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五月の読んだ本とか



 五月になった途端に暑くなって、GWはするっと過ぎ去って、もう、六月。
 
 働き始めて一ヶ月がようやく経った頃には、出そうと思っていた公募の締め切りが迫っていて、読書に時間を割くことがあまりできなかった。でも、ずっと言葉と文字と関わっていたのでなんて言えばいいのか、全てが地続きになっているというか、区切りのない日々を送っていたように思う。
 書くことは苦しいし難しい。でも頑張って書こう、と取り組んでいたうちに、本当に作家ってすごいな……と。根性。そして、物語への愛。やり遂げることの難しさ。たくさん考えて、プロット考えて、書いて書いて書いて……そしてやっと、私たち読者に、一冊の本となってやってくるのだから、本当にすごい。かっこいい!!!と語彙力低いことしか言えないのだけど、素直にそう思う。だからこそ大好きな作家の本がたくさん読めて幸せだ〜〜!!とも思うのだった。

 そんなこんなで五月はとても忙しかったので、読んだ本は本当に少ない。

 
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・推し燃ゆ  宇佐見りん

・かか    宇佐見りん

・くるまの娘 宇佐見りん

・人生の旅をゆく1、4  吉本ばなな

・そっと、静かに ハン・ガン

・アンネの日記  アンネ・フランク

・ともだちは海のにおい 工藤直子

・湖とファルセット  田村穂隆

・ブラザーズ・ブラジャー 佐原ひかり

・人間みたいに生きている 佐原ひかり

・一角獣の背に乗って  佐原ひかり

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 合計12冊。10冊以上読めていたら、ああ読んだな、充実していたな、ってなるんだけど、10冊切っちゃうと、すんごい物足りない。とはいえなんだかんだ12冊読めていたらしいけれど、もうちょい読みたかったな〜〜というのが本音。
 本当はね、『愚かな薔薇』や『誰も死なない日』や『スピッツ論』や『ベルリンは晴れているか』などなど……読みたいと思っていたものはたくさんあったんだけど、そこにたどり着くことはできず。まあそんな日もあるよね。あるある。

 宇佐見りんさんの作品を今までどうして読んでこなかったんや!と自分にツッコミを入れずにはいられなかったので入れまくったのだけど、本当良いね。私、家族系の物語では一番宇佐見さんの作品が好きかもしれない。好きっていう感情が作品を褒める際に合っていないような気もするのだけど、でも、読んでよかったなあと思う。『かか』も『くるまの娘』もよかった。なんでまああんなにも複雑な家族関係の中の、母の姿をありありと描くことができるのだろう。
 私にとっても母の存在は大きいし、自分の母を重ねてしまって苦しくなるし、避けて通ることもできるけど避けちゃならんような気もするから向き合う他なくって、傷口は確実に開くのだけれど、今の精神状態だからか、冷静に理解して受け止めることができる。母もまた人間で、私はその母から生まれてきた娘だ。その繋がりはどうすることもできなくて、憎しみもあれば感謝の気持ちもあり愛情もあるから、ああわからない、複雑に尽きるのだけど、それをすごく上手く描いていて、ほんっとにすごい。これからも追いかけていきたい作家になった。

 また、佐原ひかりさんの最新作も順を追っているのだけれど、新人作家の新しい作品をすぐ読むのってなんかすんごい贅沢だなあと思っている。それにしても面白い。『人間みたいに生きている』もう何回読んだやろう。私の泉くんどこにいますか。不器用だけど優しい彼はどこですか。そして『一角獣の背に乗って』もまたよくって、いやいや、今回だいぶ攻めたなあと思ったけど、この攻め方が爽快でいいなあとも思ったし、これからどんな作品が来てももう大丈夫だって気持ちになった。だからこれからも自由に書いていただけることを願っている。一角獣が出て来る物語を読んだのが初めてかもしれない。す、好きだ〜〜!に尽きる。まだ年内にいくつか読めるみたいだし(確かそうだったはず)楽しみにしている。

 そしてそして、念願の『湖(うみ)とファルセット』を手に入れたのだけど、運よくサイン入りのものが手に入っちゃって、もう、ニヤケが止まらないのだけれど、この歌集、すんごく刺さったのだった。笹川涼さんの『水の聖歌隊』の時もブッ刺さったんだけど、またこれも刺さりました。最高です。青い。青いよねイメージがね。大好きなんです青っぽいのが。今回は海の底というよりは色合い的には確かに湖、川、緑もあって、夏の川を思い出した。
 身の内から突然張り裂けて出てくる獣のような自分、そして繊細で脆くて立っている感覚すら忘れちゃうような自分。強いも弱いも、痛いも柔いも、明るいも暗いも混ざり合って、短歌になって田村さんの姿が現れていて、痛ましいような、でも、生きていると実感するような。すごく素敵な歌集です。ああ。最高だ…。
 
 相変わらず好きな本ばっかり読んでいて、本棚には好きな本しかなくて、丸ごと全部愛だなあ、愛しているなあ、と思った昨日。いつまでもいつまでも愛せる。不滅の愛。そしてそれはどんどん大きくなっていくのでしょう(質も量も)

 六月。梅雨入りをするのかしないのか。してるのかしてないのか。さっぱりわからないけれど、雨の日も晴れの日も、好きなだけ本を読もう。

 

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