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3月の読了本など



 気がつけば4月5日になっていて驚く。ついこないだ4月1日だなーって思った気がしたのだけれど。そして、3月に読んだ本をまとめることもなく日々がすぎて行ってしまっていることにも二重で驚く。何をやっていたんだろうか。最近。

 読書をしていた記憶よりも、短歌作りに追われていたように思う。隙間隙間を埋めるように読書をしていた。作るときに読むことはできないらしい。頭のキャパがそこまでないので、作品を作り切ったらすんなり読めた。だから読書が身に入っていたのも先月の中旬くらいから。サラッとまとめる。


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・白い薔薇の淵まで  中山可穂

・巣    なかむらあゆみ他

・たんぽるぽる  雪舟えま

・裸一貫!つづ井さん④

・臆病な詩人、街へ出る。 文月悠光

・町でいちばんの素人  柿内正午

・春のこわいもの  川上未映子

・いちご同盟  三田誠広

・白光  朝井まかて

・鳥肌が  穂村弘

・痴人の愛  谷崎潤一郎

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でした。

 まだ読了し切っていないものもあるのだけれど、満遍なく、読みたいものをその時その時手にとって読むパターンだった。Twitterでフォロワーさんにお薦めされた本を読んでみたり、興味が湧いたものをえいや!とかってみたり。あと国語便覧も買ったのだった。やっぱり面白い。読書好きの一家に一冊あってもいいように思う。

 中山可穂さんの『白い薔薇の淵まで』がすごく面白くって、一気読みした。初版は2001年に刊行されている。そして絶版になった時期もあったみたいだけれど、今回、河出文庫より2021年9月に刊行された。フォロワーさんから教えてもらったから知ったものの、教わらなければ読まずじまいだったと思う。いい出会いだった。平凡なOLと新人女性作家が恋に落ちるのだが、これがなかなか激しい恋愛をする。性の愉悦に溺れ、お互いをぶつけ合う。傷つくし傷つけるし、痛々しくてたまらなくなって離れるのだけれど、どうしても離れ切ることはできない。破壊的な恋愛物語を、いやそもそも恋愛物語を読むこと自体が久々で、久々なのにこんな激しいものをいったので、そういえば自由恋愛って、どこまでも自由なんだった、と改めて思ったのだった。その流れもあってか谷崎の痴人の愛にも手を出した始末。ナオミのことはなんか好き。こうやってたくさんの男性を誑かしつつ、芯が通ってる感じ。強気でわがまま。そしてどこか少女ぽさが抜けない。なろうにもなれない彼女の強引かつ誰にも負けない魅力に私も惹かれるものがあった。
 他にも穂村弘さんの『鳥肌が』を寝る前に少しずつ読んでいたら、穂村さんの意外に繊細なところが浮かび上がってきた。大型犬と子供が遊んでいるところを見るのがこわいだとか、駅のホームではいちばん前には並ばないようにしているだとか、のっけから共感できるもので、ちょっと安心した。
 私もその話に加わるとしたら、「川や海の近くでスマホを持つのがこわい」だろうか。もっと細かくいうと、橋の上から川を見下ろすときなんかもこわいし、用水路のそばを歩くときですらこわい。ポケットやカバンに入れておけば安心なのだけど、写真を撮るためだとか、ラインを返すためだとかでスマホをよく手で持っているので、そういうときがこわい。体の表面全部がゾワゾワする。もし、なんらかの拍子にてから滑り落ちたり、ぶつかって手を離してしまったりして、水にぽちゃんといってしまったらどうしよう、ということなのだけれど、これも『鳥肌が』に加えてほしい。みんなもありますか、そういう話。
 
 あと、雪舟えまさんの『たんぽるぽる』が素敵で、歌集なのだけど、実は最近文庫化したらしく、私はブックオフにて大きい方を手に入れたのだけれど(人気だからか、どこ探してもないのよね、文庫化しただけある。でも私は大きい方がほしかったのよどうしても)こんなにも素敵な短歌が作れるって最高じゃん、と思ってばかりだった。どこか野蛮さもあるのだけれど、どれもこれも愛情を感じるし、結局はこの世界が好きなのだね、と思う。

目が覚めるだけでうれしい 人間がつくったものでは空港がすき

歌集『たんぽるぽる』より抜粋

 最初の一首がこれ。目が覚めるだけでうれしいという素直な気持ちをそのまま詠んだあと、人間がつくったものでは空港がすき、とあえて「人間が」と表すことで、作者も人間のはずなのに、なんだか違う世界の人みたいに読めて楽しい。目が覚めるだけでうれしいという純粋な気持ちがより際立ってくる。それだけでもうれしいって、ようは幸せってことだから、その幸せを純粋に感じることのできる存在ってなんだろう?天使?なんて考える。楽しい。のっけから楽しい。
 そんな不思議な、でも意味も伝わってきて、愛だらけの歌集なので、ぜひ読んでみてほしい。

 

 そういえば月末に妹からわたしへの誕生日企画に、『本屋さん5分間チャレンジ』を開催してくれたので、楽しく、慌てて、本を数冊選び買ってもらったので一気に5冊ほど増えたので嬉しい。本気を出せばきっと倍近くの冊数を抱えることができたのだけど、プレゼントであり心意気という部分に感動した姉は随分と遠慮した。
 まだ働き出して一年たったばかりの妹が、「正直三万くらいかかると思った」といっていて、財布には準備してくれていたらしいが、彼氏との二人暮らしもしているので、気持ちだけもらっておくことにして正解だったように思う。
 ほくほくの気持ちで持ち帰った本は大事に読もうと積読の本棚へやった。着々と積読が増えてきている。増やそうと思って増やしてはいないけれど、増えていくのはいいね。退屈しないから。今月から生活環境が変わっていきそうなので、前向きに捉えつつ、本を友人として、長く付き合っていきたい。そして、作る側としても積極的に作って行けたらいいな、と思いつつまだまだ原稿は真っ白です。ふふん。何やってんだか。

 
 今月からはたくさん読んでたくさん書いてバランス良い生活を送っていきたいです。やっぱり4月って、1月よりも始まりって感じがするね。春はいいなあ。


いい本にたくさん出会えますように。

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