青山光一/青山レモン農園/大日向小学校

伊豆大島でレモン農園を経営しつつ、長野県にある日本初のイエナプランスクール・大日向小学…

青山光一/青山レモン農園/大日向小学校

伊豆大島でレモン農園を経営しつつ、長野県にある日本初のイエナプランスクール・大日向小学校で働いています。公立小学校で働いた19年間の経験を生かし「公教育にイノベーションを」「伊豆大島から教育改革の狼煙をあげる」を自身のミッションとし、日々、農業と教育と薪割りに勤しんでいます。

最近の記事

「新しいタイプの学校」を求める人たちへ

私は以前、教育の分野で活躍する先輩から、 「伝統的な学校に対して作られてきた新しいタイプの学校は全て失敗してきた」 と言われたことがある。 伊豆大島の三原山をハイキングしながら、 しばし語り合ったときのことだ。 その方は、次のように続けた。 「結局、自由と規律のせめぎ合いになり、自由は放任へと堕していく」 「もしくは、行き過ぎた自由への反省から、伝統的な学校教育へと回帰していく」 と。 伝統的な学校教育の限界を感じ、 進歩主義的な教育の具現化を模索していた私は、 その言

    • 「学校教育は創造性を殺してしまっている」ケン・ロビンソンーDo schools kill creativity?

      Do schools kill creativity? 「学校教育は創造性を殺してしまっている」 世界で最も試聴されたTED Talkです。 今さらこのTED Talkについて云々するのはこのブログの目的ではありません。 私はこのTED Talkの14分50秒あたりから語られる「ジリアン・リン」のエピソードを聞くたびに、学校教育の一端を担うものとして襟を正さずにはいられません。 その部分の日本語訳を紹介します。 この本を書くきっかけを与えてくれたのは 恐らく皆さんが知ら

      • 学校の当たり前を問い直すー「学芸会」を大人と子どもが「探究」できた3つの理由とは

        4年前、私がまだ公立小学校で働いていた時の話。 多くの小学校に学芸会という行事がある。 先生が台本を決め、先生が配役を決め、先生が指導し、先生が会場設営をし、先生がプログラムを作り、先生が係活動を仕切り、先生が地域や保護者にお知らせをし、先生が達成感を味わう。結局先生が一番アクティブ。そんな行事になってはいないだろうか。 いや、上の文章の「学芸会」を他の言葉に置き換えてみたら?学校で行われる多くの活動の主語が「先生」になってはいないだろうか。 「学芸会は何のため」を問い直す

        • 卒業式って誰のため?理想の卒業式を考えていた4年前のこと

          今日から3月。 2017年3月17日の自身の振り返りを読み直す。この当時、毎日続けてた振り返り日誌。(公立小学校の6年生の担任だった頃のもの) 今日、初めて6年生の門出の言葉を通して聞いてみた。 以前なら「もっとクオリティを!」って思っていたんだろうけど、 これで良しとすることにした。 もう練習はしない。たぶん。 次は予行だ。 卒業式の直前にこの書き込み。 よくある卒業式の門出の言葉(呼びかけ)についての記述。 「呼びかけ」って知ってますか?あの感動するやつ。(来賓とか

        「新しいタイプの学校」を求める人たちへ

          Adobeのillustratorで小学生用の紙教材を作り始めたらなかなか面白いことになってきた

          小学校でよく使われているWordで作られた無機質なプリント。ずっと違和感を感じてました。なんか、ワクワクしないよな。なんかダサいよなと。 Adobeのillustrator使えるようになりたいと思いました。 「そうだイラレで、教材を作ろう」 当時はお金がなかったので、独学でillustratorを学ぶことにしました。毎朝4時から6時をイラレを学ぶ時間に。約3か月でプリントくらいは作れるようになりました。かなりワクワクした学びでした。 目指していたのは、 見た目が美しいプ

          Adobeのillustratorで小学生用の紙教材を作り始めたらなかなか面白いことになってきた

          プロローグ 「学校」をもっと自由でエキサイティングな場所に

          東京都のある離島に、全校児童100名にも満たない小さな小学校がある。 青山が担任している4年1組は、この学校の中でもとびきりユニークだ。 この学級の学びの中心は探究学習。2019年3月19日にその発表会が行われた。彼らが2年間にわたって取り組んできた探究学習もこの日でひとまず終了となる。10歳の彼らにとって最後の探究テーマは「〇〇のプロになろう」。大勢の保護者も彼らの姿をひと目見ようと参観に訪れた。堂々と学びの成果を発表する彼らの姿はどこか誇らしげだ。 究極のたこ焼き作り

          プロローグ 「学校」をもっと自由でエキサイティングな場所に

          100年前の挫折と限界から学ぶ

          主体的・対話的で深い学びの実現 社会に開かれた教育課程 アクティブ・ラーニング カリキュラムマネジメント 個別最適化された教育 STEAM教育 Society5.0 2018年に経産省、文科省の画期的な提言 コロナ禍で一気に進んんだICT化 時代は新しい教育に大きく舵を切り始めた感があります。 しかし、新しい教育はうまくいっているのか? 今後うまくいくのか? 我々は過去の歴史から学ばなければいけません。 100年前、大正新教育運動が挫折した原因を簡単に考察してみましょ

          「子ども中心」の教育って?

