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赤信号を渡れるようにする仕事

「業務改善を手掛ける仕事」「販管費を抑える仕事」「ムダをなくす仕事」社会人になってから幾度となく自己紹介でそう答えてきた。

当時、事務業務に携わっていた時、会社に蔓延るムダをデジタル化したりルールの見直しを行ったりすることで業務を効率化させる仕事をしてきた。

冒頭の表現は間違ってはいない。
にも関わらずどんな仕事をしているかイメージが沸く人と、そうでない人がいる。アウトプットが明確にない仕事はイメージしづらいのも一理あるとは思う。しかしながら、そもそもムダをなくした先にあるのは何か。そんな疑問が頭をよぎる。

効率化した分をさらなる利益のために活用する。これに尽きるといわれたらそうだろう。ただ自分の中でしっくりこない…。

自分の仕事を紹介してあっけらかんとされるのも少し悲しい。じゃあ仕事の内容を身近なもので例えるとどうだろう。

どうやって赤信号を渡れるようにするか考える

信号は交通事故を防ぐためのある種の運用である。

1868年にロンドンで、馬車の交通整理のために初めて設置された信号。すこし間をあけて1930年に日本で導入が開始したとのこと。

車が走るにあたり、事故が起こらないようにするにはどうすればいいだろうと先人は頭を悩ませただろう。そこで交通事故を起こさないための解決策として信号という手段を思いついたのだ。

そして信号を守らない者は違反者として罰則を設けることで信号という運用を定着させてきた。(私の推測ですよ。)

ここからが私の出番である。

運転中、赤信号で待っているとき「絶対に行けるでしょ今」という場面に遭遇することがある。

ギリギリで赤信号に引っかかってしまい、それによって次の信号も直前で赤になり停車が続いてしまう。みたいなことは少なからず経験したことがあるのではないだろうか。

ギリギリでストップしてしまったその10秒の遅れによって次の信号でも停車する。それが積み重なり仕舞いには数分のロスとなる。会社にいるとそんなことはよくある。「この処理が滞っているから次の処理が流れない」みたいに。

「待ち時間のムダをなくせないだろうか」

こんなことから私の仕事が始まる。
赤信号を渡る方法を考えるのである。

例えばルールの見直し。

赤信号は一律停車というルールになっているが、ゴールド免許を持っている人は安全運転の証として自己判断で直進できるようにルール改訂しようという解決策を考えるとする。

そう考えると「個人の判断に委ねると危険だ。そもそもそれだと事故が起こるから信号が導入されている。」「ゴールド免許は全く運転していない人も含まれるため、条件として成り立たない」といった意見が出るのは想像に難くない。

じゃあテクノロジーを活用してカバーできないか考えてみる。
例えば、信号の前後の信号の車の通過車両を測定して、交通量に応じて青信号に変わる、みたいな解決策はどうだろうといった具合に待ち時間をなくす方法を考えるのである。

そして、いざテクノロジーで改善できるとして、それを実行させることが必要だ。ステークホルダーとなりそうな国土交通省をどうやって巻き込むか。
どこでテストを行うのが最適かリサーチし、自治体に協力してもらえるよう働きかける。
地域の人たちにテストを実施するためにどういうコミュニケーションを取るかなど課題をひとつひとつ解決しながら効率化を進める。

そうすることで積み重なった待ち時間なくし1秒でも早く自宅に帰る。そして大切な人と過ごす時間を楽しみましょうと、そういう仕事をしていると。

すると今まであっけらかんとしていた人の表情も見違えて見えるようになった。

聞き手の身近なものに置き換えて説明する。あらゆるところに転用してみたいものだ。


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