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日々是短歌、ひりだす哉。 3/29(金) / 3


今回から、短歌の創作レジュメを歌の後に記していきます。
(なぜ結果的にそのような歌になったかをあとで復習をするため)

雨樋に広がる水の輪 春を見る
猫は膝上 まだ肌寒き
寄せては返す 三寒四温

レジュメ
雨 雨樋 水の輪 窓の滴 梅雨 かなと おもえば、猫(は震え) 丸まり 部屋で 季節(直球すぎるのでボツ) こよみ(暦) にゆれる 三寒四温 寄せては返す 波 水の輪 部屋 


今日の玄人の二首

これやこの 行くも帰るもわかれつつ 知るも知らぬも あふさかの関
(これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関)

蝉丸


『後撰和歌集』

■ミニ解説
この歌は、恋愛や風景描写の多い百人一首の中ではかなり特殊な歌だ。
知っている人も知らない人も、出て行く人も帰ってくる人も別れてはまた逢い、逢ってはまた別れるという逢坂の関
「行くも帰るも」「知るも知らぬも」「別れては…逢坂の」と対になる表現を3つも盛り込んだ戯歌(ざれうた)に近い歌なのだ。
なのだが、この「逢坂の関」はある意味人生のようで、深い趣のある歌だといえる。昔の歌人たちは、仏教の「会者定離(えしゃじょうり)」をこの歌に感じた。会えば必ず別れがあり、別れてはまた出会いがある、というような無常感をここに見た。

■さらにミニ解説
この歌の舞台となった「逢坂の関」は、伊勢国の鈴鹿や美濃の不破と並ぶ三関のひとつで、大津市逢坂から大谷町をへて京都山科の四ノ宮に続く坂道だ。国道沿いに関址の碑があり、その近くに蝉丸神社がある。電車で行く場合は、京阪京津線の大谷駅で降りるか、JR東海道本線の大津駅で下車し、国道1号線沿いに道をたどってみよう。かつて恋人たちの逢う瀬や、人生の出会いの掛詞として使われた、逢坂の関に出会えるかも?


樹は揺れるあなたが誰を愛そうとあなたが誰から愛されようと

俵万智

■ミニ解説
たった31文字のなかにに「愛の矢印」をたくみに樹の揺れに当てている。むしろ「あなたが誰を愛そうとあなたが誰から愛されようと」というこの解説よりも「ながい対句」を「揺れる樹」に倒置法で置いているのは流石だ。



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