PS-FRZ」。敷地を出る。

T字路で止まる。路面の「止まれ」の上に青大将が。この陽気で目覚めたのか。艶(つや)やかな緑がゆっくり這(は)う。市議選挙のポスター掲示場が立つホームセンター入り口に「春の大園芸祭」の看板が。入る。園芸用の器具、花木、草花を見て回る。

河面から三十羽ほどの鴨(かも)が一斉に飛び立つ。大きく螺旋状(らせんじょう)に旋回し山へ飛んでいく。


背後から来た一羽の鴎(かもめ)が河の上空へと上がる。急降下。潜水。犬を連れた老人が「海から鱸(すずき)なんか良くあがってくるよ」。先日、コンクリ橋で跳(は)ねた銀の魚は海水魚だったのか。(800文字)



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