青波佑(Yu Aoba)

94年生まれ/大阪在住/noteでは小説や旅行記、その時思ったことを書き残しています。…

青波佑(Yu Aoba)

94年生まれ/大阪在住/noteでは小説や旅行記、その時思ったことを書き残しています。 https://yu-8.myportfolio.com

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  • あの日の旅。

    趣味の写真に前後話を添えています。

  • つれづれなるままに。

    日々思いついたことや考えてみたことを書き留めるとこです。

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  • あの日の旅。
    6本
  • つれづれなるままに。
    3本

記事

    【短編小説】言葉裏の真意を僕はまだ知らなかった

    まだ寒さが残る2月の終わりのころ。 受験も落ち着き、いつものようにクラスメイト8人で集まって、特段意味もなく放課後の時間を教室で過ごしていた。 「おい、今だ!行くぞ!」 私たちは先生の目を盗み、ささっと校門まで走っていきピザの出前を受け取った。 「危なかったなぁ~、高橋先生と目合いそうになったわ。」 そんな微かなスリルを味わいながら、片一方で推薦組は冷や汗を垂らしながら高校最後の生活を精一杯楽しんでいた。 想い出話に熱くなり、体育祭がどうだったとか、文化祭で誰がつ

    【短編小説】言葉裏の真意を僕はまだ知らなかった

    【短編小説】AM8:00の日曜日

    AM7:00窓から差し込むまぶしい朝日で目が覚めた。 今日は由香と葉山にドライブの約束をしている。 「迎えに行くのは9時だったっけ。もう少し寝れたな。」 けど二度寝して遅刻でもしようもんなら、このまえみたいに機嫌を損ねて…。 少しばかり早く準備をして、朝食をとるために近所のドトールまで出た。 初秋の晴れた朝は日差しが少しばかり暑くて、でもカラッとした空気が涼しくとても気持ちがいい。 ドトールに向かう途中、風上からとてもいい香りが漂ってきた。 そう、キンモクセイで

    【短編小説】AM8:00の日曜日

    目利き力は真物を見続けることで磨かれる

    「良いリーダーシップは、良いリーダーからしか学べない。」入社して1年が経とうとし、異動がちらつき始めたころ、飲み屋の席で上司に言われたこの一言はアルコールが入っていたにも関わらずはっきり覚えている。 私が当時入社した会社では特にリーダーシップを発揮することを強く求められた。 「リーダーシップはポジションパワーではない。」 至る所で聞いたこの言葉は、全社員にマインドとして根付いていたと思うくらい、会社が大切にしていることのひとつだった。 ただ、リーダーシップにも良い悪い

    目利き力は真物を見続けることで磨かれる

    【短編小説】夏夜の海辺で過ごしたあの時間は学生の特権だったのかもしれない

    都内の居酒屋でふとおもう。 ーーお酒を飲んで楽しむのにこんなに金かかるんだな。 ・・・  わたしが通っていた大学は都心からは程遠い、人口12万人ほどの町にポツンと門を構えている。  海沿いのこの町は自転車を30分も走らせれば市内を縦断できるほどの小さな町だ。5分も歩けばどこもかしこも知り合いだらけでダル着でコンビニなんて行けたもんじゃない。おまけにいつも潮風でベタついた風を運んでくる始末だ。  そりゃあ夏なんてたまったもんじゃない。 じとーっとした温風が私を覆い、べ

    【短編小説】夏夜の海辺で過ごしたあの時間は学生の特権だったのかもしれない

    【短編小説】あの星をつかまえて

     八月の夜。田んぼに囲まれた祖母の家の庭には十数種類の花類と四メートルほどの細い木が一本立っており、時折ミンミンゼミや鈴虫の音が庭いっぱいに響き渡っている。  ボクたち家族と親戚は祖母の家に集まっていた。 ついさっき玄関で塩を振りかけ、喪服を着替えたばかりだというのに、大人たちはゲラゲラ笑いながらテレビを観ているが、どこか無理して平静を取り繕っているようだ。 大人たちの感情もテレビの内容もボクにはまだ理解できないものばかりだ。  父も母も相手にしてくれない。いや、今はわが

    【短編小説】あの星をつかまえて

    【旅行記】中国郊外の宿で食べた晩ごはん

     その日は桂林から船で川をくだり阳朔に向かっていた。 連日の大雨の影響で水量が増した漓江は茶色く濁り、一層の迫力を増していた。 阳朔に到着 午後二時のことである。予約していたホテルを探して歩き回っていた。 村の中心部にあり、入り口の前で地元の人たちがお茶を飲みながら談笑しているようなローカル感あふれる小さな宿だ。 チェックインをしようと思ったが、私の名前がないようだ。 「没有你的名字。(あなたの名前がないみたい。)」 困った…。  予約していたはずのホテルが予約でき

    【旅行記】中国郊外の宿で食べた晩ごはん

    赤信号を渡れるようにする仕事

    「業務改善を手掛ける仕事」「販管費を抑える仕事」「ムダをなくす仕事」社会人になってから幾度となく自己紹介でそう答えてきた。 当時、事務業務に携わっていた時、会社に蔓延るムダをデジタル化したりルールの見直しを行ったりすることで業務を効率化させる仕事をしてきた。 冒頭の表現は間違ってはいない。 にも関わらずどんな仕事をしているかイメージが沸く人と、そうでない人がいる。アウトプットが明確にない仕事はイメージしづらいのも一理あるとは思う。しかしながら、そもそもムダをなくした先にあ

    赤信号を渡れるようにする仕事

    向いてないことに10年の歳月を費やして導き出した「好きなこと/得意なこと」論の解。

     ある日突然それまで好きだったことが好きじゃなくなってしまうことを想像できますか?  よく、好きなことを仕事にしよう!というワードを見かけますが、わたしは好きなことを仕事にするのがとても怖いと思うのです。  総じて「好きなこと派」が多いと感じるこの頃ですが、わたしは高校時代からずっと「得意なこと派」です。  というのも、小学校から高校まで10年間野球やってきて「好きなこと派」「得意なこと派」について考えさせられることが多く、引退したとき自分なりに決着がつきました。  

    向いてないことに10年の歳月を費やして導き出した「好きなこと/得意なこと」論の解。