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合説レポート from エチオピア

昨日上司が「そういえば明日、仕事探してる人と企業のジョブフェアやるよ」と教えてくれた。

Mercy Corpsというアメリカ系の団体の後援のもと、企業や大学、就職エージェント25団体がブースを設けて求職者たちへアピールできる場だという。

これは、合説じゃないか

合説すなわち合同会社説明会。活動内容考えていた中に「日本の合説を持ち込む」があったんだけど、なんだもうあるんじゃん!!

これがディレダワ市では初の試みだったらしい。そして、やっぱり日本の合説/就活とは違った。主な気付きを以下に2つ。

やたら分厚いCV。でも…

各ブースには求人票が貼られ、それを見て自分のバックグラウンドと合えばCV (Curriculum Vitar)を提出する。企業は集まったCVで書類審査をして通過者に連絡、面接に進む。

これは今回最多の求人を出していたエチオピア・ジブチ鉄道の求人票。他のところはもっと少なく、なんなら1人のところもあった。

CVとは学歴、長所、言語能力、資格、興味など所定の内容を含んでいれば書式自由な、要するに履歴書。

求職者たちが続々提出していくそれを眺めていると、なんか分厚い。企業担当者の前には文字通りCVの山がある(この写真を撮り損ねたのが痛恨の極み)。イギリスのキャリアセンターでは「Max2枚」って言われたような?

個人情報など気にしないこの国では、企業ブースのおっちゃんが恐ろしく気軽にこのCVを「見てみなよ」と勧めてきたりする。悪いと思いつつ、分厚さの中身が気になりすぎた私は、エチオピア流に乗っかることにした。

気になる中身はこちら。

①アプリケーションレター(訳すなら出願書、か?)
②CV(1、2枚)
③卒業/在学証明書
④大学/職業訓練校の成績表
⑤全国統一試験の結果1
⑥全国統一試験の結果2
⑦推薦状(あれば)
⑧研究テーマの概要(あれば)

全国統一試験は日本でいう高校生くらいで受けるテスト。そこまで出すのか。

これ見たら、日本のエントリーシート(ES)って応募者のアピール箇所が山ほどあったんだ、と思った。今までで一番頑張ったこと、自分の強み、仲間と協力したエピソードなどなど。人となりを見せるところが沢山あるから。それが難しかったんだけど。

もう一度CVのリストを見てみよう。ないな。人となりが分からない。辛うじて推薦状だと思うけど、具体的なエピソードなんて一切入ってなかったので、正直皆に同じこと書ける

何人かの企業担当者に「これどうやって選考するの?」と聞いたら、「推薦状とかあったら加点はするけどとにかくバックグラウンドと求人内容が合ってるかを見る」ということだった。つまり企業の皆さんも応募者の人格は書類審査時は不問ということらしい。

相性なんて見ない

CVを見せてくれたおっちゃんは自分の隣の席まで提供してくれたので、企業の人目線で応募者たちを観察することもできた。

おっちゃんの会社はエンジニアを募集しているらしいのだが、求職者は次々とやって来ては「会計担当は?」「技術職は?」と聞いてなんとかCVを置いていきたがる。

ここで日本の合説と決定的に違うと思ったのは「企業との相性」なんて概念はないことだ。彼らはとにかく少しでも仕事をもらえる可能性があれば書類を置いていく。誰も「御社の福利厚生の利用状況はどうなっていますか?」なんて聞かない。企業側も誰も「弊社が求める人財像」なんて説明しない。…ってことはあれ?説明会じゃないじゃん…。

この混雑の中、ただ書類のやり取りが行われている。

相性がどうのって、互いに選べる立場にあるから言えるんだな。日本の合説って、応募前に自分が成長できそうな場かとかを確認する意味合いもあると思うんだけど、仕事が足りないここには「相性」の入る余地がない。


これらを踏まえると、もし私が配属先と合説を企画するなら、日本のものをそのまま持ち込むことはできない。効果的なカスタマイズはなんだろう。観に行ったら色々分かると思っていたのに、謎が増えてしまった…。

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