ほぼ空き地

小説や映画などの感想を残していきたい。作品を消化した瞬間から記憶が抜け落ちていく悲しさ。

ほぼ空き地

小説や映画などの感想を残していきたい。作品を消化した瞬間から記憶が抜け落ちていく悲しさ。

最近の記事

小説感想『私の命はあなたの命より軽い』近藤史恵(読了:2023/9/3)

作品紹介近藤史恵の『私の命はあなたの命より軽い』は2014年に講談社より出版された作品。文庫版は2017年に出版されいる。最寄りの書店のおすすめコーナーで見かけて購入。 以下はあらすじの引用。 作品のポイント(ネタバレなし)事前情報無しで読むとミステリなのかホラーなのかが分からず、展開が中々読めない。強いて言うならここがポイント。 基本的には伏線や描写というよりは、どういう展開になるんだ?という点に引っ張られる作品。その一点でひたすら読み進められるので、構成は上手いん

    • 小説感想『カケラ』湊かなえ(読了:2023/8/23)

      作品紹介湊かなえの『カケラ』は2020年に集英社より出版された作品。文庫版は2023年に出版されいる。 最寄りの書店で平積みされておりなんとなく購入してまま積読していた。文庫版の表紙が印象的なのと、紹介に書かれていた「大量のドーナツに囲まれて自殺した田舎町の少女」という文が中々強烈。 以下はあらすじの引用。 作品のポイント(ネタバレなし)美容外科医の久乃が、患者へのカウンセリングや自身の同級生へのインタビューをする形式で物語は進む。話の内容はかつての同級生である横網八

      • 小説感想『愚者の毒』宇佐美まこと(読了:2023/8/14)

        作品紹介宇佐美まことの『愚者の毒』は2016年に祥伝社より出版された作品。第70回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門受賞作。 下調べ無しで手に取った作品だったけど中々面白かった。過去の因縁とか、過去パートと現在パートの混ざった構成とかが好物なもので……。あらすじで惹かれたのもあるけど、第一章の『武蔵野陰影』、第二章の『筑豊挽歌』、第三章の『伊豆溟海』という各章のタイトルが好き。 以下はあらすじの引用。 作品のポイント(ネタバレなし)各章の時代設定は、第一章は1

        • 小説感想『野良犬の値段』百田尚樹(読了:2023/5/21)

          作品紹介百田尚樹の『野良犬の値段』は2020年に幻冬舎より出版された作品。文庫版は2022年に出版されいる。百田尚樹の作品は『永遠の0』と『海賊とよばれた男』しか読んでない。知人に勧められて購入した。久しぶりに一気読みした作品。 以下はあらすじの引用。 物語の進み方「誘拐サイト」という謎のサイトで6人の顔写真と犯行声明が公開される。犯人の目的も6人の正体も不明。そもそも犯行声明は本物なのか、イタズラ目的の愉快犯なのかも不明。 誘拐サイト上では大手マスコミに対して身代金

        小説感想『私の命はあなたの命より軽い』近藤史恵(読了:2023/9/3)

          小説感想『冷たい檻』伊岡瞬(読了:2023/4/19)

          作品紹介伊岡瞬の『冷たい檻』は2020年に中央公論新社より出版された作品。伊岡瞬は『代償』や『悪寒』あたりが代表作っぽい。最寄りの書店の一角で『乙霧村の七人』を見かけて名前は知っていたけど、なんとなくそちらはスルーして本作を手にした。 "この村では何かが起きている。残念ながら、それが何かはまだ分からない。しかし、偶発の事故じゃない。あれもこれも繋がっている気がする。人を殺すことをなんとも思ってないか、あるいは、商売にしている人間がいるかもしれない"という帯に書かれた本文引

          小説感想『冷たい檻』伊岡瞬(読了:2023/4/19)

          小説感想『魔眼の匣の殺人』今村昌弘(読了:2022/10/12)

          作品紹介今村昌弘の『魔眼の匣の殺人』は2019年に東京創元社より出版された作品。文庫版は2022年に出版されいる。「本格ミステリベスト10」で第2位、「週刊文春ミステリーベスト10」で第3位、「このミステリーがすごい!」で第3位、「ミステリーが読みたい!」で第3位を受賞している。ちなみに前作(デビュー作)はミステリ関係賞4冠で、コミカライズや実写映画化もされている。 同シリーズ一作目の『屍人荘の殺人』は既読で、文庫化されたタイミングで本作も購入。中々時間が取れずしばらく積

          小説感想『魔眼の匣の殺人』今村昌弘(読了:2022/10/12)

          小説感想『凍りのくじら』辻村深月(読了:2022/9/11)

