6年前に小説家になろうで書く予定だった消された恋愛話を改稿して纏めております。【創作大賞2024初参加】
暗い部分も多いですが、人の感情揺れ動きとリアル重視。
ハッピーエンドです…
- 運営しているクリエイター
#キャバクラ
【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城「第3話 戻らない記憶」
「マキ、何かいい事あったあ?」
店はまだ準備中。派手な同僚とは違い、私はメイクや服を整えるのに倍近い時間がかかる。
鏡に向かい口紅を引く私の顔は、彼女の指摘通り昨日とまったく違っていた。目元に幸せオーラがはっきり出ている。この歳になって初めて彼氏とお付き合いしたような感じだ。
あの後、忍と2回触れるだけのキスをしてから電話番号とLINE、メールアドレスを交換した。
何故か分から
【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第8話 絡まない糸
焦げた卵焼きを食べた後にようやくお米が炊き上がる音が聞こえた。
「そう言えば、マキって何の仕事してるんだっけ?」
やはりこの質問が来たかと私は軽く身構えた。決して他意があるわけでは無い。単純に『彼女』から聞いたかも知れないが、今は記憶がないからもう一度聞きたい。そんな所だろう。
「うーん……あまりいい仕事じゃないんだよね。ほら、私って両親亡くなってているからお金貯めるのに必死だったし」