          教育界に20年以上身を置いています。 今回は最近教育界わいで起こっている「対立」について考えていきます。 だいぶ聞き飽きた感がありますが、あえて書き出してみると、 教師主導 vs 子ども中心 教師が管理 vs 子どもの主体性 教える教育 vs 教えない教育 伝統的な一斉指導 vs 個別最適化された指導 詰め込み型教育 vs 自主性や興味関心を基礎とする教育 …こんなところでしょうか。 単純な二項対立の構図になってしまうことが多いのは残念ですが…。 全国各地で従来の一斉指

          1899年にデューイが語ったこと

          おはようございます。祝日明けの金曜日の午前中。ちょっとだるいですね…。 算数の動画教材の作成を終えて、なんとなくデューイの「学校と社会」を再読。 なんとなく読む本ではなかったと後悔しながらも、すぐに文章から目が離せなくなります。今から100年以上前にデューイが語ったことは現代においても全く色褪せていないのです。シカゴ大学付属小学校における実践をもとに、論理的に語られる内容は現代においても非常に示唆的だと思います。 デューイは「旧教育」について「重力の中心が子ども以外にある

          国語でPBLをやってみた(カリキュラムマネジメントを意識して…)

          今回は公立小学校でやってきたことを紹介します。光村図書の国語の単元に「わたしの研究レポート」というものがありました。教科書の改定で単元自体はなくなってしまったのですが、(楽しい単元だったのに…)「調べてレポートを書く」という学習は様々な場面で今後も必要となる力であることは間違いありません。4年生を担任していた時代に取り組んだ「わたしの研究レポート」、教材研究から単元計画の流れを共有したいと思います。 まずは、教科書をじっくり読み込みます。 なんだかんだ言って、光村の教科書は

          国語でPBLをやってみた(カリキュラムマネジメントを意識して…)

          自分の「時間割」は自分で作る/公立小学校での実践を振り返る

          学習を自分ごとにすること。 やらされ感をなくすこと。 自立的・自律的な学習者を育てること。 宿題をなくしても圧倒的に学力が伸びること。 そのために毎週繰り返してるのは、 自分の時間割を自分で作ること。 一週間の学習をじっくり振り返ること。 適切なフィードバックを与えること。 ↑公立小学校時代(ずいぶん前に)Facebookに書き込んでいた内容。 そういえば、宿題も自分がやるべき内容(自分がやりたい内容)を完全に自分で決めていたことも思い出した。こんな感じの時間割。全員違う

          自分の「時間割」は自分で作る/公立小学校での実践を振り返る

          日本の教育が限界を迎えている理由(0/5)

          「暗記すること」「簡単な処理を繰り返すこと」「指示に従えること」「Most Likely to Succeed」のエグゼクティブ・プロデューサーであり、米国のイノベーション教育のオピニオンリーダーであるテッド・ディンタースミス氏が2018年6 月「What School Could Be」の基調講演で主張した「伝統的な学校」についての言及は非常に核心をついています。 それはすなわち、伝統的な学校で行われている基本的訓練とは「暗記すること」「簡単な処理を繰り返すこと」「指示に

          日本の教育が限界を迎えている理由(0/5)

          伊豆大島でレモン農園を始めた理由

          「伊豆大島でレモン農家になる」 19年間教師をしてきた私が言い出した時の家族の反応は、おそらく皆さんの想像通り。 「はあ?何いってるの?」 「これから一番お金がかかるんだよ」 「管理職になる夢がもうすぐ叶うんだよ」 これから高校生の娘と中学生の息子の教育費がかかること。 ずっと目指していた副校長試験に受かって4月から昇任が決まっていること。 レモン農家になったところで収入が安定する保証はないどころか、 収穫が安定するのは少なくとも5年後以降だということ。 伊豆大島で畑を

          伊豆大島でレモン農園を始めた理由

          公立小学校「最後の授業」

          1年生の国語「だってだってのおばあさん」(光村) 単元丸ごと授業をさせてもらうことになりました。 1年生で単元内自由進度に挑戦します。 国語の単元内自由進度と学び合いを次の世代に伝えるための授業です。 てびき書、ワークシート、読解プリントを自作しました。 授業の様子も記録として残していこうと思っています。 たぶん人生最後の国語の授業です。 ↑↑↑↑↑ 2020年2月27日にfacebookに書き込んでいた内容です。 コロナの影響で次の週に突然休校に。 そのまま公立小学校を退

          「競争」から「協同」への転換 ―『学び合い』の取り組みを通して(5/5)

          以上のような取り組みを下支えする考え方として「学びの協同化」という視点は欠かす ことができません。ここからは私が「学びの協同化」を目指して取り組んできた授業改善の中でも、西川純氏が提唱する『学び合い』についての取り組みを紹介したいと思います。 まず、今回の学習指導要領の改訂の大きなポイントとして、 我が国の優れた教育実践に見られる普遍的な視点である「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善(アクティブラーニングの視点に立った授業改善)を推進する ことが求められる。

          「競争」から「協同」への転換 ―『学び合い』の取り組みを通して(5/5)

          PBL(プロジェクト・ベース学習)のススメ(4/5)

          家庭学習や算数、国語の学習に主体的に取り組むようになった子どもたちの学びの質の向上は、次第に他教科にも広がりを見せ始めます。私が子どもたちと共に次に取り組んだのが 社会科における授業改善でした。 「子どもたちの主体的な学びの姿をあらゆる教科で実現したくなった」「特に社会科で深い学びを実現する方法をとことん追求してみたくなった」というのが本音です。小学校中学年段階においての社会科では一般的に「教科書の内容をおおむね指導書の通りに指導し、途中で社会科見学を実施し、見学の内容を何

          PBL(プロジェクト・ベース学習)のススメ(4/5)