          作品紹介辻村深月の『凍りのくじら』は2005年に講談社より出版された作品。第27回吉川英治文学新人賞候補作。 『かがみの孤城』を読み終えたあと、昔読んだ辻村深月作品を久しぶりに読み返そうと思い手に取った。読み進めている途中で、中途半端なところで読むのを止めてしまっていたことに気がついた。なので、結果として初読。 一部を除きネタバレは避けるけど、ある程度内容には触れているので注意。 以下はあらすじの引用。 主人公のクセがスゴい主人公のクセがとにかくスゴい。キャラクター

          小説感想『凍りのくじら』辻村深月(読了:2022/9/11)

          小説感想『かがみの孤城』辻村深月(読了:2022/9/2)

          作品紹介辻村深月の『かがみの孤城』は2017年にポプラ社より出版された作品。文庫版は2021年に出版されいる。2018年の本屋大賞受賞作。オーディオブック、漫画、アニメ映画、舞台とメディアミックスも豊富。 辻村深月には『スロウハイツの神様』でハマった。その後続けて『冷たい校舎の時は止まる』『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『名前探しの放課後』あたりは刊行当時に読んだ。 『かがみの孤城』は内容も良かったけど、とにかく読みやすい点が魅力的だっ

          小説感想『かがみの孤城』辻村深月(読了:2022/9/2)

          小説感想『完全なる首長竜の日』乾緑郎(読了:2022/8/26)

          作品紹介乾緑郎の『完全なる首長竜の日』は2011年に宝島社より出版された作品。文庫版は2012年に出版されいる。第9回の『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。 当時、雑誌の『ダ・ヴィンチ』でプッシュされていたのを薄っすらと覚えている。読もうと思った記憶はあるが、結局読まないままだった作品。2013年に映画化されたものは観た記憶があるが、内容は全く覚えていなかった。 何故今更手に取ったかというと、YouTubeでプレシオサウルスの動画を見て、なんとなく本作を積んでいるこ

          小説感想『完全なる首長竜の日』乾緑郎(読了:2022/8/26)

          小説感想『予言の島』澤村伊智(読了:2022/8/21)

          作品紹介澤村伊智の『予言の島』は2019年にKADOKAWAより出版された作品。文庫版は2021年に出版されいる。”再読率200%”や"初読はミステリ、二度目はホラー。"といったキャッチコピーに釣られて購入。派手なキャッチコピーは苦手けど、内容とドンピシャだった場合の爽快感も捨てられない…。 ネタバレは避けるが、ある程度内容には触れているので注意。 以下はあらすじの引用。 ミステリとして「霊能者が予言を残したとある島」「主人公一行が出くわす特徴的な面々」「余所者にやた

          小説感想『予言の島』澤村伊智(読了:2022/8/21)

          小説感想『竜が最後に帰る場所』恒川光太郎(読了:2022/8/17)

          作品紹介恒川光太郎の『竜が最後に帰る場所』は2010年に講談社より出版された作品。文庫版は2013年に出版されている。なんとなく短編集を読みたい気分で書店をふらふらしていたところ目に止まったので購入。恒川光太郎は一時期読み漁っていて、本作も既読済みだけど再読。 文庫本の裏表紙に"読み進むにつれて、だんだん人間から離れていきます。"とあるが、まさにその通りの短編集だ。人間世界寄りの話はどこか鬱屈とした雰囲気があるが、ファンタジー要素が強まるに連れて徐々に解放的な雰囲気が強ま

          小説感想『竜が最後に帰る場所』恒川光太郎(読了:2022/8/17)

          小説感想『死刑にいたる病』櫛木理宇(読了:2022/8/11)

          作品紹介櫛木理宇の『死刑にいたる病』は2015年に早川書房より出版された作品。元々は『チェインドッグ』というタイトルの作品で、2017年に文庫版が出版された際に改題されている。 櫛木理宇の『ホーンテッド・キャンパス』は何度か書店で表紙だけ見かけていた。また、ドラマがそろそろ始まる『鵜頭川村事件』は文春オンラインで掲載されている漫画で読んでいる。名前も作品も知ってはいたものの、タイミングが合わず作品を読んだことはない作家だったが、『死刑にいたる病』の映画宣伝用カバーで表紙を

          小説感想『死刑にいたる病』櫛木理宇(読了:2022/8/11)

          小説感想『夏の王国で目覚めない』彩坂美月(読了:2022/8/7)

          作品紹介彩坂美月の『夏の王国で目覚めない』は2011年に早川書房より出版された作品。文庫版は2018年に出版されいる。ガチガチでないライトなミステリが読みたくなり書店をふらついていたところ、タイトルと表紙のデザインに惹かれて購入した。 本作は主人公がとあるミステリツアーに参加し、役を演じながらシナリオを勧めていくという流れで物語が進む。ミステリツアーの着地点やシナリオ内のトリック、ツアー開催者の正体や目的が本作の謎になる。 読後の感想をネタバレなしで紹介する。 以下は

          小説感想『夏の王国で目覚めない』彩坂美月(読了:2022/8/7)